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NBAプレイオフ2022: ファーストラウンドプレビュー!!

どうも。NBAはレギュラーシーズンが終了して、プレイイントーナメントも結構白熱し、6試合中4試合は接戦という非常に見ごたえたがある内容だった。特にクリッパーズペリカンズの最後のプレイオフスポットを決める争いでは、ポール・ジョージがコロナのプロトコールに入ってしまったことで、出場できないというまさかの事態が発生し、勝敗の行方を大きく左右したと言わざる負えない。クリッパーズレイカーズという、お金を大量に投資し、毎年優勝を狙えるはずだったロサンゼルスの2チームがプレイオフすら逃すというのはなんとも皮肉な話である。

 

両カンファレンスの全てのプレイオフマッチアップが決まったということで、今年もファーストラウンドのマッチアップを予想してみたい。(既に各マッチアップの初戦が行われてしまったのはご了承頂きたい)

 

<イースタンカンファレンス>

ここ最近の第1シードのチームで最もメディアからの注目や一般ファンからの評価が低いのがマイアミ・ヒートではないだろうか。いわゆるトップ10に入るスーパースターがおらず (ジミー・バトラーはTop15レベル)、他チームのような派手な選手もいない為、陰に隠れがちだがチームの総合力はかなり高い。ディフェンスについては各ポジション強靭な布陣となっており、ディフェンシブ・レイティングでは全体の4位となっている。彼らのオフェンスは総合力勝負な為、特にハーフコートで不安ではあるが、ディフェンスが弱っちいホークス相手には問題ないだろう。

 

一方、プレイインを2回連続勝利したホークスだが、昨年カンファレンスファイナルに進出した勢いは今年はない。とにかく安定感に欠け、チームケミストリーも微妙な気がしてならない。トレイ・ヤング自体は更に成長しており、チームオフェンスも力強いが、プレイオフ進出したチームで最下位となる貧弱なディフェンスで勝ち残れる気はしない。ヤングが爆発する試合を考えて1勝はするかもだが、見通しはよくない。

 

予想:ヒートの4勝1敗

 

今回のファーストラウンドで一番期待されているのがこのカードであろう。セルティックスはシーズン途中から急に覚醒し、2022年だけに絞ったデータで見ると、ディフェンスはリーグ1位、ネットレイティング(オフェンスとディフェンスの差) では圧倒的な1位で過去最高レベルという超強豪ステータスの数字を残しているのである。ス―パスターの階段を上がるジェイソン・テイタムはスコアリングとプレイメイクのバランスがよくなり、マーカース・スマートがPGとしてやっと機能しており、ジェイレン・ブラウンが2番手スコアラーとしても頼りになってきている。3人とも素晴らしいディフェンダーでもある。

 

然し、その相手がネッツとなってしまうのだからこわい。今年はカイリーのワクチン問題、ハーデン移籍問題、デゥラントの怪我で第7シードになってしまったが、KDとカイリーがいる限りこのチームを恐れるなという方が難しい。結局のところスーパースターが物を言うプレイオフにおいて、希代のスコアラー2人がいるのは非常にデカい。後は微妙なベンチ陣と弱っちいディフェンスがどこまでセルティックスに耐えられるかが勝負となるだろう。また、テイタムが封じられた時のカウンターが少ないセルティックスなだけでに、どこまで彼へプレッシャーを掛けられるかが重要である。

 

非常に面白見がある今年屈指のマッチアップとなることが予想されるが、ディフェンスとホームコートアドバンテージがあるセルティックスが競り勝つと思われる。

 

予想:セルティックスの4勝3敗

 

昨年チャンプのバックスの今シーズンはアップダウンが激しく何とも読めないチームであった。ブルック・ロペスなどケガ人が出たのもあるが、自慢であったディフェンスがリーグ平均レベルまで下がったのは頂けない。イヤニスはミドルジャンパーが入るようになってきて、更にアンストッパブルな存在となりつつあり、オフェンスはリーグトップ4ではあるが、気掛かりなのがミドルトンである。昨年のプレイオフで数々のクラッチショットを決めた勢いが今年は感じられず、ケアレスミスも目立つ。ホリデーは調子がいいが、バックスが真の優勝候補となるにはミドルトンが本調子を取り戻せるかがカギとなりそうである。

 

とはいっても、相手のブルズはシーズン後半調子を落とし、バックスにも今年0勝4敗と相性が悪い。ブルズはシーズン前半はリーグのサプライズチームとして、予想外のディフェンスと、デローザンのMVP級の活躍で一時イースト1位となっていたが、後半はディフェンスにガタが来て順位も6位まで下がってしまった。今シーズンのデローザンは神がかっていた感もあったが、これまでプレイオフでは本来の活躍ができなかったタイプの選手であり不安ではある。それはセンターのブサビッチも同様で、更にザック・ラビーンは初のプレイオフということで悪条件が重なる。

 

気を抜くことが多いバックスなだけに、ブルズが1勝することはありえそうだが、そこまで面白いシリーズとはならない気がする。

 

予想:バックスの4勝1敗

 

セルティックス対ネッツばりに面白うそうなシリーズがこの2チームの対決である。MVP候補のジョエル・エンビードにジェームズ・ハーデンが加わり優勝を狙うシクサーズだが、期待と不安が入り混じるチームである。エンビードはリーグに入ってから初めて1年を通して大きなケガなく試合に出続け、オフェンスにおいては完全にアンストッパブルな存在となった一方、ハーデンはトレード直後は以前のスピードが垣間見えたが、その後は明らかにプレイスピードが落ち、最近はペネトレーションが難しくなってきている。但し、2年目のタイリース・マクシーがスピード感抜群の選手に成長してそれを補っているし、ハーデンもアシストの面ではリーグトップレベルな点は変わらない。

 

ラプターズはス―パスターがいない中、常に全力勝負と諦めない姿勢、奇才ニック・ナースのコーチング力で後半一気に調子を上げてきた。パスカル・シアカムとフレッド・バンブリートは常に20得点狙える選手であり、新人のスコッティ―・バーンズは多彩さが光り、チーム全員ディフェンス力が高く、決して楽しい相手ではない。ディフェンスでは強力なウィングが揃ってはいるのだが、問題はオフェンスの爆発力にかけることと、エンビードにマッチアップできる体格のいいディフェンダーがいないことである。気合と戦略でなんとかするとこはあるだろうが、どんなに優れた戦術でもサイズの違いは覆せないのがバスケの常である。

 

シクサーズのベストディフェンダーである、タイボルがワクチン未接種でトロントでは出場できなかったり、ハーデンのプレイオフの数々の失敗劇が気がかりなのではあるが、パンチに欠けるラプターズを最後はシクサーズがねじ伏せると思う。

 

予想:シクサーズの4勝3敗

 

<ウエスタンカンファレンス>

今年のフェニックス・サンズはとにかく強かった。リーグトップの64勝をあげ、他チームと圧倒的な差をつけた。彼らの強みは何より接戦で負けないことである。全盛期のウォーリアーズのように爆発的な力で圧倒することは少ないが、どんな接戦でも質の高いオフェンスが作れるチーム戦術とチームメイトの信頼感が強く、PointGodことクリス・ポールが奏でるオフェンスはとにかく手堅いという言葉がふさわしい。エースのブッカーもポールの影響かとても安定しており、エイトン、ブリッジズも着実に成長している。リーグで唯一オフェンス、ディフェンスもトップ5に入る今年のサンズは弱みがなく、2年連続ファイナルまで行かなかったら驚くレベルである。

 

プレイインを勝ち抜き第8シードに滑り込んだペリカンズは、ザイオン・ウィリアムソン問題がありながら、ブランドン・イングラムの成長、CJ・マコラムをトレードで獲得したことでオフェンスの安定感が増した。また、ルーキーのハーブ・ジョーンズは新人なのにAll Defensive Teamの候補になるなど、いきなり貢献しておりこれからが楽しみなチームとはなってきている。ただ圧倒的な総合力を誇るサンズ相手には歯が立たないだろう。

 

予想:サンズのスイープ

 

エストで一番面白くなりそうなのがこのマッチアップである。グリズリーズの今シーズンはまさに大躍進という言葉がふさわしい。リーグ2位の56勝をあげ、エースのモラントはス―パスターに上り詰め、ケガが多かったモラントが不在の間も20勝5敗という素晴らしい成績を出しチームの総合力の高さを見せつけた。モラント以外にも、2年目のベイン、今年はディフェンスで大きく成長した3年目のジャレン・ジャクソンJrなど若手揃いで怖いもの無しのチームである。グリズリーズもサンズのようにオフェンス、ディフェンスでそれぞれほぼTop5にランクインしており、抜け目がない。欠点は経験不足と、速攻が強みなオフェンスにおいて、ハーフコートでモラントが封じられた時にステップアップできる選手がいるかである。

 

グリズリーズと同じく若手揃いのティンバーウルブズは、結構グリズリーズと相性が良く、レギュラーシーズンは2勝2敗となっている。オフェンスのバリエーションでいえばリーグ最高クラスのタウンズ、2年目で急成長中のアンソニー・エドワーズ、たまに爆発するディアンジェロラッセルと、勢いがついたら止められないチームと言える。また、パトリック・ビバリー寄生虫のようにモラントにくっついてイラつかせるだろうし、エドワーズがプレイインの時のように堂々としたプレイぶりをしたらウルブズにも勝機はありそうである。

 

第2シード対第7シードのマッチアップとしては結構な接戦になることが予想されるが、コーチング力、モラントのスターパワー、ここぞのディフェンス力を持つグリズリーズが競り勝つのではないか。

 

予想:グリズリーズの4勝2敗

 

サンズの最大の強敵と予想されているのがウォーリアーズである。シーズン前半はカリーの大活躍もあり絶好調だったが、カリーが不調に入ったらチームが下降気味となり、ドレイモンド・グリーンがケガで不在、2年ぶりに復帰したトンプソンは本調子でないなど色々な不安要素はあったが、ジョーダン・プールがミニカリーのようなシュート力とハンドル力を発揮したり、チームカルチャーにフィットしたベテランが揃った布陣はプレイオフで侮れない。同時に終盤ケガで欠場したカリーも戻ってくるため、プレイオフ開始に合わせてギアが上がってきそうである。トンプソンが本来に近い姿を取り戻せればサンズを脅かす存在になる可能性は十分にある。

 

ナゲッツは今年は苦しいシーズンだった。No.2のジャマール・マレーが1試合も出場せず、No.3のポーターJrは9試合だけの出場と、とにかく戦力が手薄だった。そんな中プレイオフに出ることができたのは2年連続MVPになりそうな二コラ・ヨキッチの超人的な活躍に他ならない。今年のヨキッチはオフェンスのアドバンススタッツで他を圧倒しており、現在最高のオフェンスプレイヤーである。更にディフェンスもかなり向上しており、平均以上のディフェンダーとなってチームの全てを支えているのは素晴らしいのだが、とにかくヨキッチ以外に信頼できる選手がいないのが悲しい限りである。

 

ただし、本調子になりそうなウォーリアーズ相手にヨキッチだけではどうしようもできないのではないかと思う。単純な戦力の差を考えると勝てて1試合ではないだろうか。

 

予想:ウォーリアーズの4勝1敗

 

これまでオフェンス一辺倒だったチームから、ディフェンス力を開花させて楽しみなチームとなっていたマブスであるが、レギュラーシーズン最終戦でルーカがふくらはぎのケガをするというアクシデントに見舞われてしまった。全てがルーカありきで成り立っているマブスのオフェンスにおいて、彼が不在はかなり痛い。彼がファーストラウンドでそもそも復帰できるのか、復帰するとしたら何戦目かいけるのかによってこのシリーズの全てが左右されると言っても過言ではない。既にプレイオフで何試合もその存在感を十分に示してきた彼が5試合以上出場できればマブス有利、それ以下ならジャズ有利と予想する。

 

一応ジャズにも触れておくと、チーム内外で色々騒がしくなっており、ミッチェルとゴルベアの不仲、ミッチエルの移籍説、今年もプレイオフでダメならチーム解体などネガティブニュースが多い中、ルーカの怪我は絶好のチャンスである。リーグNo.1のオフェンスを誇り、3ポイントが入りだしたら手の付けられないチームであるだけでに、どこまでネガティブなノイズを消してプレイに集中できるか注目したい。

 

今回はルーカが3試合目ぐらいから復帰すると勝手に想像して、マブスの次ラウンド進出を予想する。彼はそれだけ特別な選手である。

 

予想:マーベリックスの4勝3敗

 

NBAレイオフは2か月もかかる長期戦である。1試合1試合でオーバーリアクションしすぎないように注意深くチームを分析しつつ、毎試合楽しんで見ていきたい!