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レブロンの衰えとトッププレイヤーの変化

どうも。あっという間に2021-2022シーズンの4分の1が終わり、ある程度各チームの強みと弱みや今年のトップスターなどが見えてきた今日この頃である。

 

<各カンファレンスのトップチーム>

エストではウォーリアーズが快進撃でリーグトップの成績を残している。加えてクレイ・トンプソンも12月には復帰する予定となっておりもう楽しみでしかない。やはりカリーや他の選手が常に動き回ってボールムーブメントでディフェンスを崩すウォーリアーズのスタイルは本当に面白いし、アイソレーションヘビーなチームが多い中で新鮮であるし、バスケの良さを体現したチームである。

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同様に、サンズも11月28日時点で16連勝をしており、昨年から続く安定感抜群のチームである。オーナーであるローバート・サーバーのチーム内外での不適説行動が1か月前にニュースになった時は1週間ぐらいこの話で持ち切りだったが、その中でサンズは勝ち続けいつの間にかスキャンダルもどっかにいってしまったような印象である。サンズは前から言っているがとにかく弱点がない。クリス・ポールも昨年レベルの活躍をしているし、強固なディフェンスと安定したオフェンスのバランスは健在である。

 

一方、イーストでは抜きんでたチームがまだないが、なんだかんだでネッツが第1シードになっている。カイリーはワクチン不接種ということで、今シーズンはこのままプレイしないのではないかと思われるし、ハーデンも昨シーズンと比べて明らかにレベルが下がっている中、デゥラントの圧倒的な実力と脇を固めるベテラン陣によって安定してきてはいる。ただしディフェンスが弱く実力のあるチーム相手には敗戦を喫しており、決して頭抜けた感じではない。

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ヒートは逆に強豪相手に常に互角に戦えており、ジミー・バトラーはこれまでのキャリアで最高の活躍をしているし、シックスマンのタイラー・ヒーローも3年目でブレイクアウトしており、サンズと同じくオフェンスとバランスが良い。ケガがなければトップ4シードに入ってくるのは確実だろう。

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今年のバトラーのEfficiencyは目を見張るものがある

<レイカーズの苦戦>

リーグ全体で最も議論されるのは、良くも悪くもレイカーズである。開幕から勝率5割ギリギリのラインを行き来しており、ウエストで1位を狙えるという下馬評に全く応えられていない。強豪チーム相手にほぼ勝ててなく、11月29日時点で挙げた11勝全てが、12点差以内、延長戦にいったのが4試合と常にギリギリの戦いをしている。

 

レイカーズが苦戦するだろうということは、ウエストブルックのトレードが成立した時点で予想していたが、やはりエストブルックの補強はネガティブな影響がポジティブを上回っている印象である。

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彼のクラッチ状況下でのデシジョンメイキングは相変わらず疑問符だらけだし、パスがどんどんと下手になってきている気がする。彼のアシスト数が毎年多いのはクリス・ポールのように本当に正確なパスを送っているわけではなく、単純にボール保持率が高いからである。今年もそれは変わらずなのだが、よりチームメイトが頭を抱えるプレイをすることが増えているという印象である。(スタッツ上は今ままで通りでこうだと証明はできないが、試合を見たらわかる)

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アンソニーデイビスも2年前に優勝してから覇気のあるプレイをしておらず、今年は3ポイント%が20%という壊滅的な数字で、レイカーズ移籍時に期待されたようなレブロンの後を継ぐスーパースターという地位を確立できていない。先日バックス戦でヤニスと対決して圧倒されていたように、3年前にはリーグNo.1ビッグマンになる、ヤニスよりも良い選手という評判だったが、かなりの差がついてしまった。

 

他のロスターを見ても、どう考えてもディフェンスがウィークポイントのカーメロの出場時間が長すぎるし、ディアンドレ・ジョーダンも他チームじゃ完全ベンチ行き、ウェイン・エリントンやモリーク・モンクもディフェンスが弱点であり、戦力が整っているとは到底言い難い。そんなロスターであっても、ここ15年ぐらいレブロンさえいればどんなチームも軌道に乗るはずなのだが、そう上手くいかないのが12月で37歳になる彼の現状である。

 

<レブロンの覇権の終了>

もちろん、この年齢かつ、20歳からプレイオフにほぼ毎年出て、2011年から8年連続ファイナルにいった彼が未だにリーグトップクラスの選手と言われることだけでも偉業なわけで、とても評価されるべきことではある。シーズン開幕まではリーグトップのプレイヤーは誰かという質問に、今でもレブロンと答える識者も多かった。然しいつまでもトップでは居続けられないというのが世の中、特にスポーツの常である。(Father Time is undefeatedという言葉はスポーツでよく使われる)

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まず今シーズンはケガで既に2回離脱しているのが気がかりで、レイカーズに移籍する前まで大きなケガを一度もしたことないアイアンマンだった彼の身体に若干ガタが来ているのは確かである。また、スタッツだけ見たら今年も平均25得点、6.8アシストと素晴らしい数字ではあるのだが、ウエストブルックと同じく実際のプレイを見るとやはり衰えたなと言わざるおえない。身体能力が落ちるのは36歳なら当たり前なのだが、プレイスタイルの違いが見ていて目につく。

 

レブロンと言えば、若い時はスピードと跳躍力を活かしたリムへのドライブ、後期クリーブランド時代からはパワードライブで相手を蹴落としてレイアップを決めるのがシグニチャームーブとなっていたが、今年はとにかくジャンプショットが多い。特に3ポイントの数が1試合平均8.5本と、昨年の6.3より2本以上、キャリア平均の4.4より4本以上とかなりスリー偏重となっている。これでスリーが得意ならいいのだが、彼はもともとジャンプショットでベストプレイヤーになったわけではないし、今年も34.4%とリーグ平均以下である。スリーが増えたのに比例するように、フリースローの本数が減っているのも気がかりである。キャリアで1試合平均7.9、ここ2シーズンも5.7だった中、今年は4.8と確実にファウルを誘う機会が減っている。これはやはりバスケットにアタックするという彼のベースであったスタイルがジャンプショット中心に変わっていることを表している。更に、リバウンドもレブロンの強みではあったのだが、キャリア7.4に対して、今年は5.2とこれも彼のアグレッシブさが落ちたことを象徴するスタッツとなっている。

 

ディフェンスについても2年前に優勝した際は、オールディフェンシブチームに入るかぐらい頑張っていたが、今年はかなり手を抜いている印象でやはり体力の温存をしているのだと思う。ディフェンスの弱さ、ジャンプショットの数が増える、リバウンドの数が減るという典型的な晩年選手の姿となってきている。もちろん1試合だけであれば、今でもベストプレイヤーとなれる気はするのだが、シーズンを通して、はたまたプレイオフを通してベストプレイヤーとして君臨するには中々厳しい現状となっている。実際昨年のプレイオフファーストラウンドでアンソニーデイビスがケガで離脱した際に、レブロン一人でサンズに打ちかつことができなかった。おそらく3年前であったらフェニックス相手にもレブロン一人で真っ向勝負できたではあろうが、Father timeが来たということなのだろう。(2018年のプレイオフは本当にレブロン一人でファイナルまで行ったと言っても過言でなかった) とはいっても、彼が未だにリーグ屈指の選手であることには変わりになく、確実にTop10には入るし、Top5-7の間ぐらいと個人的には思っている。然し、デイビスをはじめ他の選手がステップアップするか、また新たなトレードを仕掛けない限り、レイカーズの優勝の可能性は低いのではと考えている。

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<現在のトッププレイヤー4人>

レブロンが長く君臨したベストプレイヤーの称号は昨年あたりから変わってきており、誰がそのタイトルを確実なものにするのかというのが今シーズンのストーリーの1つとなりそうである。また、以前も記載したファウルコールのルール変更による影響がジェームズ・ハーデンやデイミアン・リラードに大ダメージを与えており、トップ10プレイヤーと言えば必ず入っていた彼らが圏外になっており、リーグのダイナミックが少しシフトしている気がする。

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ということで、より詳細なトップランキングはまた今度考えてみたいと思うが、ざっくりと現在のトッププレイヤーをまとめてみたい。個人的にTop4は確定しており、Top5以降はTBDといった感じである。

 

1. ケビン・デゥラント

現在のNBAで最も完成された選手であり、オフェンスにおいて全く弱点がない。今年は平均28.6得点、FGが54.8%と圧倒的な効率性で、シュートを外す気がしない。ディフェンスもここぞで頼りになれる存在であり、総合力で言ったら彼がNo.1であろう。今シーズンもバックス相手にヤニスとやり合ってくれることを期待している。

 

2. ヤニス・アデトクンポ

昨年ファイナルMVPのヤニスはケガ人が多く序盤つまづいたバックスで孤軍奮闘している。彼自身の実力は更に上がっており、インサイトの圧倒的な支配力に加えて、ミドルレンジショットやパスに磨きがかかっている。変わらずリーグトップのヘルプディフェンダーでもあり、デゥラントと僅差で2位だが、この2人が頭1つ抜けている印象である。

 

3. ステファン・カリー

泣く子も黙る史上最強シューターのカリーはウォーリアーズをリーグトップの成績に導いており、3度目のMVPも狙える。若干シュート確率は落ちているものの、今年はスリーを今まで以上に連発しており、一試合13発も打っている!彼の動き回るスタイルとシュート力はウォーリアーズオフェンスの全てと言ってもいいだろう。

 

4. 二コラ・ヨキッチ

昨シーズンMVPのヨキッチは、昨年以上の数字を残しており、課題と言われたディフェンスも今年は多いに向上している。ジャマール・マレーやマイケル・ポーターJRが戦線離脱中の中、ヤニス以上に孤軍奮闘状態ではあるが、シュートの確実性、オフェンスの多彩さと圧倒的なパス能力で、カリーと同じくナゲッツオフェンスの全てを担っていおり、リーグトップ4の選手であることを確実にし、センター対決でジョエル・エンビードの上をいく。

 

5. TBD

候補としては、レブロン、ルーカ・ドンチッチ、エンビード当たりが濃厚だが、今年で言えばポール・ジョージ、ジミー・バトラーが入ってもおかしくなく、今後のシーズンの経過に注目したい。

 

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現在のベストプレイヤーとして、この2人が真っ先に挙がる。