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フェニックス・サンズのプレイオフ進出とクリス・ポールのレガシー

どうも。NBAシーズンも佳境に入り、プレイオフシードを争うトーナメントに入る10位までのチームは両カンファレンスで大体決まってきた感じではあるが、プレイオフ進出圏内の中でのシード順は最後まで分からなさそうである。特にウエストは、昨年王者のレイカーズが、デイビズとレブロンが長期離脱しことで勝率を落とし第5シードから第7シードのどれかになりそうである (5/1現在)。両選手とも最近復帰してプレイオフには本調子となりそうであり、折角頑張った上位シードのチームはたまったもんじゃない。

 

例年のことだが、各チームがマッチアップの優位性を考慮して大体レギュラーシーズンの残り5試合ぐらいは、故意に負けてシードを下げたりするといった駆け引きがされる。今年はレイカーズの出来次第で、トップチームがどういう策にでるか見ものである。

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折角の上位シードがレイカーズにかき消されるのか

 

エストのトップチームとして、今年の序盤はユタ・ジャズが爆走していたのだが、ここにきてエースのドノバン・ミッチェルの怪我もあり若干ブレーキがかかっている。また、彼らのプレイスタイルはボールムーブメントと3ポイントという2014年頃のスパーズを彷彿とさせるが、最近まで異常な精度で決まっていた3ポイントがプレイオフでも通用するかは未だに疑問である。(3ポイント中心でレギュラーシーズンに強いここ最近のバックスやロケッツを彷彿とさせるところがある) 

 

勢いに陰りが見えてきたジャズをよそにここにきて抜群の安定感をみせているのがフェニックス・サンズであり、とうとう第1シードを仕留めたのである (5/1現在)。ここのトップ争いはレギュラーシーズンの最後まで激しい争いとなるだろうが、まずここ最近ずっと低迷していたサンズがプレイオフ進出を決めただけでなく、トップシードになるかもということがすごい。なんといってもサンズのプレイオフ進出は10年ぶりである。そこで今回は昨年プレイオフにすら出れなかったチームの功労者、サンズのポテンシャルについて考えてみたい。

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<クリス・ポールの加入>

サンズ復活の最大の功労者は紛れもなく今年で36歳になるクリス・ポールである。2000年代では最高峰のポイントガードであり、PointGodの異名を取るポールはどこに行ってもそのチームのレベルの底上げをする。ポールは最初の2シーズンを除いた13シーズン中、12回プレイオフに進出をしており、とにかくチームを強くすることに長けている。全盛期のクリッパーズ時代はブレイク・グリフィンなどスター選手を擁して常に優勝候補になっていたし、ロケッツに移籍してジェームズ・ハーデンとタッグを組んだ初年度はウォーリアーズを後一歩まで追い込んだ。また、昨年はリーグ最下位レベルの下馬評だったオクラホマシティ・サンダーを第5シードに引っ張るという驚きの活躍を見せたのは、ポールのいるチームは弱小にならないということを顕著に表している。

 

・衰えからの復活

彼の凄い所は、ロケッツの2年目である2018-2019シーズンにハーデンとの不仲や彼自身の成績の下降から衰えを指摘され、このまま選手として違うステージに行くのかと思われたところで、昨シーズンまた一流選手に戻ったことである。その理由は食生活の改善が大きかったと本人が言っており、それにより体が絞れて未だに全盛期に近い動きができているのである。若返りをはかるサンダーからトレードされる形でサンズに今年移籍をしたのだが、勢いに陰りは見えず、ここにきてMVP候補になるぐらいの活躍をしている。単純な数字だけ見ると他のMVP候補と比べて見劣りするが、彼の勝利への貢献度は計り知れない。これまでの常識だと、スピードとクイックネスがキーとなるポイントガードは35歳以降全盛期レベルを保つことが難しいと考えられていたが、ポールはスモールガードの中で初めてこの常識を破ったかもしれない。

 

・ポールの偉大さ

身長180センチそこそこでNBA選手としては非常に小柄な部類に入るポールが未だにトップクラスでいられる理由として、1) プレーを全て読み解くIQの高さ 2) 相手を引き立てようとするアンセルフィッシュさ 3) ゲームのコントロール力 4) 天下無敵のミッドレンジジャンパー 5) 病的ともいえる競争心といったことが挙げられるだろう。

 

1)のIQの高さについては、昔のキッドやナッシュと同様に司令塔という言葉がまさにふさわしい。同時にそのIQをチームメイトのセットアップにつなげ、自分の成績を気にしないアンセルフィッシュさがある。例えばコービーもバスケIQの高さは歴代最高級だったが、彼は自分が得点をすることが最も効果的という信念があったが、ポールは自分が得点を狙うより相手を引き立てることを優先する。どちらが優れているという訳ではないが、往々にして後者の方がチーム成績は安定しやすい。(キッド、ナッシュ、レブロン、バード、マジックが最たる例) 

更にポールはゲームのコントロール力が抜群であり、スローペースに持ち込んでIQを駆使してディフェンスの弱点を突くのを得意としている。昨年までアップテンポスタイルだったサンズが、リーグでもBottom5に入るぺーズまで落ちたのはサンズがポール色に染まったからである。

 

ポールはアシスト王に何度も輝いているが、得点力も高く、特にミッドレンジジャンパーは彼の代名詞ともいえる。3ポイントの確率も十分高いが、彼のミッドレンジからの正確性は群を抜いており、真面目に外す気がしない。必勝パターンはスクリーンを使ってコートの右側にいきそこからフェイダウェイを放つことであり、今年もこれで何度もクラッチバスケットを生み出してきた。そして彼はとにかく負けず嫌いであり、その勝利への拘りは病的とも言われている。(過去の偉大な選手も皆異常なほどの負けず嫌いではあるが) 万年低迷していたサンズは強烈なリーダーがいなかったところで、その根性をポールが叩き直したといっても過言ではないだろう。

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・ポールの弱点

希代のポイントガードであるポールだが、弱点も結構ある。1) プレイオフでのメルトダウン 2) 大事なところでケガする 3) チームと衝突しがちといった点はポールのキャリアの汚点となっている。

 

ポールはPoint Godと言われながら、未だにNBAファイナルを経験したことがない。毎年優勝候補と言われたクリッパーズで一度もカンファレンスファイナルに進出することができず、2014-2015シーズンの対サンダーとの第5戦でのミスの連続や、2015-2016シーズンには3勝2敗として臨んだゲーム6では大量リードしながら第4Qにロケッツに大逆転されたり、その他のシーズンではファーストラウンドで敗退したりと期待を裏切り続けてしまった。

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更にロケッツに移籍後の1年目では、リーグ最高の勝率を残し、ポールは人生初のカンファレンスファイナルに進出し、ロケッツはウォーリアーズを3勝2敗と追い込んだ。然し、第5戦の終盤に彼はハムストリングを故障し残り2試合を欠場せざる負えなくなり、ロケッツは敗れ去った。残り後一歩のところでファイナル進出を逃したのは惜しいとしか言えない。クリッパーズ時代もケガでプレイオフ欠場することがあり、プレイオフ終盤まで体が持たないという事がポールには多々ある。

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また、彼の強い競争心とコントロールフリークな性格が仇になる事も多い。バスケのプレーが全て見えてしまうポールにとって、それが分からないチームメイトは苛立ちの対象であり、彼はその選手の間違いを否応なしに指摘し、時には罵倒てしまう。そこら辺レブロンとかは立ち振る舞いが上手いのだが、ポールは常にガミガミ相手を怒鳴りがちな為、最終的にチームメイトから嫌われやすくなってしまうのである。クリッパーズ時代はブレイク・グリフィンやディアンドレ・ジョーダン、コーチのドック・リバースとも馬が合わなくなり、ロケッツでハーデンとは1年で仲が悪くなってしまった。

 

然し、年を重ね彼も感情のコントロールができるようになってきたのか、昨年若手だらけだったサンダーではリーダーとして悪い噂は全く出ず、今年もサンズで上手くチームにメッシュしている。彼自身が大人になったこともあるだろうし、ポールの競争心むき出しかつ小姑のようなスタイルが、同じく競争心の強いデビン・ブッカーを中心したサンズの選手と上手く合っているのかもしれない。

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<新生サンズの可能性>

ポールの加入によって一気に強豪となったサンズは非常にバランスの取れたチームである。今年6年目サンズ一筋のSGブッカーは、入団当初からスコアラーとしてリーグ内で評価され、ここ2シーズンはプレイメイクの向上もしていたが、弱小チームをプレイオフに導くことはできなかった。然し、ポールの加入でスコアリングに集中できるようになり、初のプレイオフに向けてその勝負強さを発揮してくれると期待したい。

 

今年3年目の元ドラフト1位のCディアンドレ・エイトンは未だに精神面での頼りなさや、フックショット以外のオフェンスのバリエーションがないことが気がかりではあるが、ルーキー時課題だったディフェンスを向上させておりリムプロテクターとして頑張っている。

 

同じく3年目のウィングプレーヤーであるミカル・ブリッジズも良質な選手である。3ポイントは40%を超え、カットなどオフボールの動きも優れている上、ディンフェンダーとしても高いレベルを持つ彼はロールプレイヤーとしてはこれ以上にない活躍をしている。

 

5人目の選手としては、ベテランでタフネスという言葉がふさわしいジェイ・クラウダ―や2年目のシューターのキャム・ジョンソンが候補となる。ジョンソンはサンズが一巡目で指名した際は笑いのネタになるほど評価が低かったが、シュート力と想像以上に上手いディフェンスでドラフト前の懐疑的な意見を吹き飛ばしている。また、プレイオフ経験が豊富なクラウダ―はポールとともにベテランリーダーシップを発揮している。

 

その他、器用でパスの上手いフォワードのダリオ・サレッジやウィングディフェンダーのトリー・クレイグ、一時期Gリーグプレーヤーとなっていた状態から這い上がったキャメロン・ペインなど質の高いベンチ陣が揃っている。

 

サンズの強みは、ロスターに弱点が少ないかつ、色んなタイプの相手に対抗できるフレキシビリティがあることである。一方ポールとクラウダ―以外、プレイオフ経験を持つ選手は少なく、エースのブッカーが初プレイオフということも気がかりである。更にポールのプレイオフでの活躍は上記の通り絶対的な信頼をおけるとは言えない。その為サンズが例えNo.1シードになっても優勝候補の筆頭にはならないだろう。

 

エストの優勝候補は昨年王者のレイカーズ→タレント豊富なクリッパーズの順であることに変わりはなく、チームベストのタレントではサンズは劣るが、チームの総合力ではこの2チームに負けてはいないと思っている。何よりNBAファンとして、史上屈指のポイントガードであるクリス・ポールの初ファイナル進出を望まずにはいられず、今年こそはと期待したいものである。

ミネアポリスの判決の意味とは <アメリカ黒人差別問題>

どうも。昨年アメリカで大きな社会問題となった警官によるジョージ・フロイドの殺害について、主犯であるミネアポリス警察のDerek Chauvin (デレック・ショーヴィン) に対して殺人罪の判決が下された。今回はこの件について簡単に個人的な考えをまとめてみたい。ほぼ1年前に起きたジョージ・フロイドの窒息死事件は下記の記事をご参考。

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1. 当たり前が通らない歴史

アメリカだけでなく世界的な問題に発展したこの事件の裁判はもちろん大きな関心を呼んだ。普通に考えたらショーヴィンがやったことに対して殺人罪となるのは当たり前のはずなのだが、そうはいかないのがアメリカ社会の問題である。なぜなら白人警官が黒人に暴行を加え、時には死亡させた場合ですら起訴されない、裁判で無罪になるケースが多々あったからである。

 

例えば、91年にLAで起きたロドニー・キング事件では、何人もの警官が無防備のキング相手に暴行を加えた動画の証拠があった中、全ての警官が無罪になった。これによりLAライオットと呼ばれる暴動が起きた。最近ではミズーリで逮捕に抵抗したマイケル・ブラウンを射殺した警官や、エリック・ガーナーを窒息死させた警官も裁かれておらず、大きな抗議運動が起きた。こういった事例がある為、結局白人警官が人を殺しても、その相手が黒人である限りどうせ法で裁かれないだろうという懐疑的な見方になってしまう。

 

今回の裁判でデレック・ショーヴィンを有罪にすることはできたのは、反論することができない決定的な証拠があったからであろう。8分46秒間の間、完全無抵抗のジョージ・フロイドの首に膝をのせて、"I can't breathe"と言っていたフロイドを無視して窒息死させた動画はあまりにも生生しく、被告が何を言おうと陪審員をひっくり返すことは難しかっただろう。もちろんここまで大きな社会問題となったこと、世論が少しづつ変わってきたことも貢献しているとは思う。そんな状況だったであったのにも関わらず、本当に殺人罪で有罪になるか不安視されていたことが、黒人の司法に対する信頼の無さを表している。逆に言うと、一部始終が動画で撮られていなかったら起訴すらされていなかったのかもしれない。

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判決を言い渡される容疑者

 

 

2. 止まらない白人警官の横暴

昨年のBlack Lives Matterによって白人警官の横暴が静まったかといえば全くそうではない。この裁判の判決が決まる数日前には事件が起こった同じ場所のミネアポリスで黒人のダンテ・ライトが白人警官によって殺害された。この事件では、自動車の登録が漏れていたライトの車を止めた警官が、ライトが指示に従わなかった為に発砲したのである。警察によると発砲したキンバリー・ポーター警官はライトにテーザーを使おうとして誤って銃を使ってしまったというものである。そもそもこれが本当だか分からないが、本当だとしてもテーザーと銃を間違えること自体信じられないミスである。人の命がかかっている仕事であるのに、武器の判別が徹底的にトレーニングされていないことが管理不足であり、そもそも無防備な状態なのにテーザーを使うことが習慣化されていることがおかしい。更にこのポーター容疑者は26年勤務していたベテラン警官であったというから驚きである。ベテラン警官がこれでは、新米はどうなるのか不安でしかない。

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同時期にニュースとなったのが、ヴァージニアで黒人の陸軍中尉が白人警官に車を止められ、指令に従わなかったとして一人の警官が中尉の目に催涙スプレーをかけた件である。これも特に中尉が暴れていたわけではなく、ナンバープレートがちゃんとついていないと言いがかりをつけられたあげく、車から出てこずに警官に説明を求めていたところでスプレーをかけられたのである。人によっては警官が車から出ろといったら外にでるべきという人もいるだろうが、興奮した警官がいる中で無防備で車から出て、逆に撃たれるかもしれないという恐怖が常に黒人市民の中にはあるからこそ出れないのである。そして、この主犯の警官は相手にまっとうな理由を説明せずにただただ服従するように求めている。それだけ警官であればなんでもしてもいいというおかしなパワーストラクチャーがアメリカな闇なわけである。途中で中尉が"I am afraid"と言ったところでこの警官は"You should be!"と言っており、これこそ脅し以外の何物でもない。結局被害者であるCaron Nazarioが訴えを起こしたことでこの事件が明るみになり、主犯の警官クビとなったわけだが、これもデレック・ショーヴィンと同じく、証拠となる映像がなければ無視されていたかもしれないと思うと憤りを感じる。この映像はアメリカの警察の悪態を非常によく表している事例であり、是非見て頂きたい。

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3. 結局何か変わるのか

話をジョージ・フロイドの判決に戻そう。今回の判決は決して喜ぶものではないと思う。何故なら裁かれて当たり前であるし、ジョージ・フロイドはもうこの世に戻ってこない。アメリカでもCelebrationという言葉が使われたりしたが、それは間違っている。Reliefという方がふさわしいかもしれない。然しこの結果が少なくとも正しい方向に進む小さな小さなステップであることは確かである。上述のように一向に警察による黒人やマイノリティーに対するプロファイリングは収まらない。但し、ボディカメラや監視カメラ、SNSによって警官の横暴が記録に残されやすくなってきたのもヘルプにはなるであろう。Black lives Matterのように市民が立ち上がって世論と政治家を動かすことが進んできている。

 

結局のところ今すぐ状況が好転することはないだろう。引き続き白人警官によって不法に逮捕されたり、殺される黒人は必ず出てくる。改善の為には、現在ゆるゆるである警官のトレーニングをもっとちゃんとやるように圧力をかけることが必至であり、怪しい人・行動を見たら速攻で銃を撃つという警官のマインドセットが変わる必要がある。この悪しき習慣を正すのにはものすごい時間がかかること否定できない。但し、一歩ずつでもこの社会が良い方向になり、いかなる人も怯えることなく過ごせる世の中の実現を願うばかりである。

ステファン・カリーの快進撃とウォーリアーズのタイムリミット

どうも。いきなりだが、ここ最近のステンファン・カリーの勢いがすごい。4月18日時点では、平均31得点に、FG:49%、3P:43%とチーム力不足のウォーリアーズで孤軍奮闘している。特に、3/29から10試合連続30得点以上、そのうち40点以上3回、50点以上1回記録と絶好調なのである。そしてその10試合中で、10本以上3ポイントを決めたのが3回と驚異的な数字を残している。(ステンファン・カリーとクレイ・トンプソンが登場する前の3ポイントレコードが1試合12本だったことを考えるとこの記録の凄さが分かる)

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カリーの凄さを今更語る必要はないと思うが、今年33歳になった彼が満場一致MVPに輝いた2015-2016シーズンに近い数字を叩き出しているのは半端ないことである。何よりNBAファンとしては、昨年ケガでほとんどプレーしなかったカリーの活躍を見れるだけで嬉しい。彼のプレーは人を引き付けるものがあり、カリーがヒートアップするとチーム全体、会場全体、ブロードキャスト全体から楽しさが溢れて出てくる唯一無二の選手である。ドリブル力、シュート力、パス能力だけだけでなく、アンセルフィッシュで常に動き回るプレースタイルはエンターテイメント性では歴代最高クラスである。

 

然し、上述の通りカリーは33歳である。今のような活躍ができるのも後数年であろう。スーパースターポイントガードが30代後半まで全盛期を維持するのは過去に前例がなく、現在35歳のクリス・ポールが一番キャリアを伸ばせている例だと思う。カリーのシュート力は30代後半になっても健在だろうが、元々ケガが多かったカリーに過度の負担をかけるのも危険である。と考えると彼の全盛期を見ることができるのも僅かであり、この重要な時期をウォーリアーズが逃すわけにはいかない。そこで今回はカリーとウォーリアーズのタイムリミットについて着目してみたい。

 

1. コアプレイヤーの衰えの可能性

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ウォーリアーズが2012年頃から台頭し、2015-2019年まで5年連続NBAファイナルに進出した原動力はウォーリアーズによってドラフトされた、ステファン・カリー、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーンの3人である。個人的にウォーリアーズを応援せずにいられなかったのは、主力の中心がトレードやFA移籍で集まったスーパーチームではなく、チームのドラフトの上手さと選手の育成によって強豪となったことである。もちろん途中ケヴィン・デゥラントが加入したことで、ウォーリアーズはスーパーチームとなったわけだが、元々の基盤はこの3人であることに変わらない。キャッチアンドシュートが超得意で、カリーの次に現役ベストシューターであるかつ、ディフェンスも上手いトンプソンと、オフェンス力はあまりないが、歴代最高レベルのディンフェンスIQとフォワードとして珍しいパス能力を持つというユニークな選手であるグリーンによって絶妙なハーモニーが生まれていた。然し、カリーの以上に心配なのがこの2人の衰えの可能性である。

 

1-2. トンプソンのケガ

まず、2019年のNBAファイナルで靭帯断裂をしたトンプソンは、今シーズン復帰間近となったところで今度は練習中にアキレス腱を断裂してしまった。この2つのケガどちらか1つでもキャリアに大きな影響を与えるのに、2年連続で2つ違う部分で大ケガをしてしまったのは悲劇としか言えない。彼のカムバックは期待されるところではあるが、これまでの常識を考えたらクレイが以前と比べて100%の状態で復帰することは考えづらい。彼がキャッチアンドシュート中心のプレイスタイルでオフェンスをクリエイトするタイプではない事は幸いではあるが、それでも動き1つ1つのキレは落ちるだろうし、何よりリーグトップクラスだったディフェンス力は確実に平均レベルまで落ちてしまうだろう。もちろん医学は常に進化しており、過去の常識を打ち破る可能性もあり得る。いずれにせよ彼がどのレベルで復帰できるかはウォーリアーズ復活にとって最も重要なピースである。

 

ちなみにだが、トンプソンはそのChillかつスターぶらない性格で知られており、ドライなユーモアでNBAメディアからも人気である。

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1-3. グリーンの衰え

トンプソンはケガの衰えが懸念されるが、どれくらいのレベルで復帰するかはまだ未知数である。一方ドレイモンド・グリーンは既に明らかに衰えている。元々シュート力やドライブ力がある選手ではないが、最近はそもそも自分から得点を取りに行くことをほとんどしなくなっている。2015-2016年シーズンは平均14得点だった得点力が年々下がってきており、今年は僅か平均6.6得点である。そもそもシュートを狙っていないのでディフェンスは彼をマークしないし、ワイドオープンの3ポイントでも、次のオフェンスのムーブメントを待ってパスしたりする。カリーを活かすためにプレイメイクに力を入れることで今年は8.6アシストとガード並みの数字ではあるが、FG41%、3PT27%はさすがに厳しい。いくらオフェンスのセットアップをしているとはいえ、そこに安定したシュート力がないと結局ディフェンスがカリーに集中してしまう。

また、Defensive Player of the Yearに輝き、2メートル弱の身長でガードからセンターまで守れるディフェンスIQは健在ではあるが、こちらも全盛期と比べると若干落ちている。今でも十分優れたディフェンダーではあるのだが、ウォーリアーズの栄光を築いたスモールボールにはグリーンがセンターとして機能する必要があり、少しの衰えでも大きなダメージになる為、グリーンの衰えは非常に大きな懸念材料ではある。

 

全盛期のグリーンのディフェンスIQとコミュニケーション力はハキーム・オラジュワン、ケビン・ガーネット、ティムダンカンに匹敵するぐらいだと思っている。

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2. コアプレイヤー以外の可能性

ケビン・デゥラントが移籍した今、ウォーリアーズにはコアプレイヤーを支えるロスターが早急に必要である。然し、今のところそれを埋めれる選手はいない。ウォーリアーズのChampionship Runを支えた選手達は多くが引退 OR 移籍しているし、デゥラントの獲得やベテランの補強をしていた為、現状イキのいい若手がいない。一番実力がある選手はおそらく元ドラフト1位のアンドリュー・ウィギンズで、ウォーリアーズ移籍後はディフェンスも頑張ってはいるが、重要な場面で頼りになるかといったら全然ならない。昔から言われている事だが、素晴らし身体能力があるのに、時に空気のように存在感がないからである。後は、ケリー・ウブレーJRもいるが彼はバスケIQがあまり高くなく、存在感はあるが信頼は置けない。その他は元々Dリーグ出身の選手が中心であり、ハッスルプレーをする選手は多いが、クオリティ高いロスターとは到底言えない。

 

そこで期待されるのが、今年のドラフト2位のジェームズ・ワイズマンとなる。シーズン開幕直後は才能の片鱗が見られたが、途中から徐々に自信を無くしていく様子が感じられ、成績も下降線を辿った。最終的には膝のケガによって今シーズンは絶望となってしまった。カレッジでのプレー経験もほとんどなかったことを考えると仕方ないのだが、まだまだ粗削りで成長には時間がかかりそうである。2メートル16センチかつ高い身体能力とシュートタッチを持っているので、将来的にスターになる可能性はあるのだが、問題はウォーリアーズには時間がない。今年の経過を見る限り、彼が優勝を狙えるチームのスターターとして貢献するには3年はかかるであろう。そうすると、残されたカリーの全盛期とタイムラインが合わないのである。このジレンマをどうするか、フロントは難しい決断に迫られる。

 

3. キャップスペースをどうするか

ウォーリアーズにっとて、強力な補強をするのが難しい状況にある理由の1つが、サラリーキャプのフレキシビリティがないことである。カリー、トンプソン、グリーン、更にウィギンズまでMax契約な為、この4人でチームサラリーの75%を占める上に、既にNBAサラリーキャップを大幅に超えているのである。(リーグ1位のサラリーを払っているのに、プレイオフいけるかギリギリなのは悲しい、、、) こういう場合は、若手でルーキーコントラクトな選手を揃えるか、運よく年俸が低い選手を発掘しない限り中々厳しいのだが、上述の通り強力なサポーティングキャストがいないので劇的な対策をする必要がある。

 

単純にサラリーキャップに余裕を持たせるには、まずウィギンズをトレードするべきだが、彼のサラリーの高さとプロダクションはマッチしておらず、買い手が出てくるかは分からない。買い手を見つけるとなるとウィギンズ+チームが欲しがる選手やドラフトピックをくっつける必要性があり、その場合今すぐチームを助けられないワイズマンがトレード候補になる可能性だってある。それが上手くいかない場合、更なる手段としてコアグループを解体する必要も考えられる。既に全盛期ではないグリーンだけでなく、ケガから復帰した様子次第ではトンプソンだって安心できない。もちろんカリー、トンプソン、グリーンの3人が残った上で、再度優勝を狙えるのであればそれに越したことはないのだが、現実問題可能性が低いと言わざる得ない。

 

いずれにせよ、歴代最高のシューターであるカリーという存在を活かすためのチーム強化は急務であり、ウォーリアーズのタイムリミットは刻々と迫っている。今シーズンオフからGMのボブ・マイヤーがどういう動きをするか見逃せない。

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白熱のMVPレース:超ユニークプレーヤー 二コラ・ヨキッチの凄さ

どうも。NBAのレギュラーシーズンも残り1か月半ぐらいになり、シード争いがヒートアップしてきた。となると気になってくるのがMVPレース。MVPの基準に明確なものがない為、毎年シーズン最後までアメリカメディアで議論になることが多く、スタッツ中心の分析からメディアの好き嫌いとかも絡んでくる。

 

バックスのイヤニスが過去2年連続MVPを受賞したが、どちらのシーズンもプレイオフ途中で敗退したことで彼が本当にMVPにふさわしいのかという不満が高まっており、今年も成績も中々半端ないが3年連続はありえないだろう。(MVPはあくまでレギュラーシーズンの功績だけを判断すべきではあるのだが)

 

また、36歳になっても未だにNBAのキングであるレブロンについても、シーズン序盤は快調に飛ばしており、2013年以来MVPを取ってないことで、こんな年齢でこの成績はすごいぞというストーリーラインでメディアの後押しを受けるとも思われたが、ケガをしてしてしばらく戦線離脱をしており、かなり厳しくなってきた気がする。

更にネッツのジェームズ・ハーデンは、ネッツ移籍後すさまじい成績を残しているし、現在イースト1位の勝率を残しているネッツの最大の功労者である。私自身も彼がここまですぐにプレイスタイルを変えてフィットするとは思わなかった。ハーデンの成績が文句なしなことには変わらないが、彼のシーズン当初のロケッツから移籍劇の身勝手さについてはどうしても目をつぶることはできず、投票者の多くも同じような判断をするだろうと考えると彼が2度目の栄誉を獲得することは難しい。ハーデンのトレードリクエスト騒動とネッツの可能性については昔の記事をご参照。(自分の予想が全く外れており、恥ずかしいが、、、)

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その他、ブレイザーズのデイミアン・リラード、マーベリックスのルーカ・ドンチッチも圧倒的な成績を残してはいるが、シード順位が若干低すぎる。一方チーム成績がリーグトップクラスのドノバン・ミッチェル、クリス・ポール/デビン・ブッカーについては逆に個人成績が突出していない。(十分好成績を残してはいるが) 

 

ということで、残る候補はナゲッツ二コラ・ヨキッチシクサーズジョエル・エンビードとなる。ここ10年で急激にスモールボールが進み、ビックマンの存在が危ぶまれた中、センターである2人がMVPレースのトップ候補になるのはまたビッグマンの存在感がリーグ内で増えてきている証拠なのかもしれない。ただし彼らは非常にスキルの高い革新的なビッグマンであり、これまでのトラディショナルなセンターとは違う。エンビードは今年はコンディショニングを向上させて、オフェンス・ディフェンスともにアンストッパブルな状態でシーズン前半のMVPは文句なしだったのだが、オールスター直後にケガをしてしまい10試合連続で欠場したかつ、復帰後の成績も上がりきっていないことでかなり厳しくなってきた。

 

そこで今シーズン全試合出場し、序盤不調だったナゲッツを引っ張り続けているヨキッチがMVP最有力候補となった。エンビードと同じくコンディショニングが課題かつ、NBA選手とは思えない脂肪の多さが目立ったヨキッチだが、今年はやっと体を絞ったことでプレイのレベルを数段階あげている。ということで、今回はNBA史上最もユニークな選手の一人であるヨキッチのすごさをまとめてみる。

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<パス>

ヨキッチが一番凄いのはなんといってもパス能力である。彼はビッグマンの中では史上最高のPasserといえる。これはヨキッチがリーグに入ってから数年で当たり前のような事実となっていた。彼はありとあらゆるパスを繰り出すことができ、ポストアップからオープンシューターを見つけるだけでなく、カットした選手に絶妙なポジションにボールを出す。それを右からでも、左からでも、バウンスパス、ノールックパスでもなんでもできるのである。たまにディフェンダーの足の間からパスを通したりもする。それだけでなく、センターコートの近くから片手でいとも簡単にパスを投げられるし、代名詞となりつつあるフルコートのタッチダウンパスも自然な流れで超正確である。

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とにかくパスを出すタイミングとアングルが絶妙すぎて、過去にはビル・ウォルトン、クリス・ウェバーなどパスが上手いビッグマンはいたが、ヨキッチは次元が違う。比較対象はビッグマンではなく、マジックやルーカといった希代のパサーと同じようなスキルを持っているのである。今シーズン8.8アシストも記録しており、まさにトップポイントガード並みである。

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<フットワーク>

彼がすごいのはパスだけでなく、そのスコアリング能力である。彼は非常にアンセルフィッシュな選手で自分の得点より、常にパスやオフェンスのフローを考えてしまうタイプで、昨シーズンまでは試合の半分ほぼシュートしないことがあるぐらいであった。これはいいときもあるが、アンセルフィッシュ過ぎるのはチームの得点が必要な時にたまに傷となる。然し、彼のオフェンスレパートリーがないわけではなく、逆にスキル満載で、特にフットワークは目を見張るものがある。そしてヨキッチはNBAの中でもかなりスピードが遅く、ジャンプ力も乏しいがそれを補うゲーム感覚と体の大きさもある。彼のアップアンドアンダーとフックショット、度重なるフェイクは往年のケビン・マクヘイルのようであり、ディフェンダーのポジショニングに合わせて様々なカウンターをする。決して身体能力とパワーで圧倒する訳ではないが、持って生まれたバスケセンスと頭の良さ、タッチの柔らかさを使うのが特徴的である。今シーズンはより積極的に点を取りに行っており、昨シーズンの平均20得点から、一気に26.3得点まで上げてきている。

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<シュートスキル>

ヨキッチがユニークである1つがそのシュート力である。以前から3ポイントを打ってはいったが、確率は30%ちょっとで平均以下ではあった。それが今年はなんと43%まで向上させており、これじゃディフェンスは太刀打ちできない。更に彼は上述のフットワークを生かしてミッドレンジからのシュート力も高い。シュートのアーチが非常に高い彼のショットはブロック不可能である。そしてヨキッチのシュートで一番やばいのが、右足軸の1本足ショットである。一本足シュートといえばダーク・ノウィツキ―が有名であるが、ダークは左足を軸にする一本足であった。というか、右利きの選手であればどんなシュートを打つ時でも左足軸で打つのが当たり前なのだが、ヨキッチはその常識を覆してしまった。彼はフェイスアップした状態からでも、ポストアップからのターンアラウンドでも右足軸でシュートしてしまう。これまで見たことないかつシュートのタイミングが独特な為、ディフェンダーは意表を突かれてしまう。ヨキッチは左足を故障している際に、このシュートの仕方を覚えたようだが、結果的に難易度MAXのムーブが開発されたわけである。一度試してみたらわかると思うが、頭で理解しても自分でやろうとしてできるショットではない。

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<勝負強さ>

ヨキッチはアンセルフィッシュなことで有名だが、一方試合終盤でのクラッチ力も実は高い。有名なNBA Analystのザック・ロウが、ヨキッチはビッグマンではダーク以来クラッチシチュエーションでボールを預けられる選手と最近よく言っている。これは本当に確かで、ローポストからのフックショット、フェイダウェイ、3ポイントも打てる彼は僅差の試合でボールを渡しでも自分でオフェンスを作り出すことができる。常にひょうひょうとしているからなのか、緊迫した状況でも緊張した様子は見せず何事もなかったかのようにシュートを決めるのはヨキッチの凄いところである。昨年のプレイオフでもジャズのゴルベアの上からフックショットを決めて勝利を呼び込んだのは記憶に新しい。普段はパス優先なのに、ここぞという場面で決めてくれるのは彼の魅力である。

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<世の中のふとっちょの希望>

これは番外編であるが、前述の通り今シーズンに入るまでヨキッチはNBA選手としてはかなり太っており、ばりばりのアスリート感は全然なかった。いつも疲れてるいるような走り方や表情をしていおり、何も知らない人が見たら彼が一流選手だとは到底思わないだろう。更に、ビッグマンながらダンクはほとんどしなかったし、同じ身長でケビン・デゥラントやイヤニス、アンソニーデイビスのような宇宙人みたいな選手達がいる中、ヨキッチはすごい一般的な運動神経である。それなのにトップアスリートをきりきり舞いにするヨキッチはとってもユニークかつ、誰もが親近感を持てる選手である。(もちろん身長は211CMなのでそこは普通ではないのだが) 

彼の少年時代のパスポートの写真を見たらどこにでもいるちょっと太めの子供にしか見えず、そんな彼がMVPのフロントランナーになっている事実は世の中の子供に希望を与えてくれる?はずである。

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ぽっちゃり体系だけでなく、ユーモアに富んで面白いキャラクターのヨキッチはこれから更に知名度を上げて、NBAを代表する選手になっていくであろう。

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NBAトレードデットライン全チーム総評!<ウエスタンカンファレンス篇>

どうも。前回の記事の続きとなるが、非常に動きが激しかった今年のトレードデットラインについて、今度はウエスタンカンファレンスの15チームを見ていきたいと思う。

イースタンカンファレンスについては是非下記の記事をお読み頂きたい。

atsukobe.hatenablog.com

グレードの付け方は今回も、Aが最高で、A-B-C-D-Fの順番で採点する。イーストに比べたら大きな動きは少ないのでクイックに見ていく!

 

1. ダラス・マーベリックス:評価B+

主な獲得:JJ・レディック、ニコラ・メリー

主な流出:ジェームズ・ジョンソン、2021セカンドラウンドピック

 

天性のパス能力を持つルーカ・ドンチッチがいるにも関わらずチーム全体のシュート力が微妙だったマブスにとってシューターは絶対的に必要な要素となっており、希代の3ポイントシューターのレディックを獲得できたのでは大きい。もう36歳となり衰えは隠せないが、ルーカと一緒にプレーさせてたらワイドオープンな3ポイントを打てると考えるとレディックの成績も向上するだろう。また、メリーも今シーズンは絶不調だが本来シュート力のあるビックマンであり、マブスでは重宝されるはずである。

 

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2. サンアントニオ・スパーズ:評価D

主な獲得:マーキス・クリス

主な流出:ラマーカス・オルドリッジ (バイアウト)

 

ウォーリアーズからクリスを獲得したスパーズだが、今シーズンはケガでシーズン終了となっており戦力にはならない。更に、今年からインアクティブになる事が多かったオルドリッジはシーズン途中からお互いトレードに合意して、獲得先を探していた。然しオルドリッジの年齢やサラリーもあり、結局相手が見つからず、バイアウトとなってしまった点は、マイナスの評価となる。

 

3. メンフィスグリズリーズ:評価N/A

主な獲得:なし

主な流出:なし

 

全くシーズン通して補強も放出もしていないのがグリズリーズ。正直今のチームではプレイオフ出れるかどうかの境目であるが、2年目の次期スーパースターであるジャ・モラントを中心に若手の成長をとりあえず見守る姿勢なのだろう。

 

4. ニューオリンズペリカンズ:評価B-

主な獲得:ジェームズ・ジョンソン

主な流出:JJ・レディック、ニコラ・メリー

 

デッドライン前はロンゾ・ボールのトレードが噂されたが、スーパースターとなりつつあるザイオン・ウィリアムソンとの相性がよく、課題だったシュート力も向上していることからキープすることにしたよう。代わりにチームの構想から外れていたレディックとメリーをトレードし、今年で契約がきれるジョンソンを獲得したのは評価できる。やる気なのかコーチングなのか、チームの戦力に割になんとも煮え切らない試合が多いペリカンズだが、ザイオン中心のチーム作りを今後期待したい。

 

5. ヒューストン・ロケッツ:評価F

主な獲得:ケリー・オリニック、エイブリー・ブラッドリー、DJ・オーガスティン、DJ・ウィルソン、2022/2023ファーストラウンドピック

主な流出:ヴィクター・オラディポ、PJ・タッカー

 

ロケッツはジェームズ・ハーデンをシーズン途中でトレードしたのにも関わらず、最終的に得られたアセットが少なすぎた。。。ネッツからカリス・レヴァートを獲得できたところをオラディポを選んどきながら、いざオラディポをトレードして得られた選手がロールプレーだけというのは悲しすぎる。ドラフトピックもヒートやバックスからのものであり、決して高ポジションのピックではない。ハーデントレードの段階で、シクサーズのベン・シモンズを獲得するチャンスがあったのに将来のアセットに拘り、その上で大したリターンがなかったという最悪なケースであり、評価は最低のFとなった。

 

6. ユタ・ジャズ:評価B

主な獲得:マット・トーマス

主な流出:2021セカンドラウンドピック

 

現在リーグ全体で1位の勝率を誇るジャズは層が厚く、補強をする必要があまりなかったが、その中で改革期のラプターズから3ポイントシューターのマット・トマースを得られたのはよかったと思う。あまりプレイタイムは多くはないと思うが、既に3ポイントが非常に強いジャズのシュート力を更に高めることができるだろう。

 

7. ミネソタ・ティンバーウルブズ:評価N/A

主な獲得:なし

主な流出:なし

 

デッドライン前には、ホークスのジョン・コリンズやマジックのアーロン・ゴードン獲得に興味を持っていたと言われていたウルブズだが、最終的には全く動きを見せなかった。現在リーグ最下位の中、正直補強する意味はあまりないので、今いる若手を育成することに注力していき、また今度のドラフトで上位選手を指名できる体制を整えると見られる。

 

8. オクラホマシティ・サンダー:評価B+

主な獲得:トニー・ブラッドリー、オースティン・リバース、2025/2026/2027セカンドラウンドピック

主な流出:ジョージ・ヒル、トレバ・アリーザ

 

ドラフトピックを持ちまくるサンダーがまたもドラフトピックをゲットした。これで今後7年間で合計34個のドラフトピックを持つというまさにピック大魔王である。サンダーはまさにrebuildの段階であり、ベテラン選手のヒルとアリーザを放出することは痛くもかゆくもない。想像以上に若手が頑張り、成績がいいサンダーだが、これから後半戦は負け続けるtタンキング戦略を取っていくだろう。

 

9. デンバー・ナゲッツ:評価A

主な獲得:アーロン・ゴードン、ジャベル・マギー

主な流出:ゲリー・ハリス、RJ・ハンプトン、2025ファーストピック、2023/2027セカンドラウンドピック

 

ナゲッツは今回のデッドラインの勝者の一人であると言える。オフシーズンにジェレミー・グラントが抜け、オールラウンドに活躍できるPFが必要だった中で、マジックで燻っていたゴードンを獲得できたのは大きい。彼は何かにすごい秀でているわけではないが、ドライブもでき、パスもでき、ディフェンスもそれなりに上手く、オフェンスが二コラ・ヨキッチ中心に回るナゲッツでは上手く機能すると考えられる。また、マギーもヨキッチにはないリムプロテクションの要素を与えてくれる。一部将来期待されるハンプトンやドラフトピックを出す必要はあったが、MVP候補のヨキッチの全盛期を逃さない為に、バランスの取れたチームでWin-Now-Modeなことが伺える。

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10. ポートランド・トレイルブレイザーズ:評価C

主な獲得:ノーマン・パウエル

主な流出:ゲリー・トレントJr、ロドニー・フッド

 

リラードとマコラムという強力バックコートを支えるフロントコートが手薄だったブレイザーズは、上述のゴードン獲得を目指していると報じられていたが、蓋を開けると同じガードのノーマン・パウエルを獲得した為、個人的に若干???となった。パウエルは今シーズンキャリアベストな成績を残しており、オフェンスの爆発力を持った選手ではある。なのでガード2人とうまくマッチできればオフェンスの破壊力がすごいチームとなるが、ガード3人とも193センチ以下という超スモールラインアップとなり、既にリーグ最下位近いディフェンスは更に弱体化するだろう。このトレードが吉とでるか凶とでるか正直分からない。

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11. フェニックス・サンズ:評価C+

主な獲得:トリ―・クレイグ

主な流出:なし

 

クリス・ポールをオフシーズン獲得して一気にタイトル争いに名乗りを上げたサンズはディフェンスができるビックマンが強いバックアップセンターがいないことが弱点に見えたが、特にそこで動きはなく、ウィングディフェンダーのクレイグを獲得した。選手を誰もトレードすることなく、昨シーズンのプレイオフではナゲッツでローテーション入りしていたクレイグを獲得できたのは評価できるが、優勝を狙うにはまだ少しパンチに欠ける気がする。

 

12. サクラメント・キングス:評価D

主な獲得:ディロン・ライト、テレンス・デイビス、モー・ハークレス

主な流出:ネマニャ・ビエリツァ、コリー・ジョセフ、2021/2024セカンドラウンドピック

 

キングスはやっぱりキングスである。いい選手がいる中今年も勝率5割以下のキングスは、ベテランのハリソン・バーンズや才能を開花できていないマービン・バーグレーをトレードするかと言われていたが、彼らはキープし、あまりプラスにもマイナスにもならないトランザクションをした印象である。どうせならフロントオフィスやヘッドコーチのルーク・ウォルトンと対立し、今年成績が落ち込んでいるバディ・ヒールドのトレード相手を探すべきだったのではないかと勝手に悔やまれる。

 

13. ゴールデンステート・ウォーリアーズ:評価D

主な獲得:なし

主な流出:マーキス・クリス、ブラッド・ワナメーカー

 

ウォーリアーズはステファン・カリーの残り数年の全盛期を無駄にしてしまってもいいのだろうか?もちろんクレイ・トンプソンが今シーズン出場できないので優勝の可能性は極めて低いが、このままではプレイオフも逃してしまう可能性もある。ラグジュアリータックスを大幅に超えており動きがしづらいとは言え、折角カリーがMVP並みの好成績を残しているのに、誰も獲得に動かないのはちょっともったいないなと思ってしまう。

 

14. ロサンゼルス・レイカーズ:評価B

主な獲得:アンドレ・ドラモンド (バイアウト)

主な流出:なし

 

レブロンデイビスの2大巨頭がケガでいないレイカーズはもしかしたらプレイオフ下位の順位になってしまうのかも言われているが、トレードは行わなかった。直前にはカイル・ラウリー獲得に動いているという動きもあったが、デイビスのトレードで既に多くのドラフトピックを渡しており、現実的なオファーはおそらくできなかったのであろう。然し、丁度デッドライン数日後にキャブスからバイアウトされたドラモンドを獲得することができたのは一定のプラスになるだろう。毎年リバウントの数が半端なく数字だけ見たらスター選手に見えるドラモンドだが、正直リバウンドと多少のパス以外強い部分はないので、過大評価されがちな選手でもある。どちらにせよ選手層が非常に薄いレイカーズにとってはいい補強だったと思う。

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15. ロサンゼルス・クリッパーズ:評価B-

主な獲得:ライジャン・ロンド、2022セカンドラウンドピック

主な流出:ルー・ウィリアムズ、2022/2023/2027セカンドラウンドピック

 

サンダーと対照的にドラフトピックを他チームにあげまくるのがクリッパーズである。とにかく今勝ちたいという気持ちが強いのは確かで、毎年プレイオフで苦戦するウィリアムズをトレードしたのは悪くないと思うが、ドラフトピックまで出してロンドを獲得する必要はあったのかは微妙である。以前からチームのアシスト数が少ない、ボールムーブメントがない、PGが弱いと言われ続けていたクリッパーズだけに、フロアジェネラルにロンドが入ることはプラスにはなるだろう。全盛期を過ぎ、今シーズンもさっぱりな彼だが、ニックネームがプレイオフロンドだけに、代償は大きかったといえ、昨シーズン恥をかいたクリッパーズの優勝の可能性を高めてくれると若干期待したい。

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NBAトレードデットライン全チーム総評!<イースタンカンファレンス篇>

どうも。現地時間3月25日がNBA2021年シーズンのトレードデットラインだった。毎年デットラインの直前はものすごく多くのトランザクションが行われるが、今年も例外ではなく、事前から多くの噂が流れていた。今回は大きなビッグトレードの数は少ないかとは思われたが、蓋を開けてみたらデットラインの日だけで、合計46トレードと史上最高数となり大いに盛り上がった。(日本時間だと深夜4時が締め切りだったのでさすがに起きてられてなかったが、、、)

 そこで、今回はトレードを行ったチーム、していないチームを含めて全30チームのデッドライン前後の動きを評価をしてみたいと思う。グレードの付け方は、Aが最高で、A-B-C-D-Fの順番で採点する。まずこの記事ではイーストから紹介する!

 

1. ボストンセルティックス:評価C

主な獲得:エバン・フォニエ、モー・ワグナー

主な流出:ダニエル・タイス、ジェフ・ティーグ、ジャボンテ・グリーン

 

セルティクスはデッドライン前からハリソン・バーンズやマジックのアーロン・ゴードンなどフォワードの獲得に名乗りを上げていたが、蓋を開けてみるとチームメイトだったガードのエバン・フォニエをゲットした。ケンバ・ウォーカーがケガから復帰後かなりアップダウンが激しく、現在ジェイソン・テイタムとジェイレン・ブラウン以外オフェンスをクリエイトできる選手がいないことは理解できるが、それ以上に手薄なフロントコートの選手を見つけられず、キープレイヤーだったダニエル・タイスも手放しており、期待を裏切る結果となっているチームの起爆剤となるかは微妙である。

 

2. ニューヨーク・ニックス:評価C

主な獲得:テレンス・ファーガソン、2021セカンドラウンドピック

主な流出:オースティン・リバース

 

今年想像以上の躍進を見せているニックスは特に大きな動きはしなかった。若手主体のチームで既に出場機会がなくなっていたリバースの放出は問題ない。但し、現行のチームでは特にガード陣の能力は他チームと比べて見落とりする為、そこを狙ってもよかったのではないかとは思うが、ニックス復活1年目ということもあり、今後に期待である。

 

3. ブルックリン・ネッツ:評価B

主な獲得:ブレイク・グリフィン、ラマーカス・オルドリッジ (トレードではない)

主な流出:なし

 

ネッツは既にシーズン序盤にジェームズ・ハーデンをトレードで獲得して超強力なBig3ができている為、デッドラインでトレードは行っていない。一方、デッドライン前にブレイク・グリフィン、更にデッドライン後にラマーカス・オルドリッジをそれぞれバイアウトでゲットしている。既に全盛期を過ぎた元オールスターPF2人であり、ブレイクはプレイメイク、オルドリッジはミッドレンジジャンパーでまだ貢献はできるが、どちらもディフェンスはかなり落ち込んでおり、どこまでチームの優勝へのカギとなるかは未知数である。いずれにせよバイアウトからの獲得はネッツにとっては痛みを生まないトランザクションなので、高評価とした。

 

4. トロント・ラプターズ:評価C

主な獲得:ゲリー・トレントJr、ロドニー・フッド、

主な流出:ノーマン・パウエル、テレンス・デイビス、マット・トーマス

 

ラプターズ史上最高の選手カイル・ラウリーのトレードがデッドライン前は最も騒がれており、デッドライン前日の試合ではメディアもラウリーもお別れモードとなっていたなのだが、まさかのラウリーをキープとなった。現地ではラウリーの年間30憶のサラリーにマッチするかつラプターズにとって魅力的なオファーが結局見つからなかったと報じられているが、今年のオフにFAとなり、おそらく移籍も考えられる35歳のラウリーの代わりを見つけられなかったのは今後のチームビルディングにとっては痛い。然し、同じく今年FAとなるパウエルをトレードし、代わりに若手でグッドシューターかつディフェンダーのゲリー・トレントJrをルーキー・サラリーで獲得できたのはよかったと思う。

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5. フィラデルフィア・セブンティシクサーズ:評価B

主な獲得:ジョージ・ヒル

主な流出:トニー・ブラッドリー、2021/2025/2026 セカンドラウンドピック

 

フィラデルフィア出身のラウリー獲得の最有力候補と言われていたシクサーズだったが、最終的には同じベテランポイントガードのジョージ・ヒルを獲得した。ハーフコートでのゲームコントロール力とシューティング力が必要だったシクサーズにとって、ヒルはラウリーよりレベルは下がるが、安定という言葉がふさわしくディフェンスも平均以上かつ昨年3ポイント%がリーグ1位だった選手をゲットできたのは大きい。ラウリーであれば数人の主力選手を放出しなければいけなかったが、ヒル獲得に動いたことで主力全員をキープできており、いい補強の仕方ができたのではないか。

 

6. ミルウォーキー・バックス:評価B-

主な獲得:PJ・タッカー、2022ファーストラウンドピック

主な流出:DJ・オーガスティン、トリー・クレイグ、ドラフトピック多数

 

デッドライン前にはなるが、バックスはディフェンスとタフネス、コーナー3ptが得意なタッカーを獲得した。放出した選手もローテーションには入っていたが誰も重要なファクターとはなっていなかったので、まずまずのトレードと言えるだろう。今年はロケッツでかなりプレーの質が落ちていたタッカーだが新天地に移って少しは昨年までの動きが取り戻せるか見ものである。但し、バックスは引き続きプレイオフでイヤニスが抑えられ時のカウンターが見つけられておらず、現在のこのロスターがネッツやシクサーズをプレイオフで敗れるかはちょっと微妙な気がする。

 

7. インディアナ・ペイサーズ:評価N/A

主な獲得:なし

主な流出:なし

 

ペイサーズはネッツと同じく、ハーデンのトレード時の動きが激しかったので、デッドラインでは特に何もなかったが、シーズン中盤から調子を落としているチームのテコ入れはしなかったのには少し驚いた。トレード時に癌が見つかり治療空けのカリス・レヴァートとその他のロスターのマッチ度が今後のカギとなる。

 

8. クリーブランド・キャバリアーズ:評価C

主な獲得:アイザイア・ハッチンソン、2023/2027セカンドラウンドピック

主な流出:ジャベル・マギー

 

チームの若返りを図る中、センターが混雑していたキャブスがベテランのマギーをトレードできたのは評価できる。が、同じくセンターのアンドレ・ドラモンドについては、数か月前からトレードを模索していたのにも関わらず、結局トレードパートナーが見つからず、バイアウトしなければいけなくなったのはいただけない。

 

9. デトロイト・ピストンズ:評価C+

主な獲得:コリー・ジョセフ、2021/2024セカンドラウンドピック

主な流出:ディロン・ライト

 

リーグ30チームの中でおそらく最も弱小なロスターを抱えるピストンズの手玉は少なかったと想像するが、若手PGライトの代わりに、ベテランPGのジョセフと獲得して、更にドラフトピックをゲットできたのは一定の評価に値する。チームのロスターが貧弱なことには変わりなく、ピストンズ再建まではまだ数年かかりそうではあるが。。。

 

10. シカゴ・ブルズ:評価A-

主な獲得:二コラ・ブサビッチ、ダニエル・タイス、トロイ・ブラウンJr、アル・ファールク・アミーヌ

主な流出:ウェンデル・カーター、オト・ポーター、2021/2023ファーストラウンドピック

 

デットラインで最もアクティブだったチームの1つがブルズである。ここ数年は弱小チームとなっていたが、スコアラーのザック・ラビーンがオールスターに成長し、今年はプレイオフが狙えるかもということで大きく動いた様子。マジックからオールスターセンターのブサビッチを獲得したことで、ラビーンとの強力なワン―ツーパンチができた。ブサビッチは3ポイントも打て、ポストアップやミッドレンジもできる万能センターなので、ラビーンにうまく合わせることができるだろう。まだバックアップセンターとしてタイスを獲得できたのも大きい。放出した選手が、ルーキーから成長しきれていなかったカーターや、サラリーだけ高くチームへの貢献度はイマイチだったポーターだったことを考えると、ドラフトピック以外のマイナスはなかったと思うし、いいトレードをしたと評価できる。

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11. ワシントン・ウィザーズ:評価C

主な獲得:チャンドラー・ハッチンソン

主な流出:トロイ・ブラウンJr、モー・ワグナー

 

現在得点王のブラッドリー・ビールのトレード話がシーズン序盤盛り上がったウィザーズだが、ビール自身も今年はウィザーズにステイしたい意向とのことで、チームは弱いながらも大きなトレードは起きなかった。トレードで獲得したハッチンソンはローテーションとはなるが、チームの現状を変えるものではなくオフシーズンのビールの動向に注目にされる。

 

12. シャーロット・ホーネッツ:評価C+

主な獲得:ブラッド・ワナメーカー

主な流出:なし

 

イーストのプレイオフ争いで大健闘しているホーネッツは更にチームを強化する為に動きが活発になるかと思われたが、ルーキーセンセーションのラメロ・ボールがシーズン終了のケガをしてしまったことで、今年のチャンスは少ないと思ったからなのか、目立ったことはしなかった。プレイオフに出ることがまず目標となっているチームで、現実的に今動いても優勝を狙えるチームでないことを考えたら賢明な判断かもしれない。

 

13. アトランタ・ホークス:評価B+

主な獲得:ルー・ウィリアムズ、2023/2027セカンドラウンドピック

主な流出:ライジャン・ロンド

 

ヘッドコーチを解雇後躍進中のホークスは、ホーネッツと同じく久しぶりのプレイオフ進出を目指している。その上で今回のトレードがゲームチェンジャーとなったわけではないが、オフシーズンに高年俸で契約したが全然貢献していなかったロンドを放出し、ドラフトピックとルー・ウィリアムズを獲得できたのは評価できる。アトランタのレジェンドとして有名なウィリアムズが移籍後活躍しなかったとしても、ガードが揃っているホークスにとっては痛みの少ないトレードとなった。

 

14. オーランド・マジック:評価B+

主な獲得:ウェンデル・カーター、RJ・ハンプトン、オト・ポーター、ゲリー・ハリス、ジェフ・ティーグ、2021/2023/2025ファーストラウンドピック

主な流出:二コラ・ブサビッチ、アーロン・ゴードン、エヴァン・フォニエ、アル・ファールク・アミーヌ

 

このデッドラインでフルタンクモードに入ったのがマジックである。チームの中でTop3の選手だったブサビッチ、ゴードン、フォニエを全員放出し、ドラフトピック含めて若手の有望株のカーターやハンプトンを獲得したことで、未来に向けて動き始めた感じである。ドワイト・ハワードが移籍後、毎年プレイオフに出るか出ないかを行きし、ドラフトもうまくいっていなかったマジックがやっと重い腰を上げて、一気にタンクまっしぐらとなり、今年で上位のドラフトを狙うのはいいことだと思う。オールスターのブサビッチも今が全盛期で売値が最も高いわけで、このタイミングでトレードしたのは正解だったはずだ。

 

15. マイアミ・ヒート:評価A

主な獲得:ヴィクター・オラディポ、トレバ・アリーザ、ネマニャ・ビエリツァ

主な流出:ケリー・オリニック、エイブリー・ブラッドリー、モー・ハークレス、マイアズ・レナード

 

いつもチーム運営が上手いヒートがまたやってくれたという感じである。前からずっとヒートでのプレイを希望していたと言われる元オールスターのオラディポを痛みを伴わずに獲得し、ディフェンダーのアリーザやシュートが上手いビエリツァの獲得に成功し、確実にチームは強くなった。オリニックについては結構なプレイングタイムがあったがチームの行方を決める選手ではないし、その他放出したプレイヤーはほぼプレーしていなかったので、ヒートにとってはかなり実りのあるデッドラインとなった。オラディポはケガから復帰後かなりアップダウンが激しいが、契約は今シーズンまでであり、うまくいかなかったらそのまま再契約しなければいいのでリスクはかなり低いし、もしオラディポが安定した活躍を見せれば昨年ファイナルに進出したチームの起爆剤となるだろう。

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エスタンカンファレンスは次回の記事をお楽しみに!

アトランタ銃撃事件で浮き彫りになるアメリカのアジア人差別と銃社会の問題

どうも。今回はアメリカ時間の3/16に起きたアトランタでのアジア人マッサージ店を標的とした銃撃事件についてピックアップしたい。この件については、日本ではあまり大きな話題になっていないが、アメリカでは連日取り上げられている。

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この事件は、別々の場所にある3つのマッサージ店 (セクシーマッサージ店ではある)を狙った単独犯行であり、容疑者はロバート・アーロン・ロングという白人の男である。合計8人が殺害され、そのうち6人がアジア人女性であった。容疑者は犯行の動機を自分がセックス依存症だったからだとして、自分のような症状に悩む人を苦しめる存在をなくしたかったからだと述べている。これがどこまで本当だかわからないが、この件は最近増加するアジア人差別とヘイトクライムジェンダー差別、職業差別、終わらない銃撃事件と白人至上主義いった様々なアメリカ社会の問題を露呈している。そこで、この記事では今回の悲劇につながった理由・問題をそれぞれの角度から深堀していきたい。

 

<アジア人差別とアイデンティ>

アメリカでのアジア人差別が昔からなかったわけではもちろんなく、古くは中国移民が1800年代に鉄道建設の重労働を低賃金で働かせられたり、中国人虐殺も起こっていた。日本人も第2次世界大戦直後は、子供も含めて強制収容所に入れられ過酷な生活を強いられたりした。然し、アジア人が勤勉かつスマートというイメージや、体格も小さめで「脅威」と思われづらいこともあってか、黒人が経験するような非道な待遇や、警察による殺害を受けづらかった。(そのイメージこそが差別主義なのだが) 奴隷として連れてこられ、アメリカの誕生時から存在する黒人と比べると、アジア人の移民はまだ歴史も短く、潜在的に存在する嫌悪感が比較的少ないのだろう。

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また、アジア人差別が問題になりにくのは、黒人と違いエンターテイナー界やスポーツ界での力もまだ弱いため、アジア人のボイスが届きづらく、差別が起きているという事実が世の中に知られづらいこともあると思う。(エンタメ界のアジア人Representationが少ないのは今後の大きな課題であると感じている) 

 

更に、差別が可視化されづらいかつ、アジア人としてまとまりづらいこともこともBlack Lives Matterのような大きな運動にはなりにくい理由なのかもしれない。黒人が黒人としてのアイデンティティを強く持って団結するのに対して、アジア人はその中でも東洋系、東南アジア系、インド系など様々なアイデンティが存在している。同じ東洋系の中でも中国人、日本人では全然違う考えを持っていることが多く、一致団結しづらいのは確かである。こういったことから全国ニュースで取り上げられるようなアジア人差別への抗議のムーブメントは起きてなかった。

 

<コロナの影響>

状況が大きく変わったのが、コロナウイルスである。そしてコロナの時に大統領がトランプだったのことも差別に拍車をかけた。発症国が中国であることには間違いないのだが、トランプがそれをしきりにChina Virus (中国のウイルス)と連呼し続け、全ての原因が中国にあると言い続けた責任は非常に大きい。トランプはカルトリーダーだった (今でもだが) わけで、その信者は彼が言う事が絶対であり、信者はアメリカで40%もいたのである。このトランプのカルトの影響は1/6の議会襲撃とも大きく関連しており、トランプが2020年の大統領選挙が不正と言い続けたことで、それを信じた者たちがトランプの為にと議会を選挙したのである。この件については下記の記事にまとめているのでご覧頂きたい。

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このカルト信じている人達や、コロナによるストレスを暴力的かつ臆病な形で表すやからによって、アジア人は格好のターゲットとなり、銃撃事件の前からニューヨークやサンフランシスコでアジア人の高齢者に背後から強くぶつかる、殴るといった事件が発生しており、ヘイトクライムアラートは出ていた。

 

また、現在NBAのG-Leagueでプレーしているアジアンスーパースターのジェレミー・リンは、事件の直前に試合中に相手選手からコロナウイルスと呼ばれたと訴えた。実は黒人からのアジア人差別の要素も見逃せない。黒人は黒人で差別を受けているのだが、正直個人的な経験も含めて黒人によるアジア人差別意識が意外と強かったりするのである。まさしく負の連鎖といったところかもしれない。その後今回の惨事も受けて、リンはCNNなどのニュース番組にも出演して、アジア人差別の啓蒙を行っている。

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今回の容疑者はアジア人差別が動機ではないと言っているが、アジア人が経営しているマッサージスパを狙って、アジア人を殺害の対象で狙っていたことは明らかで、元々アジア人に対する嫌悪があったことは間違いない。そして、自分は人種差別主義者じゃないという奴こそ差別主義者なわけで、人種差別主義者かどうかは本人が決めるものではなく、周りが判断するものである。

 

<ジェンダー差別と職業差別>

世の中の女性差別について新しい情報は特にないと思うが、容疑者は明らかに女性を下に見ていたのであろう。自分がセックス依存症になった原因を女性側の責任にしており、あたかも自分に非がないとでも思ったのだろうか。

 

また今回のターゲットがいわゆるセックスワーカーであったことも重要なファクターである。これも女性差別と同じく自分の問題を、スパで働いている人達が原因なんだと、アホみたいな意識のすり替えが行われている。セックスワーカーは社会の中で低い階層にあるという考え方は日本でも非常に強いが、彼らは他に選択肢がないからその仕事をしている、人前でそんな仕事をするなんて汚らしいといった思っている人は多いと思う。そういった職業の差別的意識が容疑者であるロバート・アーロン・ロングの大きな動機となっており、こういった考え方を社会全体で修正していかなければならない。

 

セックスワーカーは司法や社会から守られていないことが多く、昔から男性客や雇い主による暴力や差別にあってきた。セックスワーカーの大半は女性であり、女性を守るという事が大事なのはもちろんだが、全ての職業には意味があり、誰もが恥を感じることなくやりがいを持って仕事をできる世の中になってほしいものである。

 

<銃社会と白人>

銃撃事件の多さはアメリカ社会特有の問題であり、アメリカ人の銃に対する愛着は他国からすると理解しづらい。私も一部のアメリカ人の銃への執着の理解には苦しむ。憲法の2nd Amendmentの銃の保持の権利を異常なほどまでに守ろうとし、保守派はどんな事件が起ころうとも銃規制をしようとしない。事実、先進国の中でアメリカの銃による死亡数は圧倒的に高く、NRA (全米ライフル協会)が長らく、政界でも圧倒的な力を持っていたことがアメリカのおかしさを露呈している。

 

当たり前であるが、銃は刃物に比べたら不特定多数の人を一気に殺すことができるわけで、銃を使った虐殺はアメリカでは後を絶たない。ここ5年以内でもラスベガスやオーランドの繁華街での大量虐殺はそれぞれ50人前後の死者が出ているし、学校での銃撃事件も毎年のように起こっている。その度にGun Adovocateは銃に問題があるわけではなく、各容疑者の精神状態に問題があり、精神疾患を発見・治療することが一番大事だと訴える。この議論自体論点がずれており、そもそも精神的に不安定な人含めて誰もが殺人兵器となるライフルやハンドガンを手に入れることができてしまうことが問題なのである。メンタルに問題がある人を全てケアすることはほぼ不可能だが、そこから発生する大量虐殺は銃規制によって防げるはずなのにである。

 

では銃による犯罪が起こったときに、精神疾患について強調したり、銃規制について言及しないのはどうしてなのか。その大きな理由の1つが、多くの場合容疑者が白人男性だからである。ここでも人種差別と白人至上主義というアメリカ社会の闇が表れている。大量殺人が黒人やムスリムによって行われたらなんとメディアで表現されるだろうか。それは、テロである。でも白人が容疑者だとそうならない。

 

保守派のメディアは異国、特に中東や、メキシコからの脅威を誇張して伝え、移民の恐怖を訴えるのに対して、 (中東からのテロはもちろんあるが)、国内の脅威については軽視しようとする。彼らは、白人が大半の主犯である1/6の議会襲撃についても、暴動やテロと伝えたがらなかったわけだが、黒人扇動のBlack Lives Matterについてはドメスティックテロリズムと表現する。銃によるテロについても同様で、容疑者は世の中にストレスを抱えていた、闇を持っていたとすぐに容疑者側の弁護に走る。黒人が銃を持っている場合はギャングだ、凶悪犯だと叫ぶくせに、白人だったら銃を持っていても普通だと言っているのである。

 

今回も事件の翌日の警察の会見で、容疑者を擁護するかのように"He was having a bad day"と警官が発言した。気分が乗らない日を過ごしていたら、何も関係ない8人を命を殺害してもいいのだろうか。白人以外が同じことをしたら、このPolice Cheifは同じように言うだろうか。改めてアメリカにおける白人擁護を誇示する悲しい現実を突きつけられた。

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銃好きな人達は、自分の身を守る為に銃を保持しなければいけないというが、そもそも誰もが銃を手に入れることができなかったら、凶悪犯罪も起こりづらいはずである。差別意識を持った人が、自分が気に入らない人種や、職業、性別をターゲットにして悪事を企むことは容易に想定ができ、今回の惨事は今後何度も繰り返されるだろう。いつまでたっても変わらないこの銃規制の問題と、表沙汰になりづらかったアジア人差別、職業差別が組み合わさった複雑、いやシンプルで非情なアメリカ社会の異常さを考えさせられる事件であった。