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NBA2021-2022シーズン前半トップMVPチョイス!

どうも。NBAもオールスターブレイクとなり、シーズン前半が終了した。(シーズン前半といっても既に60試合近くが消化されているので、もう3分の2が終わっているのだが) 

 

オールスター自体について簡単に言及すると、今年はライジングスターズが50点先取したチームが勝利というルール改革でかなり面白くなったり、3ポイントコンテストでビッグマンのカール=アンソニー・タウンズが優勝してビッグマン最強のシュート力を全米に見せつけた。

 

一方ダンクコンテストは過去最低レベルで、50点が1つもない悲しい大会となった。まだまだダンクの可能性はあるのだろうが、アリウープ系以外の何かしらのダンクを考える必要がありそうである。但し、オールスター本戦はカリーが15本もスリーを決めたり!!、各クオーターが接戦となり、最後はレブロンの決勝ショットとかなり面白い試合だったのではないかと思う。

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そんなオールスターに浸ることもできるのだが、今回はこのちょっとしたブレイク期間を活かして、現時点の今シーズンのMVP候補を考えたいと思う。今年も既に考えられる候補で10人近くいるが、現在Top3が誰かと言えば明らかであると思うが、理由も含めて早速見ていきたい。

 

1. 二コラ・ヨキッチ

ビッグマーケットでないデンバーであること、彼自身が目立ちたがり屋でないことで陰に隠れがちだが、昨年MVPのヨキッチは確実に昨年以上のレベルにいる。シーズン開始からチームNo.2のジャマール・マレーの不在、No.3のマイケル・ポーターJrが怪我で今年絶望という穴だらけのロスターの中、孤軍奮闘しまくってる。平均26得点、13.8リバウンド、7.9アシスト、57FG%という昨年とほぼ同等の圧倒的な成績を残し、PERについては歴代最高、アドバンススタッツの多くのカテゴリーでリーグトップと個人的に文句ない成績を残している。

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そしてディフェンスにおいても毎年向上しており、今では優れたビッグディフェンダーの一人と言えるレベルにまでなっている。無論ジャンプ力やスピードはないが、それを上回るIQとディフェンスのタイミングによってチームにとってプラスのディフェンダーとなっており、試合を決めるブロックを今年だけ3回ぐらい決めている。

 

何より、上述の通りチームのNo.2とNo.3がおらず、時にこいつは誰だとなる選手も多いナゲッツが33勝25敗の成績を残しているのはヨキッチの力に他ならない。現在彼以上にチームの成績にインパクトを与える選手はおらず、特にオフェンスにおいてはリーグのベストプレイヤーであると考えている。(チーム全体への貢献度で見ると、デゥラントやカリー以上ではないかと思う) アメリカのメディアでも彼がMVP候補だと認識しない人が一杯いるが、ヨキッチのシーズン通しての活躍を見て、彼をTop3候補に入れない人はバスケをちゃんと見てないとしか思えない。

 

<昨年MVPレースの時に彼の凄さをここにまとめたのでご参照>

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2. ジョエル・エンビード

ヨキッチと同じく孤軍奮闘で大活躍しているのがエンビードである。シクサーズはベン・シモンズのドラマで、健康体のスター選手の一人が1試合も出場しないという異常事態の中でも、彼は過去最高の大車輪の活躍を続け、チームを35勝23敗、前半をイースト3位で折り返すという予想以上のポジションに導いている。

 

<シモンズのゴタゴタについてはこちら参照>

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今年のエンビードが凄いのはまずケガをしてないことである。毎年何かしらの怪我をしてしまう彼だが、今年はまだ大ケガをしていない。(コロナに感染して結構欠場はしたが、逆にそれがケガ予防にはなっているのかもしれない) それだけでなく、オフェンスは毎年スキルアップしており、とにかくバリエーションが多い。平均29.6点で現在得点王、キャリア最高の4.5アシスト、11.2リバウンドとヨキッチと比べて全く見劣りしない成績に加えて、ゴール下のディフェンスはリーグトップレベルでヨキッチを上回る。但し、トバイアス・ハリス、セス・カリー、タイリース・マクシーなどサポート体制がヨキッチより若干厚かったのと、ヨキッチのスタッツが規格外な為現状2位とした。

 

今年のエンビードの凄さについて少し触れておくと、とにかくオフェンスがアンストッパブルである。インサイドに入れば、パワーとフットワークで圧倒すると思えば、ミッドレンジでターンアラウンド、フェイスアップからの超ソフトなジャンパー、3ポイントも平気で打てるレンジと何でもできる。特にミッドレンジの進化は目に見張るものがあり、ドリブルからのフェイスアップシュートは外す気がしないほどである。更に今年はシモンズ不在の為、自分でリバウンドを取ってからボールを運んで一人でオフェンスをクリエイトする姿も見え、プレーの幅が広がっている。彼の現在の活躍はシャックの支配力とダークのジャンパーが加わったようなセンターの進化系と言えるだろう。

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但し、ハーデンがトレードで加わったことでエンビードのUsageは下がるだろうし、チームのスタイルも必然的に変わるので、彼の個人成績は落ちるだろう。これでチーム勝率がイースト1位になればチャンスはあるだろうが、勝率が今のままだと彼のチャンスが厳しくなる可能性は高い。

 

3. ヤニス・アデトクンボ

ビッグマンの進化系としてヤニスの存在も忘れてはならない。彼も既に2回シーズンMVP、昨年のファイナルMVPも獲得しているためか、MVPレースで候補にあげない人がいるが、アドバンススタッツだけ見たら、ヨキッチとほぼ数字が変わらず、PERも32.3とヨキッチについて歴代2位なのである。ローナンバーも平均29.4得点(エンビートと僅差で2位)、11.2リバウンド、6.0アシストとトップ2の二人と全く引けを取らず、ディフェンスに関してはエンビードを更に超えるレベルで、2度目のDefensive Player of the Year候補になっている。

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ヤニスの凄さについては昨年から散々書いている気がするが、常にハングリーな彼は更に成長をしており、昨年のプレイオフで笑いものにされたフリースローは72.1%にまで向上し、最近はポストアップからのフェイダウェイ、ドリブルからのミッドレンジジャンパーなど、今までずっと苦手とされてきた部分を強化し、更にディフェンス不能となっている。また、プレイメイクも年々向上しており、最近彼が繰り出すパスはかなりハイレベルなものでエンビードなどとは非にならないぐらいである。(ヨキッチには全くかなわないが、、、)

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個人成績とチームへの貢献という意味では彼がMVPとなっても全くおかしくない。ただシーズン前半はチームが不安定で、強豪相手に勝ったと思ったらリーグ下位チームに負けるということを繰り返し、なんとも王者の風格が感じられない責任は彼にも少しあるので、3位とした。チーム成績次第では、彼がシーズン終了時点でトップになる可能性は十分にある。

 

ビッグマン中心だったNBAは、ここ10年程度でウィングとガードが支配するリーグになっていたが、ヨキッチ、エンビード、ヤニスといった進化系ビッグマンがMVPトップ3というのはリーグがまた変化してきている証拠なのだと思う。

 

4. デマー・デローザン

デローザンがMVP候補になるとはシーズン開始時誰が想像しただろうか。デローザンとラビーンのコンビネーションがここまで機能するとは思ってなかったし、ブルズはいけて第5シードぐらいだと私は予想していた。ところが蓋を開けてみたら、デローザンの超効率的なミッドレンジゲームとプレイメイク力がチームのニーズとマッチし、ラビーンやブーチェビッチ、新加入のロンゾ・ボールとともに素晴らしいケミストリーを作り上げ、ブルズはイーストの強豪に躍り出たのである。

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しかも、ブルズはケガ人が続出し、ロンゾやカルーソ、パトリック・ウィリアムズ、しいてはラビーンも離脱するなどロスターが揃わない中、デローザンはコンスタントに出場を続けチームの大黒柱として、シーズン前半を1位のヒートと同勝率の2位で折り返した功績は非常に大きい。

 

何よりマスターされたミッドレンジジャンパーでチームが得点を必要とするクラッチの状況での得点力に目を見張るものがある。実際、今シーズン第4Qの得点はデローザンがリーグ1位で、しかもFGは55%とものすごい確率であり、ほぼオートマチックなレベルである。

 

3ポイントは未だにそこまで得意じゃないのでアドバンススタッツを見たらトップ3と比べて高くないし、ディフェンスもそんなに上手くないので、彼よりもっといい候補がいるという意見もあるだろうが、チームのケガ人の多さとチームの勝率を考慮して、トップ5とした。長い間ミッドレンジ中心のゲームとプレイオフでの失敗で批判を受けてきたデローザンだが、もしこのままブルズがイースト1位をゲットした場合、彼の評価は更に上がるだろう。

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5. クリス・ポール

単純な成績だけ見たらポールがMVPなんてと思うかもしれないが、現時点で48勝10敗と、リーグ全体2位のウォーリアーズと6.5ゲーム差をつけて首位を爆走しているフェニックス・サンズのバックボーンは紛れもなくポールである。現在リーグ1位の10.7アシストに加えて、チーム全体を見渡したプレイメイクとゲームコントロール、デローザンと同じくミッドレンジからのジャンパーで勝負所で得点を取るクラッチ力、36歳の現在でも優れたディフェンス力、チームを統一するリーダシップなど彼のチームへの貢献度は数字に表れない部分でたくさんある。サンズのエースはブッカーではあるが、インパクトの観点で言ったらポールの方が大きいと考えられる。

 

彼がチームメイトを最大限引き出す力が顕著に現れたのは、センターのエイトンが欠場している時に、ジェイレン・スミスや、ジャベル・マギー、更にはビズマック・ビヨンボといったオフェンス力ほぼ皆無の選手達を引き立て彼らがあたかもリーグでも優秀なセンターかのように見せられる。現在の選手でこんなことができるのはポールぐらいだろう。レブロンですらここまでチームメイトを良く見せられない。

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最近のサンズはビハインドしていても必ずカムバックして勝利を掴む安心感すらあり、サンズと他チームの総合力はかなり差が出てきている気がする。これを支えるのがポールなのである。

 

が、、、まさかの指の怪我でオールスター開けから6-8週の欠場が発表されてしまった。大事なところでケガしてしまいがちなのがポールらしいが、プレイオフ前に欠場となっただけでも不幸中の幸いなのかもしれない。約2か月の欠場はMVPレースには大打撃なのでポールはこのランキングから脱落するだろうが、彼のシーズン前半の活躍を是非称えたい。

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その他の候補としては、ジャ・モラント、ステファン・カリー、ケビン・デゥラントなどが考えられるが、モラントは彼が不在時にチームが好調だった点、カリーは1月以降のシューティングスランプで個人成績が落ちている点、デゥラントは怪我の欠場数が響き候補から外れた。ただし後半戦次第では、特にモラントやカリーが一気にトップ3に出てくる可能性もある。

 

今年は最後までレギュラーシーズンの行方に目が離せない展開となりそうであり、MVPランキングも残り1試合まで分からないのではという気がして楽しみである!

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