ディープなNBA・バスケトーク+アメリカ文化

NBAとアメリカンカルチャー中心のブログ

スキャンダルの続くNBAの報道のあり方

どうも。NBAのジャパンゲームが開催され、SNS含めて結構な盛り上がりを見せた。さいたまスーパーアリーナにも満員の観客が集まっていたり、セレブリティが観戦していたのを見ると、2006年に開催された世界バスケで同じさいたまスーパーアリーナの会場に私自身が行った際、アメリカ戦ですら半分ぐらいしか席が埋まってなかった状況と比べて日本のバスケへの熱度が大きく変わったなと思う。もちろん八村塁という存在もでかいし、カリーが来日したのも大きいのだが、2006年の時だって、レブロン、ウェイド、カーメロ、ポールなどが錚々たる布陣を揃えていたのだから、この15年程のバスケ人気の変化を考えると感慨深い。

 

そんなハッピーなニュースの中ではあるが、今回はここ最近NBAで大きな話題となった、フェニックス・サンズのロバート・サーバーのセクハラ・パワハラ・人種差別的言動についての報道からのチーム売却、そしてボストン・セルティックスのイーメイ・ユードカの不倫・セクハラ問題からの1年間サスペンドというスキャンダラスなニュースが続いている状況とメディアのあり方について考えてみたい。

 

<ロバート・サーバーとサンズ>

まず、サンズのオーナーであったサーバーについての報道に触れてみよう。もともとサーバーが良いオーナーではないということはNBAコミュニティの中では広く知られていたことだった。2004年にチームを購入してからというもの、スティーブ・ナッシュを率いて5年程度強豪のチームとなったが、その時期から非常にケチなオーナーでラグジュアリータックスを超えないように選手を放出したり、やたら偉そうに振る舞っているなど評判は決して良くなかった。そこから2010年代になるとサンズは万年プレイオフを逃すチームとなり、その間にコーチがしょっちゅう変わったり、十分な補強をしなかったり、施設をアップグレードしなかったりと悪評は高まるばかりであった。また、元チーム関係者や選手達からの発言でも評判の悪さが伺えのだが、それがスポーツニュースのトップに来るほど話題になったことはなかった。

 

それが大きく変わったのは、昨年2021年にESPN (アメリカの大手スポーツサイト・ケーブルチャンネル) の記者であるバクスター・ホームズによる詳細な記事である。この記事では、多くのエビデンスをもとに、どれだけサーバーがやばい人間であるかを世間に明示したのである。

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この記事を書くにあたり、バクスター・ホームズは合計70人以上の現サンズ関係者や過去の従業員に取材し、全てちゃんと裏をとった上で報道をした。これを完成させるにあたり彼は相当の時間を費やして、立証できる内容をベースに、サーバーとサンズの問題点を指摘することに成功した。

 

この報道を受けてNBAは独自の調査を1年かけて行い(長すぎる気がするが)、サーバーを1年間オーナーとしてサスペンド、罰金1,000万ドルの罰金を課すことを決定した。しかしこの決定の直後には、罰則が甘すぎるとしてNBAご意見番であるレブロン・ジェームズや現役サンズ選手のクリス・ポールが失望のツイートをしたこと、Paypalなどがスポンサーから撤退表明を出したことによって、世の中と組織内部の大きなプレッシャーを受けて結局サーバーはチームを売却することを決定した

 

<ちなみにではあるが、このNBAの罰則決定からの、レブロンとポールのツイート、スポンサーの撤退は実は裏で関係者が合意を取った上でのコーディネーションだとも言われている。なぜこんな回りくどいやり方をコソコソしたかというと、オーナーがチームを手放すかどうかはNBAに決定権はなく、あくまでオーナーにプレッシャーを与える事しかできないからである。その為、チーム売却をせざる負えない状況に追い込むようにNBAの内部でコミュニケーションを取っていたということになる。>

 

このケースは、1人の記者の時間をかけた徹底的な取材と報道がチームの歴史を変えた、まさにInvestigave Journalismの最たる例と言えるだろう。

 

<イーメイ・ユドーカと女性問題>

サーバーを売却に追い込むきっかけとなった詳細な取材と記事とは正反対の、センセーショナルかつゴシップまみれの事象となったのがボストン・セルティックスのヘッドコーチのイメーイ・ユドーカの不倫・セクハラ?問題である。ニュースが出てきたのが9月22日、これを書いてる10月4日になっても未だに具体的な内容が分かっておらず、憶測の上で話が進んでしまってその憶測によるバックラッシュなども起きているという非常にMessyな状況である。どうしてこんなことになってしまったのかを観察すると以下のとおりである。

 

① Wojの匂わせツイート

事の発端は、元々は全く事前背景とかがない中で、このブログにも度々登場するニュースブレイカーのWojことAdrian Wojnarowskiが、ユドーカがセルティックスからサスペンドされる可能性があるという事実だけを先にツイートしたことに始まる。この段階で誰もセルティックスの内部事情を知らない中で、いきなりサスペンドの可能性だけ報告されたら、何があったのだと反応するのが一般的な感覚であり、ツイッター上でも憶測ツイートが飛び交うようになる。

 

② Shamsの追い打ちツイート

この曖昧なツイートがされた2時間半程度経った後に、今度はWojのライバルであるShamsこと、Shams Charaniaが既婚者であるユドーカ (Nina Longというアメリカでは知られた女優が妻) が女性と同意の上でセルティックスのスタッフメンバー親密な関係を持ったとツイートしたのである。

 

この事実だけを聞くと、正直よくある事なのではないかという話になるのだが、ここでSNSの悪魔的要素が浮かび出る。一部のツイッターユーザーがじゃあ誰がユドーカと不倫していた可能性があるのかを推測し、考えられるセルティックスの女性のスタッフの写真をツイートしまくったのである。その人であるという確証がゼロの中、憶測が憶測を呼び、セルティックスの女性スタッフ・社員の多くが私はユドーカの不倫相手ではないと表明しなければいけない事態にまでなった。これこそ本当にプライバシーの侵害であり、センセーショナルなニュースを面白がって相手の気持ちを全く考えない人間の醜さが表立って出た1日であった。

 

セルティックスの対応の悪さ

更にその翌日には、ユドーカが1年間丸々HCの座を降りるという決定がセルティックスから下されたことがツイートされると、更なるゴシップと議論が沸く。同意の上での不倫で1年もサスペンドされるのは長すぎるのではないか、いいか悪いかは別として他でも絶対ある事象なのにチーム内で不倫したことでこれだけ重い処罰なのか、実は不倫ではなくヘッドコーチとスタッフという力関係の差を利用して強引に不倫関係に持ちこんだのではないかなど、正確な事実が分からないまま異なる意見がツイッターだけでなくスポーツ番組でもたくさん見られた。もちろん報道のされ方やそれを受けての反応に批判がいくのは当たりまでではあるが。セルティックスも詳細を全く語らない為、ゴシップだけが独り歩きさせることに加担したことは事実であり、彼らの説明責任も問われるべきだと思う。

 

<スクープをとにかく狙う現代スポーツメディアの悪>

こうしてみてきたように、この件についてはまずWojがいけない。セルティックスからの正式な発表がある前に、詳細も不明な状態でユドーカがサスペンドされる可能性だけをツイートして不必要な会話をたくさん生んだ。そしてShamsもそれに重ねるように、ソースをもとに聞いた内容をツイートだけして更なる疑問を作ったという点でも責任重大である。SNSの発達によって、とにかく一番早くに情報を届けることが良しとされるようになってしまい、スポーツメディアも例外ではない。確かにFAやトレード情報においては素早い情報を得られるというのはありがたいことだが、オフィスの中の不倫・セクハラ問題というのはとても繊細に扱わなければいけないトピックである。それをあたかもトレードの発表のようにツイートしたブレイキングニュース文化が今回のゴタゴタと失態を生んだ根源であると思う。

 

冷静に揃った証拠をもとに、ファンに事実を伝えるという記者達のプロセスが中途半端であった為に、相手の気持ちを考えないやからが多数存在するSNSで誹謗中傷が助長され、事実でないことまでツイートされまくり、それを鵜吞みにするスポーツコメンテーターが適当な事を言って議論するというゴシップの悪循環が出来上がってしまった。

 

それぞれのニュースの内容が全く違うとはいえ、報道のされ方、反応の受け方があまりにも違うこの2つのショッキングな事例は、現代スポーツジャーナリズムの闇を表沙汰にすることになったといえ、これをきっかけに、関係する全ての人達がもっと相手へのケアを持ったresponsibleな行動をすることを願いたい。

 

ヨーロッパ選手がNBAを支配する時がきたのか

どうも。久しぶりの投稿となりましたが、NBAもちょこちょこ話題が入ってきており、サンズのオーナーのロバート・サーバーが、セクハラ、パワハラ、人種差別のもろもろが原因でオーナーを1年間サスペンドされたのちチームを最終的に売ったり、セルティックスのHCのイメ・ウドカが女性問題(不倫、セクハラ?など真相はまだ不明) で1年間サスペンドされたりと、スキャンダラスな問題が続けて発生している。

 

これについてはまた別途記事にしてみたいと思うが、今回は全然関係のないトピックで、夏の間に開催されたユーロバスケットから、ヨーロッパ出身のNBAでの歴史と、昨今のヨーロッパ出身スーパースターの台頭について考えてみたい。

 

<90年代のヨーロッパ選手の台頭>

80年代になると世界的に人気が出始めたNBAは、90年代になると徐々にヨーロッパから選手が入ってくるようになる。アメリカ人が大体数を占めるNBAにとって、当初ヨーロッパの選手は、未知の世界から来た存在、そして自分たちよりも劣る存在だと考えられてきた。ヨーロッパ選手は身長は高くてスキルはあるが、アメリカ人のようなタフさがない、プッシュされたらやり返してこない弱い奴らだというステレオタイプがあり、(これこそAmerican Exceptionalismの愚かさだろうが) 、ヨーロッパ人に対しては否定的、軽蔑的な見方がされがちだった。

 

実際スターと呼ばれる選手はこの時代は少なく、ブラデ・ディバッツ、デトレフ・シュレンプ、リック・スミッツ、トニー・クーコッチなど優れたオールスター級の選手はいたが、スターと呼べるレベルには若干劣った。また、クロアチアドラジェン・ペトロヴィッチは、素晴らしいシューターとしておそらく最もスターになれるポテンシャルのあった選手だったが、交通事故で28歳で悲劇の死を遂げてしまい、その道は閉ざされてしまった。

亡くなる直前のシーズンでは平均22点を記録していたペトロビッチ

そのアルヴィーダス・サボニスヨーロッパ史上最高の選手の一人と言われるが、NBAに来た時は31歳かつケガもあり既に全盛期を過ぎた状態だった為、スターレベルのプレーはできなかった。(十分貢献してはいたのだが) 彼がもし健康体だった20代でNBAに来ていたら、確実にもっと活躍ができただろう。サボニスの息子は、ペイサーズとキングスで活躍していることは父親譲りのフットワークとパスセンスを持っている。

ポートランド時代は動きはスローだったがセンスは変わらず抜群だった

 

<ダークを中心とした2000年代の躍進>

スターはいないながらも徐々に存在感を出し始めたヨーロッパ選手達は2000年代になると更にリーグを席巻し始める。そんな海外からのNBA選手の増加には1992年のドリームチームの影響が非常に大きいと言われている。バルセロナで開催のオリンピックで初めてNBAのスーパースターたちがオリンピックに参加したことで、バスケは一気にヨーロッパで人気のスポーツとなり、ジョーダンやマジックに憧れる少年がたくさん出てきたのである。

 

例えば、ペジャ・ストヤコビッチは屈指のシューターとして、キングス時代にリーグ2位のスコアリングとMVP4位に入る活躍をしたり、アンドレ・キリレンコはディフェンスマシーンとして、短い期間ながらもなんでもできるユーティリティプレイヤーとして、現代バスケに通じる活躍をした。

 

スペインからはガソル兄弟が、それぞれ強烈なインパクトを残し、兄のパウが先に台頭を示して、弱小チームのエースからレイカーズのNo.2として2連覇に大貢献した。(2010年のファイナルMVPはコービーじゃなくてパウが取るべきだったと今でも思っている)  ローポストのフットワークから、抜群のパスセンスとローポストゲームでオフェンスに秀でていたお兄さんに対して、弟のマークはグリズリーズで"Grit and Grind"の代名詞の一人として非常にディフェンスに長けた選手であった。グリズリーズでは優勝できなかったものの、2019年にはラプターズのキーピースとして優勝に貢献している。

体系もプレイスタイルも対照的なガソル兄弟

また、スパーズにおいては、マヌ・ジノビリはアルゼンチン出身であったが、イタリアでプレイしていたこともあり、いわゆるユーロステップの第一人者としてユーロフレーバーのあるプレイで一時代を築き、フランス出身のトニー・パーカーも圧倒的なスピードとペイントでのレイアップ技術で、2007年にはファイナルMVPにもなったりと、ヨーロッパ選手のスターが数々と登場した。

ダンカンと共にスパーズで3回優勝したジノビリとパーカー

十分な実力がありつつも、これまで挙げた選手の中でスーパースターと呼べる存在はいなかたっが、ヨーロピアンプレイヤーでNBA初のスーパースターとなったのが、ダーク・ノヴィツキ―である。彼の凄さについて改めて記載する必要はないだろうが、ダラス一筋で長年に渡りチームのNo.1として何度もプレイオフに進出し、2011年には悲願の優勝とファイナルMVPを獲得したドイツのレジェンドである。NBA総得点数は史上6位、おそらく歴代でもTop20に必ず入ってくるプレイヤーであり、特にビッグマンながらスリー含めたジャンプショット中心のプレイで得点を稼ぎだすスタイルはNBAに革命をもたらし、最近のNBAの流れを真っ先に取り込んだ選手ではなかろうか。彼の一本足フェイダウェイは歴史に残るシグニチャーショットとして永遠に語り継がれるだろう。

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<圧倒的存在感を示し始めた今>

そんなダークですらもリーグNo.1の選手と称された期間は一度もなかったのだが、ここにきてヨーロッパ選手の活躍が更にすさまじくなり、リーグベストプレイヤーのTop5をほぼ独占するぐらいの勢いである。ダークやパーカー、ガソルなどが切り開いた道を現代のユーロ選手はさらに広げて、最近は革新的なビッグマン、ガードが次々と登場している。

 

現在リーグNo.1の選手に君臨しているギリシャ出身のヤニス、2年連続MVPでおそらくリーグNo.2のセルビア出身のヨキッチ、それだけでなく、カメルーンから最近フランスの市民権を獲得したエンビードと、現在のリーグのトップスリービッグマンは全員ヨーロッパ選手なのである。しかも彼らはこれまでのビッグマンの常識を覆すプレイスタイルを築き上げている。圧倒的な身体能力に加えてスピードとハンドルが加わった進化版のシャックであるヤニス、圧倒的なバスケセンスとパススキルに大きな体格を持ち合わせたダークとサボニスの融合体のようなヨキッチ、圧倒的なフィジカルにガードのような華麗なフットワークを持つエンビードと、リーグのトップビッグマンがヨーロッパ出身になるとは90年代には誰が想像できただろうか。ちなみに昨年2022年シーズンは彼らがMVP1,2,3、2年前もトップ4になっており、正真正銘のスーパースター達である。

 

更に今後10年でリーグのベストプレイヤーとして相手を恐怖に陥れる事間違いなしの、セルビア出身のドンチッチレブロンとハーデンの融合体のようなセンス抜群すぎるプレイでノヴィツキーの継承者として、マーベリックスで毎年のようにMVP候補になっていくだろ。既にプレイオフで数々のヒロイックを見せている彼はまだ23歳であり、後2,3年後どれほどの選手となるか恐ろしい限りである。

 

実際、ESPNが出した今年のプレイヤーランキングではこの4人がTop4を独占しており、まさにユーロスターNBAの力を握っていることがわかる。(第5位のカリーがチャンピオンベルトを持っていることには変わらないのだが彼も34歳であり、どこかで衰えがくるだろう)

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そんなルーカも、NBA入る前には17歳でユーロリーグのMVPを獲得していたにもかかわらず、ドラフト5位で指名されていたことを考えると、未だにバスケはアメリカが一番という固定概念があるのも確かである。然し、数十年にわたってユーロバスケを見下していた流れも来年のドラフトでは終焉の時が来るだろう。何故ならフランス出身のビクター・ウェンバンヤマがドラフト1位で指名されると確実視されているからである。2メートル20センチという超人的な身長にガードのスキルを持ち合わせた彼は最新版ユニコーンであり、自分自身がユニコーンであるデゥラントの進化系といった感じだろうか。これだけ身長高い場合必ずといっていいほど起きるケガは心配ではあるのだが、これまでのNBAのスターの要素を集約したような彼のポテンシャルは計り知れず、現代Top4の先輩達に続いてリーグを震撼とさせること間違いなしである。

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もし今アメリカ選手チーム対ヨーロッパ選手チームでマッチアップしたら、選手層の厚さでアメリカがまだ強いだろうが、トップタレントに限れば全く引けを取らないヨーロッパ軍団は今後10年以内で更に強くなり、いずれアメリカを負かすだけの実力をつけるだろう。

大谷翔平でも救えないMLB (アメリカの野球人気低下の理由)

どうも。NBANFLもオフシーズンで大きなニュースはないということで、今日はMLBについて少し考えてみたい。日本でも毎日取り上げられている通り、大谷翔平の活躍は凄まじいものがあり、昨年から今年にかけてリーグNo.1の選手と言われてもおかしくない二刀流の大活躍をしている。昨年のMVPに続いて、今年はベーブ・ルース以来の二桁勝利、二桁本塁打ということで日本では大きな話題になっているのは当たり前だが、ニュースを見ると、アメリカも熱狂」といった報道がされるのはよく見ると思う。然し、本当にアメリカで大谷の快挙がたくさん伝えられているかというとそうではない。エンゼルスというプレイオフに望めないチームでいるから、かつアメリカ人ではないからということはもちろんあるだろうが、二刀流で活躍している選手など何十年もいなかったというものすごい事実が大きなニュースにならないのである。

 

大谷翔平だけではない。名門ニューヨーク・ヤンキースのアーロン・ジャッジは今年ホームランを量産し、MVP最有力とされているが、昔だったら連日全国ニュースになるところが、スポーツ番組で取り上げられることは少ない。天下のヤンキースでこんな状況であり、15年ぐらい前であれば毎日のように取り上げられていたはずの大車輪の活躍が、開幕前のNFLやオフシーズン真っ只中のNBAにすら負けている状況である。

 

10~20年ぐらい前までは、アメリカ全体の人気順でいえば、NFL >>>> MLB >>NBA >>>NHLぐらいだったものが、今は完全にNBAに抜かされた感がある。(NFLは引き続き圧倒的な地位を誇っている) そこで、今回は、アメリカのPasstimeと呼ばれていた大リーグが、どうして全国的に人気が下がってしまったのかを考えてみたい。

 

1. 試合時間が長い

これは、アメリカに限らず日本でもずっと課題になっていることだが、野球はとにかく拘束時間が長い。昔であれば試合時間が長くても他に見るものがないということもありテレビでみんな見続けてくれたかもしれないが、SNSが当たり前になり、テレビのチャンネルも数が増え、オンディマンドもたくさんある現代では、特に若い人のアテンションスパンはとっても短い。その為、だらだらと試合を見るという行為自体がそもそもできないのである。

 

アメフトだって試合時間が長いということは確かなのだが、それを補うアメリカ人が好きなフィジカルなプレーの数々、1Q15分と一応時間が決まっている、1プレー毎に区切りがある点などが若い人にも受け入れらやすいとこがある。一方バスケも、試合時間がある程度決まっていることや、やはりスピード感があるし、ファッションとしてのバスケと、Hip Hopがメインストリームになったこともあり、いわゆるクールな選手がたくさんいる。更に、最近はサッカーの人気も10年前に比べたら大分高まっていたりする。

 

2. 暗黙のルールの多さ

若者から最近人気が少ないもう一つの理由は、野球の暗黙のルールの多さであろう。どのスポーツにも暗黙のルールというのは存在しているが、その数が野球には多すぎるかつ、なんだかんだアメリカの方が日本に比べてそういった慣習やしきたりを大事にしたりする。バットフリップしてはだめ、大差がついてる試合は盗塁しちゃダメなど、昔からの教えが多すぎてめんどくさいのである。

 

特に最近の若者はそういった煩わしく古臭い習慣を嫌う傾向がある為、より自由さがあるバスケやサッカーに興味がひかれている傾向があると思われる。

 

3. ステロイドによるイメージの悪さ

また、直近30年の大リーグを語る上で絶対に欠かせないのが90年代から2000年代前半にリーグ全体に蔓延したステロイド問題だろう。94-95年の長く続いたストライキによって人気が下がってきていたMLBにおいて、1998年のマーク・マグワイアサミー・ソーサのホームラン争いは大きな注目を浴びる絶好の機会となった。更には他の選手もホームランが増え、リーグ全体で活気が出たことで離れた観客を取り戻す事ができた。ホームランの量産は2001年のバリー・ボンズのシーズン73本塁打で最高潮を迎え、まさにMLBに全盛期を迎えているようだった。

 

然し、この時期はリーグ全体でステロイドが蔓延しており、パワーヒッターの多くが異常なまえでの腕の太さで、体格もものすごいことになっていた。特にボンズステロイド前後ではその違いは顕著である。この時期リステロイドの事実を知りながらも黙認していたという話もあるし、MLBを盛り上げる為に関係者がみな協力していてたということになる。

 

この事実は元スラッガーかつステロイド使用者のホセ・カンセコの暴露本によって大きくニュースでも取り上げられ、2000年代半ば以降の調査で多くの選手がステロイドを使用していたという報告がされ、多くの失望を買った。これにより、ファンにエキサイトメントを与えた数々のホームランは偽りだったのかということでイメージダウンは免れられなかった。(どんなに筋力があっても打てる技術がなければHRなど打てないことも事実だが)

 

4. アナリティックスの影響を受けすぎた

イメージダウンとともに、野球の興味を下げる要因となっているのが、アナリティックス偏重のプレイスタイルである。アメリカスポーツ界においてアナリティックスは非常に影響力が強くなっており、例えばバスケにおいてもスリーとレイアップを重視するいわゆるモーリーボールはリーグに革命をもたらした。それにより、どのチームも似たような戦略でチームごとの違いがなくつまらなくなってきているという声はありつつ、今のところスターの存在もありNBAの人気は上昇傾向である。

 

然し、野球ほどこのアナリティックスに影響を受けたスポーツはないだろう。野球については攻撃も守備もほぼ全ての評価軸がアナリティックスで測れてしまう。オークランド・アスレチックスGMであった、ビリー・ビーンがデータ分析を多用した選手構成をしたことで、マネー・ボールとして非常に有名になったが、野球の根本を変えていくようになる。

 

データを重視すると、得点の効率性を考えた時に、最終的にヒットよりホームランを狙う方がベターとなり、誰もがパワーヒッターを目指すようになった。これにより三振かホームランかのどちらかという事が増えてしまい、当たれば面白いが、打率を考えたらその確率の方が断然低いことがわかる。

 

同様にバッターの傾向を考慮した極端なシフトによってヒットの機会を奪ったり、バントは非効率として実行しなかったり、盗塁を狙う回数を減らしたりと、戦術としては正しいのだが、面白みがないプレイスタイルにどのチームも移行してしまったのである。各チームの違いがないかつ、いちかばちかのホームラン狙いが多くなったことでエキサイティングな野球の部分は減ってしまったかもしれない。(大谷のかなりアッパーなスイングはアナリティックスの影響を受けていることがわかる)

 

5. アメリカ選手の減少

アメリカのスポーツである上で更に欠かせない要素がアメリカ人選手が活躍しているかである。それはもちろんアメリカ人は自分達が一番好きだからである。

然し、最近のMLBアメリカのスーパースターがとても減ってしまった。日本の選手は勿論のこと、特に南米選手を若くして見つけて安い育成費でMLBまで昇格させるというシステムが出来上がっていることで、2000年以降海外選手の数がみるみる増えた。

 

加えて、90年代以降に生まれたアメリカの黒人たちはマイケル・ジョーダンの影響を多大に受けているためバスケに行きがちだし、白人の選手もより人気のあるアメフトへに持ってかれがちなのである。単純な年俸や競技人生の長さでいったら、野球で成功することが一番お金持ちにはなれるのだろうが、かっこよさが足りない今のMLBにはなびかなというところなのだろう。実際80年や90年前半の大リーグの黒人の割合はヒスパニックより多かったが、今や黒人は全体の7%程度しかおらず、ヒスパニックの4分の1、白人の8分の1程度しかいない。どれだけ黒人選手達が野球を選んでないからこのデータからわかる。

 

6. 全国でなくローカルへのシフト

一辺倒のスタイルかつ長時間な試合、リーグのイメージダウン、アメリカ人スターの不在など、大リーグ人気低迷の要素は考えてみるといくつもある。こうして、長らくアメリカのスポーツと言われてきた野球は2000年代途中から勢いを失い、大谷の二刀流やヤンキースのジャッジが全国ニュースとならないレベルまで落ちてしまったのである。但し野球が完全にDeadというかというとそうではなく、今だにプレイオフになると大いに盛り上がりを見せるし、ローカルテレビとは巨額の金額で契約ができている

 

なぜローカルが強いのかというと、アメリカは各州の大きさが日本とはけた違いな為、州単位のローカルテレビやラジオ、ニュースが揃っているし、地元愛が強い場所では自分達のチームしか注目していない人もたくさんいる。レギュラーシーズンの試合数が多く、地元の人たちがふらっと立ち寄れるイメージの強い野球は、より地域に根差しているといえるかもしれない。以前の栄光を取り戻すのは難しく、スポーツニュースサイクルに入ることは難しいのかもしれないが、ローカルベースにしっかりと収益が出せれば、早々にMLBが世の中から消えることはないだろう。

 

偉大なるビル・ラッセルのコート外の功績と後継者達の戦い

どうも。NBAはかなりオフシーズンも落ち着いてきたとこだが、先週末ビッグニュースが流れた。NBA史上最高のWinner、いやチームスポーツ界史上最高のWinnerであるビル・ラッセルが88歳でなくなった。NBAの歴史を語る上で、ビル・ラッセルを欠かすことはできない。彼は13年間の現役で11回も優勝し、ボストン・セルティックスに繁栄をもたらすとともに、ブロックショットを用いてディフェンスに革命をもたらした。<ラッセル以前はブロックの概念自体が無かったというのはびっくりである>  そんなラッセルはNBAの歴代選手ランキングでTop5であることはもちろんだが、黒人選手のパイオニアでもあることも忘れてはならならず、コート外での貢献はプレイ以上に計り知れないものがある。

 

そこで、今回はビル・ラッセルを筆頭に黒人の権利、差別と戦ってきた選手達に焦点を当てた特集を組みたい。過去の選手から現在までの流れを時系列的に紹介していく。

 

[偉大なビッグマンの戦い]

1934年に生まれたラッセルは幼い頃から当然のように人種差別を受け、University of Sanfranciscoで全米チャンピオンとなった頃でも、アウェイの試合では他の黒人チームメイトと共にホテルに宿泊することを拒否されたこともあった。

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NBAドラフト時は当初セントルイス・ホークス (現アトランタ・ホークス) に指名されたが、人種差別が激しかったセントルイスに行くことになれば入団しないことも考えていたそうである。結局彼はボストン・セルティックスにトレードされたが、そのヘッドコーチが名将レッド・アワーバックであったことは運が良かった。

 

アワーバックは卓越したコーチであるだけでなく、白人選手であるからといって優遇することはせずにあくまで選手を実力で判断していた。<今となっては当たり前かもしれないが、当時は常に白人が優先されていた> アワーバックは1950年にNBAの歴史で最初の黒人選手をドラフトし、スターターの5人を全部黒人で出場させたのも彼が初めてであった。そしてビル・ラッセルがアメリプロスポーツで初の黒人ヘッドコーチとなったのもアワーバックによる指示である。

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アワーバックはタバコを勝利の象徴としたことでも有名

ラッセルは選手として数々の栄光を成し遂げたが、コート外では引き続き戦っていた。ボストンも他の州に負けず黒人に対する差別が顕著な場所であり、NBAのスーパースターになっても黒人ということでホテルやレストランに入ることを拒否されることもあった。黒人初のヘッドコーチとなった際も、「黒人として白人選手たちをコーチすることは可能だと思うか?」といった差別的な質問も受けた。幼い頃からずっと続く差別にラッセルは心を閉ざしていき、ファンと交流することを拒んだり、黒人だから悪いことを書かれるということで、記者にも冷たい態度を取った。何故ラッセルが協力的でないかの背景を理解できない白人達からは無礼な利己的な奴だと言われた。その結果ラッセルとボストンの関係は修復不可能まで悪くなり、彼は自分の永久欠番のセレモニーの参加すら拒否したのである。その後長期に渡り双方の冷たい関係は続くが、数十年後の1999年に彼は引退後始めてボストンに戻り、その後は良好な関係を取り戻すことができた。

ビル・ラッセルが60年代最高の選手だったりとしたら、70年代のベストプレイヤーは間違いなくカリーム・アブドゥル=ジャバー (旧:ルー・アルシンダー) である。カリームはUCLAで3年連続大学チャンピオンになり、NBAで20年間プレーし、歴代最多得点を未だに保持しているいる。

 

皆ジョーダンやレブロンばっかに気が取られ、カリームは過小評価されているのではないかと個人的には思っている。まだトレーニングや医学が発達しきっていない70~80年代で20年間現役を続けたことは信じられない偉業であり、その内15~16年はリーグのトッププレイヤーの一人として君臨した。大学時代は彼の能力が圧倒的過ぎて試合でダンクが禁止されたほどである。ダンクができなくなったことでカリームはスカイフックを習得し、それはNBA史上最もアンストッパブルなSigniture Shotとなった。<まさに美しいの一言>

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そんなカリームも、長身選手という身体的特徴だけでなく、黒人差別と生涯をかけて戦い、ファンやメディアとずっと距離を置いていたことはラッセルと似ている。しかし、カリームに関しては自分のチームメイトともキャリアの終盤まで馴染まなかったのはラッセルと違う点である。

 

とにかく彼は他の人と思考や態度が違い、黒人としては比較的裕福な家庭に育ち、IQも高く非常に思慮深かった。東洋の精神や瞑想に凝っていたことも他選手と一線を画していた。そんな頭の良さもあり、彼は社会の闇が読み取れ、それがカリームの内向的な態度にも影響したのではないかと考えられる。

 

まだUCLAにいた1968年には、メキシコオリンピックの参加を拒否し、アメリカにおける黒人差別を理由に挙げた。また1967年にはモハメド・アリベトナム戦争徴兵拒否による王者剥奪に対しての抗議表明であるCleaveland Summitにもビル・ラッセルと一緒に参加している。

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左から、ラッセル、アリ、カリーム

カリームはNBAは最初の6シーズンをミルウォーキー・バックスで過ごしたが、差別が激しいかつ、彼の先進的な考え方は比較的小規模都市のミルウォーキーには合わなかった。

 

その後LAに移籍した後も、彼はNBAのベストプレイヤーとして活躍したが、チームメイトも寄せつけず、記者達にも常に冷たい態度を取り、引き続き孤高の天才といった立ち位置であった。然しマジック・ジョンソンの影響などもあり、徐々に心を開いていき、キャリアの最後の方はその偉大なキャリアを称えられるようになった。引退後はよりメディアにも出るようになり、その思慮深さを活かして差別や宗教に関するコラムも頻繁に提供し、本も何冊も出版している。70歳を過ぎた今でも精力的に活動しており、スポーツ界でもA Voice of Reasonとして、様々な問題について啓蒙活動を行っている。

 

[トップ選手達のサイレンス: NB人気の高まりによる影響]

60年代はラッセル、70年代はカリームとそれぞれの時代のベストプレイヤーはActivismに積極的であったが、NBAの人気が高まるにつれて、その後の世代の選手たちが政治的・社会的な発言をする事は少なくなっていった。NBAは特に70年代に入ると、選手によるドラッグの使用が大きな問題になり、プレーの質も下がり白人客層からはダーティーなイメージを持たれるようになったことで、人気が下がり、リーグ存続の危機すらあった。

 

それを大きく変えたのが1979年に入団したマジック・ジョンソンとラリー・バードであり、彼らも史上最高の選手の2人だが、同時に彼らは白人を怒らせるような問題とは距離は置いてはいた。彼らの存在によりNBAはまたクリーンなイメージがついたのだが、その分あえて議論を呼ぶような行動はしなかったのである。ただし、マジックについては1991年にHIVに感染したことを発表し、HIVのスポークスパーソンとしては大きな功績を残してはいる。

 

また、マイケル・ジョーダンは言わずと知れたNBAを世界的スポーツとした最大の貢献者であり、バスケを全く知らない人でも彼の名前を聞いたことがない人はほとんどいないはずだ。彼はコート外でもナイキと出したAir Jordanシリーズでシューズ業界に革命を起こし、ビジネスとしてのバスケットボールを次の次元に押し上げた。1984年当時はアディダスコンバースに大きな差をつけられていたナイキを世界最大ブランドにしたのもジョーダンがきっかけである。そんな彼も政治的発言は現役時代からつい最近までずっと控えていた。ジョーダンの出身であるノースカロライナ州の1990年の選挙では、差別的な政策を実行していた現職白人議員の対抗馬として出た黒人の候補者をジョーダンが公にサポートせずに、その理由として"Republicans buy snearkers, too" (白人の共和党員だって自分のAir Jordanを買うでしょ) といったのは有名な話である。

 

このジョーダンの発言はアメリカンエンターテイメントのより大きな問題を提示していると思う。NBAの大半の選手は黒人だが、彼らにお金を出すのは白人である。アリーナの観客席に座れる経済力があるのも白人が多い。つまり白人を楽しませる為に黒人が奮闘するという構図が必然的に出来上がっているのだ。リーグの人気が高まるにつれて、政治的な行為はより注目を集め、反感を買うことを恐れる対応の仕方にをする終始してしまう。どのチーム、リーグでも白人の資金力は絶対的に必要な要素である為、彼らを怒らせまいと、選手達も黙っているように言われ、何かアクションを加えようとする人には制裁が加えられていた。

 

例えばマイナーな選手ではあるが、デンバー・ナゲッツに所属していたマクムード・アブドゥル=ラウーフアメリカ国旗はマイノリティーに対する抑圧を象徴していると主張し、国歌斉唱時に起立することを拒んだ。

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イスラム教の祈りをするアブドゥル=ラウーフ

以前から行っていた抗議ではあったが、それに気づいた記者によって理由を聞かれた際に上記の理由を挙げたことで、1996年に彼はNBAから1試合の出場停止を受けた。制裁を受けた後は、彼はやり方を変え、国家斉唱の際は立ち、顔を手で覆いながらイスラム教の祈りをすることにした。それでもアブドゥル=ラウーフは各アリーナで大きなブーイングを受けた。彼が同じ年のオフシーズンにナゲッツからトレードされたのは、スーパースターではないのに、議論を呼ぶ行動をした選手を手放したかったという意思の表れであろう。20年後にアブドゥル=ラウーフと同じように国歌斉唱時に膝をついたNFLのコリン・キャパニックがリーグから締め出されたのは記憶に新しい。(キャパニックについては下記記事参考)

atsukobe.hatenablog.com

 

 [レブロンと新しい流れ]

ジョーダン引退後のトッププレイヤーである、シャキール・オニールや、コービー・ブライアントティム・ダンカン等も社会的発言は基本的にしなかった。そんな中で、より自由に意見を発信するような最近の流れを作ったのは、他ならぬレブロン・ジェームズである。2003年に入団後のレブロンのコート上の業績は言うまでもないので割愛するが、彼も史上最高の選手の一人であることに異論はないだろう。そんなレブロンはコート外でも様々な所でNBAに革命をもたらしている。

 

まずは、NBA内でのPlayer Empowermentがあげられる。彼はチームやオーナーが選手に対して権力を持つ構図を塗り替え、トッププレイヤー達が主導権を握るようなシステムに変えていったのである。Player Emopowermentについては下記記事をご参考。

atsukobe.hatenablog.com

 

また、以前はトッププレイヤーの私生活や普段の様子はあまり知られておらず、ジョーダンやコービーもどこか謎が多い存在だったが、それを変えたのもレブロンである。SNSを使いながら、自分のワークアウトや家族と過ごすしている様子を彼は自分からどんどんと発信していき、選手とファンの距離縮める役割を担った。

 

自分の絶対的な選手としての地位とSNSの利用により、レブロンは2010年過ぎから社会問題についても発言・意思表明をするようになった。2012年にはフロリダ州で黒人少年のトレイボン・マーティンが近所の自衛団員であったジョージ・ジマーマンによって射殺された。マーティンは黒色のフードを被っているからというだけでジマーマンに怪しがられ、口論となり射殺された。その後ジマーマンが無罪扱いとなりすぐに釈放されたことで大きな抗議運動が全米で発生した。当時マイアミ・ヒートに所属していたレブロンは他のチームメイトと黒のフードを被って試合に登場してマーティンの死を惜しむとともに、黒人への扱いに抗議を示した。それ以外にも、黒人青年のマイケル・ブラウンやエリック・ガーナーが警察によって不当に殺された際も黒人への正義を訴えた。

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フードを被り抗議をするヒートの選手達

また、レブロンはトランプ対しても批判をし、トランプのことをツイッターでBum (あほ) とも発言したぐらいである。

 保守派ニュース局 (最近はトランプのプロバガンダ放映局) のFox Newsでアンカーをしているローラ・イングラムレブロンに対して、スポーツ選手が政治に口出しするんじゃないと「Shut Up and Dribble」と言って攻撃したが、レブロンはそれを逆手にとりプロデューサーとして、黒人選手のSocial Actismを描いたドキュメンタリーに関わり、タイトルを皮肉たっぷりに「Shut Up and Dribble」とした。

 

更に、レブロンや2020年の大統領選挙の前に、黒人の投票者の増加と、以前から続く黒人投票権への抑制に対抗する運動として、「More than a Vote」キャンペーンを実施した。 (自分たちを支持しない黒人がたくさん投票すると不利になる共和党は、以前から様々な施策を使い、マイノリティが投票しづらい制度を各州で作っている) 

 

レブロンはアスリートの中では全米の中ではTop3に入る知名度を持っており、4,500万以上のツイッターのフォロワー数がいる彼が様々な発言や行動をすることは非常に大きな影響力がある。個人的にはコービーが大好きだった為、コービー vs レブロンのライバル関係の根強さからコート上で応援することはないが、上記のActisimに加えて、2018年に恵まれない子供向けに学校を作ったりしている彼はスポーツ選手のGame Changerであり、尊敬をしている。彼に続いて今では多くの選手が様々な発言をするようになっており、今後もこの流れが更に強まっていくだろうと思う。

 

こうしてNBAの黒人選手達が自由を手にしてアメリカで最も給料をもらえるステータスになったのも、世の中の風潮に恐れずに社会の不条理を指摘することができるようになったのも、ビル・ラッセルというレジェンドが土台を築いたからである。彼の偉大なるキャリアを称えるとともに、数えきれない人達の将来を変えたコート外での貢献を忘れてはならない。

 

 

ケビン・デゥラントの複雑なレガシー

どうも。世の中色んな事が起きている中ではあるが、今日はバスケにフォーカスしてみたい。オフシーズンも始まり次々とトレードやFAが決まっていき、サマーリーグも開幕してNBAは常にノンストップなわけだが、その中でも今回は特にオフシーズン直後にネッツからのトレードを要求したケビン・デゥラントと彼の複雑なレガシーについてまとめてみたい。

 

ちなみにKDと比較対象になりやすいステファン・カリーのレガシーについては過去2回ほど記事にまとめているのでこちらも是非ご参照。

atsukobe.hatenablog.com

atsukobe.hatenablog.com

 

<デゥラントのタレント>

KDのスキルレベルを考えらた歴代随一であることに異論を唱える人はいないだろう。ほぼ7Foot (2m13センチ)の身長で、ガード並みのハンドル力とシュート力を兼ね備えた唯一無二の存在である。最近はビッグマンのような身長の選手がガードのようにプレーすることも増えたが、デゥラントが表れるまでに彼ほどのレベルでスコアリングができる選手はいなかった。マジック・ジョンソンやラマー・オドムは2メートル6cm前後でプレイメイクができる希有な選手だったが、KDのように得点は稼げないし、トレイシー・マグレディもスムーズさでは同じだが、彼は2メートル3センチでデゥラントの方が全然身長が高い。ダーク・ノウィツキ―は身長とシュート力は同じだが、デゥラントほど機敏に動けなかった。

 

生まれ持った身長、磨き抜かれたハンドリングとシュート力だけでなく、セルフレスで相手を巻き込もうとするプレイスタイル、パス能力、一定のディフェンス力も持っているということで、選手としてほんとに欠点が少ない。特にスコアリングのレベルは史上最高と言ってもおかしくなく、ボリューム、効率性、バリエーション、effortlessさの観点で全て超絶ハイレベルであり、おそらくウィングプレイヤーでは、ジョーダンとKDが1、2位を争うのではないかと思う。(コービーは効率性で劣り、レブロンはバリエーションで劣る)

 

特筆すべきはシュートの正確さであり、ジャンプシュートを中心にプレーするボリュームスコアラーでありながら、2012-2013シーズンから一度もレギュラーシーズンのFG%が50%切ってないのは異常な数字である。特にミドルレンジの安定度は群を抜いており、シャックやカリームなどインサイド勝負でないなか、いつでも30得点を取れる選手がこれだけの効率性を保つことができるのは過去に例がない。(True Shooting%でもスコアラーの中では、スリーを量産するカリーに次ぐ数字ではないかと思う)

 

若手の時はその細長い身長からNBAのフィジカルに耐えられるのか、もっと筋力をつけた方がいいのではないかと言われ続けたが、筋肉質にならなかったことで、プレーのスムーズさとシュート力を失わずにすみ、マッチョだらけのNBAで生き残れた彼は非常に希有な存在であると言える。

スコアリングタイトル自体は2014年から獲得していないが、この10年間以上で最も恐れられるスコアラーは誰かと言われたら、Easy Money SniperことKDの名前が真っ先にあがるはずである。

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<OKC時代>

では、今度はデゥラントの実力は置いておいて彼のキャリアの軌跡を振り返ってみよう。史上最高レベルの選手としては特異な経緯を歩んでいる。大学時代はセンターのグレッグ・オデン (ケガが惜しい、、、) とNo1とNo.2で争い、2007年に当時のシアトル・スーパーソニックス (今でもシアトルにあるべき、、、) に全体2位で指名され、当時のHCの方針でルーキー時代はシューティングガードをやらされたりしたが、いきなり平均20点を稼ぎ出し、3年目から3年連続得点王となり一気にスターの道を駆け上がる。

 

そして、デゥラント入団の翌年にラッセル・ウエストブルック、3年目にジェームズ・ハーデンが加入したことでチームもどんどん実力をつけ、3年目で初のプレイオフ出場、4年目でカンファレンスファイナル進出、5年目にはファイナル進出と、順調に階段を上っていた。更にハーデンのトレードもあり戦力がおちた2014年は、更に個人としてレベルアップし、シーズンMVPを獲得する。

 

然しその年のカンファレスファイナルでスパーズに敗退、次の年はケガでシーズンを棒に振ってしまった。勝負の年となった9年目の2016年はプレイオフで強豪スパーズを破りカンファレンスファイナルに進出し、レギュラーシーズン73勝のウォーリアーズを高さとフィジカルで圧倒し、3勝1敗と追い込んだのだが、そこから3連敗を喫してまさかの敗退となる。

 

と、ここまではよくあるスター選手の経歴な気もするし、若干運が悪かったなというところもあったのだが、その年のオフシーズンにFAで史上最高のレギュラーシーズンの成績を残し、自分が苦渋を舐めた相手であるウォーリアーズに加入したことで彼のレガシーが大きく変わってしまう。

 

<ウォーリアーズ移籍ドラマ>

既にスターが集まったウォーリアーズに彼が入団することができたのは、この年はサラリーキャップがいきなり上がってお金投資しまくりのウォーリアーズでもサラリースペースがあったことで実現したからなのだが、ファイナルでキャブスに負けたと言え、リーグ屈指の強豪にリーグトップ3の選手が加入することは、誰からも好意的に受け止められなかった。

 

KDはリングチェイシングしている、戦いから逃げているなど散々批判され、彼はNBAのエナミ―No.1となる。そういう意味ではDecision直後のレブロンと似ているかもしれない。ただデゥラントとしては、ただ強豪に加入するというよりは、これまで優勝経験がなかったことに加えて、1オン1中心でボールを渡さないPGのウエストブルックに嫌気がさした、オクラホマというど田舎を出て、サンフランシスコのような都会に行きたかったという理由もあったのだと言われている。

 

然しどんな理由があれ、スポーツにおいてリーグのバランスを崩してスターが1つのチームに集まることは基本白い目で見られてしまう。特にデゥラント程の実力者がリーグ史上ベストなチームの1つに加入することはとにかくご法度だった。彼がウォーリアーズ以外を選んでいれば臆病者、勝負かrあ逃げたとかもあまり言わなかっただろうし、サンダーを出ることも納得されただろうが、とにかく移籍先が悪かった。おそらくだが彼はそこまで批判を受けるとは思っていなかったのだろうと考えられ、ある意味ナイーブだったのかもしれない。

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シーズンが始まると、もともとベストスコアラーでありながらアンセルフィッシュなKDは、同じくスーパースターながらアンセルフィッシュなカリーと上手くマッチし、チームは予想通り勝利を重ねて、ファイナルでもキャブス相手に4勝1敗と圧倒する。そして何よりデゥラントは攻守で大活躍をして、レブロンを抑えてリーグのベストプレイヤーとして君臨するようなパフォーマンスを披露した。特に第3戦でボールを運びながら、そのままレブロンの目の前で3ポイントを決めて勝利を引き寄せたショットは彼が全盛期であり、自分が一番であるということを象徴していた。こうしてKDは念願の初優勝に加えて、ファイナルMVPも受賞することになる。

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<デゥラントの変化>

こう聞くとサクセスストーリーのように見えるが、世の中そう上手くはいかない。移籍時に大量の中傷を浴びながらウォーリアーズを優勝に導いたわけだが、優勝後も結局賛辞より批判が続いた。自分から強豪に行ったのだから勝って当たり前だろというのが大方のファンやメディアからのリアクションで、折角の彼の功績が認められなかったのである。移籍時の批判はまだしも、優勝しても止まらないネガティブなリアクションは彼も全く予想していなかっただろう。実際2017年のキャブスはロスターもかなり強力で、デゥラントがいなかったら、ウォーリアーズは負けていた気がするのだが、そんなことは一般のファンにはお構いなしだった。

どんなに優勝しても彼への評価は変わらなかった。



この優勝後も覆らない彼へのイメージによって、KDのパブリックペルソナを大きく変えたしまった気がする。特にサンダー所属時はとにかく彼がナイスガイなことが強調され、非の打ちどころがない性格のように言われていたが、度重なる批判で内面の性格に強烈な変化が起きたと考えられる。OKC時代はナイキが"He is not that nice"というキャンペーンを打つほどであったし、MVP受賞時のスピーチは彼の優しさと正直さが表れ、多くの感動を呼んだのだが、その後はナイスガイさが消えていき、より複雑な人間性が浮き彫りとなる。

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ウォーリアーズ2年目の2017-2018シーズン時点で既に彼のファンに対する不満は表情や発言から伝わり、何か満足いっていない感じが見て取れた。チームは前年程の強さはななかったが、カンファレンスファイナルではロケッツに追い詰められながら第7戦で制し、ファイナルではキャブスを圧倒し、ウォーリアーズは2連覇、デゥラントは2年連続ファイナルMVPと更なる栄光を手にした。然し、世間の反応は変わらずのままだった。そして、どんなに彼が大活躍してもウォーリアーズはいつまでもカリーのチームであり、カリーが存在する限りは途中から入ったKDの実力が上であろうが力関係を覆すことはできないことを彼は悟ったのである。

 

満たされない彼の3年目は、シーズン後の移籍話がずっと付きまとい、ニューヨークに行くという噂が絶えず流れた。シーズン開幕前からシーズン開始後もスポーツメディアはこの話ばかりをして、ウォーリアーズにとっては落ち着かない日々が続いた。そういった状況を象徴するかのように、レギュラシーズン序盤のクリッパーズ戦の試合中にチームメイトのドレイモンド・グリーンと大喧嘩して、グリーンが移籍の件を喧嘩中に持ち出したともいわれ、チームケミストリーに綻びが出ているのは明らかだった。

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絶え間ない移籍の噂によってデゥラントは更にメディア相手に攻撃的になり、ツイッターもアクティブに使い、一般のファンの挑発に乗って返信をしたりと、若干扱いづらい人間というレッテルを貼られるようになる。

 

そんな混沌とした中でも、彼は圧倒的な実力を見せつけるとともに、チームは3連覇に向けてセカンドラウンドまで順調に進んだが、そこでKDは怪我してしまう。ファイナルでは怪我を押して第5戦で復帰したが、そこでアキレス腱を断裂してしまい、これが彼のウォーリアーズ最後のユニフォーム姿となった。

 

<ネッツへの移籍>

結局噂された通り、彼はオフシーズンに移籍し、ブルックリン・ネッツに仲良しのカイリー・アービングと一緒に入団することを決める。ここからの彼の複雑さが更に増す。

そもそもリーグ屈指のアンセルフィッシュなスターであるカリーの元を離れて、現代NBAで最も扱いが難しい選手のカイリーと組むという事自体かなりの賭けであった。

 

更に2人の親友で当時既に下り坂だったセンターのディアンドレ・ジョーダンを契約させたり、コーチとして評価の高かったアッキンソンを首にさせ、スティーブ・ナッシュがコーチになると、かなり自分の持つパワーを行使するようになる。

 

前年アキレス腱を断裂した為、ネッツ最初のシーズンはほぼ棒に振ったのはいいが、2年目で更に大きな動きが出る。ロケッツに不満を持っていたハーデンを勧誘して、ネッツのフロントオフィスから大量のアセットをトレードさせてハーデン獲得を強行し、同時に若手有望センターのジャレッド・アレンを放出させ、引き続き下り坂のジョーダンはキープするという愚行もした。この2年間の動きは、元々チーム優先的な考えが強かった彼がプレイヤーエンパワーメントを身にまとったことを大いに表すものであった。結局2年目のプレイオフではBig3を引っ提げて優勝候補筆頭となったわけだが、カンファレンスセミファイナルでバックス相手に、ハーデンとカイリーが次々とケガをしてKDの孤軍奮闘状態となり、第7戦の延長戦まで行ったが敗退となった。但し、このシリーズでのKDの活躍自体は神がかっており、リーグNo.1選手として彼への評価は幾分高まったかに思えた。

 

然しネッツ3年目で全てが爆発する。親友カイリーのコロナワクチン接種拒否によって、ハーデンがしびれを切らせて再度のトレードを要求してシクサーズに行き、代わりに入ったシモンズは一度もプレイせず、カイリーはシーズン終盤までほとんどプレイできずに終わる。KDも途中までチームを引っ張たがケガをしてしまいネッツは第7シードまで下がり、プレイオフではセルティックスにスイープされるという屈辱を味わう。彼自身もセルティックスのタフなディフェンス相手に苦しみらしさが出せずに終わる。

歴史に残る短命なBig3となってしまった

 

<下り坂のレガシー>

結果的にBig3全員一緒にプレイしたのは僅か合計16試合のみに終わり史上最もDisappointingなBig3だったと言えるだろう。ただ敗退しただけならいいのだが、運も悪い?ことにウォーリアーズがカリーのみがスーパースターというチームで再度優勝したことで、やっぱりデゥラントがいなくてもよかったじゃんという見方が加速し、KDの立場が更に弱くなった感はある。元チームメイトのカリーの評価は上がり、歴代プレイヤーランキングでもKDより上に置く人も多くなってきている。

 

そして、自分勝手な行動が続くアービングへの批判はオフシーズンで更に強くなり、ネッツが彼のトレード先を模索していると言われていた。が、今度はネッツの状況にしびれを切らしたデゥラント自身が4年契約を残した段階でトレードを要求するのである。彼のトレード希望先はサンズと報道されたりしていたり、彼を欲しがるチームは引く手あまたかと思われたが、トレード先はなかなか決まっていない。これは思った以上に彼価値が低くなっていることを表しており、今年で34歳になり、最近はケガも多く、ムーディーになりやすい彼を多くのアセットを使ってまでトレードしたいというチームが少ないのである。

 

更にもし彼が希望通りサンズのような強豪に入って優勝できたとしても、世の中の評価は変わるだろうか。また競争から逃げて簡単なチャンピオンシップを取りに行ったと揶揄されてしまうだろうし、彼のレガシーに更に傷がつく気がしてならない。それが嫌でウォーリアーズから出ていったはずであり、彼のこのトレード希望先は理解するのが難しい。

 

<KD vs. 歴代トッププレイヤー>

KDがもし今引退をしたとしても、おそらく史上Top15 (低くてもTop20) に入る選手と評価はされるだろう。但し真の意味でのチームのNo.1として優勝した経験はなく、元チームメイトのカリーの優勝で少し差をつけられた感もある。スキルレベルとタレントレベルだけでいったら史上Top5に入っても全くおかしくない選手のはずなのだが、様々なシチュエーション、彼自身の決断の方向性などが邪魔をし、なんとも奇妙な選手生活を送っている。非常に優れた選手でありながら、最大級のポテンシャルを活かしきれていないという点では、タイプは違うがシャックに近い存在なのかもしれない。デゥラントが果たして自分の納得する形で移籍し、自分自身のレガシーを好転させることができるのか、はたまたネッツからトレードせずに頑張るのか、今後の動きから目が離せない。

 

クロスロードに立たされているアメリカ <Roe v. Wadeの意味>

どうも。NBAファイナルやドラフトなどバスケ関連で話したいこともたくさんあるが、今回はアメリカ社会において現在最も重要なことについて考えてみたい。それは最高裁が下したRoe v Wadeの撤回である。

 

Roe v Wadeはアメリカで妊娠中絶の権利を保障する採決として1973年以降、多くの女性・家族が頼りとしてきたのだが、先日6月24日に現在の最高裁がそれを覆す決定をしたのである。アメリカの場合は、州の力が強い為、国の憲法上の権利と州の決める法律で常にConflictがあり、特に南部の州では、Roe v. Wadeが守らていながら、これまでも中絶が出来ないようにうまく法律を作ったりしていたわけであるが、今回の決定により、それを堂々とできるようになったのである。これはアメリカの社会構造を揺るがす一大事であり、アメリカのニュースはこの件で話が持ち切りとなっている。

アメリカでは全国でプロテストが起きている

 

<なぜ保守派はPro-Lifeなのか>

なぜこれが重要なのかというと、アメリカは自由の国と言われながら、保守派とリベラル派の力のコントロールの奪い合いによって成り立っている国だからである。どこの国でも起きていることではあるが、アメリカでは特に中絶賛成派のPro-Choice(女性の権利を尊重)と中絶反対派のPro-Life(赤ちゃんはお腹でできた瞬間人間として扱うべき)で真っ二つに意見分かれる。特に保守のPro-Life派の政治活動はとても激しく、テキサスやミズーリなどの南部の州はキリスト教の教えを掲げて、中絶を実施するクリニックを廃業にさせたり、中絶をしようとする人を通報できるようにしたりなど、女性が必要な治療にアクセスできなくする悪策を上げたら枚挙にいとまがない。

 

保守派の意見としては、いかにどんな状況であれ宿した子供を絶対に産むべきであり、それが神の教えだと主張する。それが女性がレイプ、DVなど強制的なものから単純に望まない妊娠でも当てはまるのである。個人的に前からほんとに疑問なこととしては、なぜレイプというとてつもないトラウマを受けた人が、それによってできた子供を産まなければいけないのかということである。そんな形で生まれた子供を母親が愛せるなんてできるわけがないし、男性側が追及されない方がおかしい。そもそも子供を産めない男が女性にそれを強いること自体まったキリスト教の愛の概念に沿ってない。近くに中絶可能な病院がないこともあって、これまで多くの女性がすごい離れた土地までいって中絶の許可をもらわなければいけないということは問題になっていたが、Pro-Choice派が声を上げればあげるほど、共和党が力を持つ州はどんどんと制限を強めていった。その一方で、民主党側は守られるべき女性の権利の為に、然るべきアクションを取り切れていなかった。

 

ではなぜPro-Life派はそこまでこだわるのか。彼れはお腹に出来た子はいかなることがあれ中絶したら殺人であり、神が宿した子供をどうするんだと叫ぶ。でもだからといって自分とは関係のない人たちかつ、信条が違う人たちのことをどうしてそこまで気にするのか。結局それはパワーとコントロールなのである。人間は自分達の思い通りにさせることに快感を覚えることは往往にしてあるだろう。政治も結局同じである。自分と意見が違う相手を屈させて支配下において、中絶以外にも色んな問題で優先権を得る事ができる。これが目標となるわけだ。それは同姓愛結婚にしても、銃規制にしても、コロナ対策にしたって同じである。

 

<本当に子どもをケアするなら>

結局だが、子供のことを本当に考えていたら、子供を育てる環境を整えたり、母親が生きやすい社会にしたり、子供向けの保証やヘルスケアコストの軽減を図るだろう。然し、保守派は一切こういうことに手を付けない。そういった政策はリベラル派が提示するものである。特にヘルスケアに関して、アメリカは先進国で唯一ユニバーサルヘルスケアがない国であり、長年莫大な医療費が問題になっているのだが、それを改善する気は共和党にはない。保険は自分達で選ぶ権利があるというのが彼らの主張だが、お金がないのに中絶できなくて育てられない子供を産むことになったらどうだろうか。出産の費用から育児の費用まで捻出が厳しく、少なくとも金銭的に非常に苦しい生活を長年強いられるだろう。中絶反対なのは子供を守る為だと主張するが、そんなことはどうでもよく、実際に子供を育てやすい制度作りには手を出さない彼らの意見は、偽善どころじゃなくただの嘘である。

 

<銃やマスクは権利を主張する>

この嘘が顕著に出るのが銃規制の問題であるアメリカはとにかく銃による大量殺人が多い。スクールシューティングの数は毎年尋常じゃなく、多くの学生が銃によって当たり前のように命を失っている。つい先日もテキサスのロブ小学校で乱射事件が起こり18人が亡くなったばっかりである。小学校で銃乱射が起こるとか普通に他の国では考えられないし、子供の命を考えるなら銃規制をしようというのが普通の考えだろうが、そうはいかない。建国時に作られた大昔の憲法第2条に異常なまでに固執し、銃を持つことは自分達の自由であり、どんなに残虐な事件が起きても銃を規制するのではなく、メンタルヘルスが原因だと論点をずらし、より学校の警備を銃で強化し先生も銃の訓練をすべきだとか現実不可避な議論をしてくる。ただでさえ給料が少ない教師に何をさせようとしているだろうか。

 

マスクだって同じであり、多くの保守派の人間がマスクなんてつけたくない、自分の身体に身に着けるものは自分で選ぶ権利があると言ってくるのである。同じロジックであれば女性が子供を産むか否かの判断を選ぶ権利があるはずだが、そこは都合悪いから完全無視である。要は人命を大事にしたいわけではなく、自分達で勝手に解釈した宗教の教えの強要と相手をコントロールしたいだけである。

 

<アメリカの最高裁の政治化>

実はこの銃規制についても最高裁Roe . Wadeの撤回決定直前に、すごい判決を下している。ニューヨークで長年守られてきた公共スペースでの銃保持を規制する法律にNoを出したのである。ニューヨークのように大量に人がいる都市で銃の保持が認められたら混乱が起きやすくなるのは確実なはずだが、Gun大好き保守派にとっては銃をみんなが持つことが大事な為、倫理や論理など関係ない。

 

では、何故アメリカの最高裁が中絶の反対や銃規制の緩和をしているのか。それは9人いる最高裁の判事のうち6人が保守派であるからである。保守派とリベラル派で5対4となることは多々あったが、完全なる多数決となる状況はこの布陣が最初である。司法は政治と力関係上分離していなければならいはずだが、SNSやトランプの登場によって、世の中の全てのことが政治と関わりが強くなってしまっている昨今において、最高裁までも政治的アジェンダをベースに判決を下すようになれば社会が分断することは目に見えており、今後更にアメリカ社会は揺れるだろう。

 

 

保守派6人に対してリベラル派3人の最高裁判事


<アメリカの最高裁のシステムの問題>

そしてアメリカの最高裁がこんな政治色が強くなってしまったのは、そのシステムにある。これまた憲法が出来た時に確率された古臭いものなのだが、最高裁の判事は終身職な為、判事になってから死ぬまでアメリカの法を支配できる。そしてノミネーションの仕方もかなりやばい。判事が亡くなったもしくは引退した時点で、その時在職の大統領が新しい人をノミネーションをすることができ、議会でコンファームする。ということは、在職期間中に何人も判事をノミネートできる大統領もいれば、誰もできない大統領もいるわけである。

 

これが以前であれば、過半数の議決を持った政党と大統領の所属政党が逆になっていても、お互いの党への一定のリスペクトがあり、コンファームできるような民主主義になっていのだが、それをぶちこわしたのが現在のアメリカ政治の悪の元凶ミッチ・マコーネルである。2016年に当時大統領だったオバマがメリック・ガーランドを最高裁に任命しようとした際に、その時議会で過半数を持っていた共和党のSenate Majority Leaderとして、いかなることがあっても任命をブロックするようにしたのである。2016年はオバマの最終年で選挙が重なるからなど適当な理由をつけながら共和党全体を従わせ、結局ガーランドの任命を阻止することに成功したのである。これはほんの一例ではあり、マコーネルは自分の力を上手く利用して長年アメリカ政治をコントロールしまくっているのである。最近の分断政治において一番悪い奴は彼であると私は思っている。

中身は最悪だが政治家としては有能なマコーネル

 

そしてそこに悪の元凶二人目のトランプが大統領となったことで、更に事態が悪化した。ガーランドがブロックされた一枠を含めて、4年間でトランプは3人も保守派判事を任命してしまったのである。こんなにラッキーな野郎はいるだろうかというぐらい共和党にとってはとても好都合だった。だからどんなにトランプがクレイジーでも彼に忠誠を誓い、順調に保守派の中でもかなり右寄りな判事を3人も終身雇用させることができた。トランプの悪い意味でのレガシーは数えたらきりがないが、この最高裁のコントロールこそ、共和党が長年夢見たことであり、トランプの一番の保守派への功績と言えるだろう。

 

こうして、政治の副産物となった最高裁で6対3の体制となった今、保守派はやりたい放題なわけである。

 

<国としての岐路に立たされるアメリカ>

上記の妊娠中絶はアメリカの過半数が賛成していることであり、民主主義で考えたら一部の思想強めの人間によって支配されるべきことではない。

www.pewresearch.org

これは銃規制についても同じであり、過半数アメリカ人が銃購入の際のバックグラウンドチェックに賛成している。銃保有者であってもバックグラウンドチェックがあるべきと考えている人が多いわけだが、あたかも銃は正義だと議会で唱えられるのは、NRAなど一部のロビーストによって政治がコントロールされていることを象徴している。

 

そもそもアメリカでは現在リベラルの方が過半数であり、アメリカ議会、最高裁などがそれを全く反映していないこと自体がおかしいのだが、その抜け道をかいくぐって自分達の思い通りに悪事を働く共和党政治家はいい意味でも悪い意味でも行動力がある民主党は議会の過半数と世論が後押ししている今、何かアクションを起こさないといけないだろうが、彼らはまとまりがなく正直あまり期待はできないし、批判を恐れて全く行動力がない。

 

このままではアメリカの分断は更に進み、もはや2つ違う国が1つになってしまうかのようになってしまうだろう。そのくらいこの直近2つの最高裁の判決はアメリカ社会にとって大きな意味を持つものであり、アメリカという国のアイデンティが今後数年でどうなっていくのか非常に興味深いとともに恐ろしさも感じる。いつになるのか分からないが、誰もが安心して、自分の選択ができる世の中となることを切に願う。もう手遅れであるのかもしれないが。

なぜ2022年NBAファイナルがウォーリアーズとカリーのレガシーを決定的なものとするか

どうも、とうとうNBAファイナルのカードが決まった。シリーズスタート前に書いた個人的なカンファレンスファイナル予想は若干外れてしまい、セルティックスとウォーリアーズのカードとなった。(セルティックスの勝利は予想したが、第7戦までもつれるとは思っていなかった)

atsukobe.hatenablog.com

 

<カンファレンスファイナル総括>

ヒート対セルティックスは両チームの主力選手の怪我の多さや、3ポイントの決まり具合によって、全く読めないシリーズとなり、1試合毎の変化がすごい大きかった。最初の5試合は全て二桁以上の差がついた結果であり、稀に見る波の激しさであったが、5試合目でセルティックスが圧倒した段階で、ヒートは完全にガス欠かと思われた。然し、第6戦で膝の悪いジミー・バトラーが人生最高のパフォーマンスを披露して、そのままの勢いで第7戦も全48分プレイして、セルティックスを追い込んだ。(最後は力尽きたが)

 

ジミーはレギュラーシーズンではスーパースター級のレベルから1つ下がるが、2020年のバブルと今シーズンのプレイオフでのヒロイックは確実に彼のステータスを上げたと言えるだろう。ただヒートは、バトラー以外でオフェンスのパンチが無かったのが最後まで響いた。オフェンスのパンチがないことがもともとヒートのファイナルへの道の懐疑ポイントではあったのだが、重要なシックスマンであるタイラー・ヒーロも4試合目以降ケガで不在となり、バトラー頼みになってしまった。バトラーも晩年ケガで来期以降同じ活躍できるか分からないし、ラウリーは明らかに峠をすぎた感あり、バムはスコアラーとしては2番手としては心細いので、第2の頼れるスコアラーがヒートの補強ポイントになるだろう。

最後の逆転を狙ったスリーは、ベストショットではなかったが、休憩ゼロでガス欠状態だったことを考えると責めることはできない

ファイナルに12年ぶりに進むセルティックスは、お家騒動激しいネッツをスイープ、ミドルトン不在のバックスに競り勝ち、戦力不足のヒートに苦しんだが、何とか勝ち抜いたといったところである。若いチームとはいえ、既に直近6年で4回目のカンファレンスファイナルであり、ついに時が来たと言えるだろう。(過去3回は戦力的にも年齢的にもファイナルにいける気はしなかった) 。主力プレイヤーのドリブル力の低さ、オフェンスが終盤滞りがちなど、懸念要素も多いが、ディフェンス力は本物である。

セルティクスは対ウォーリアーズ相手に相性がいいだけに、ファイナル初の選手が多い若手中心チームと百戦錬磨のチームということで、面白いシリーズとなることには間違いない。

 

一方ウエストにいくと、カンファレンスセミでは最後サンズを崩壊させたルーカとマーベリックスの勢いがあると予想されたのだが、蓋を開けてみるとウォーリアーズが圧倒してしまった。ウォーリアーズのディフェンスの総合力もあったが、マブスのシュートの不安定さが際立ち、、あたボールムーブメント中心のウォーリアーズ相手では。ルーカのディフェンスとマブスのリムプロテクションの弱さを露呈する形となった。ピックアンドロールや1 on 1を中心とするチームと違い、ウォーリアーズのオフェンスは、怠けがちなディフェンダーが一番苦しむスタイルであり、完全にそれにはまった印象である。

 

セルティックと同じようにマブスもルーカがまだまだ若いし、彼は歴代Top10になる可能性を秘めた選手であるだけに、今後への期待はもちろんあるが、彼を支える強力なNo.2と、もう少しサイズのあるビッグマンが必要となりそうである。

 

<ウォーリアーズのダイナシティ>

個人的には正直ウォーリアーズがここまで来るとは想像できなかった。プレイオフ中も、モラント不在のグリズリーズ相手に結構苦しんだり脆さが感じられたが、今年のウエストの怪我の多さと層の薄さで流れに乗りTake Advantageしたところはさすがチャンピオンといった感じである。

 

カリーはまだ健在かつ、トンプソンも2年前の怪我から徐々に調子を取り戻しつつあるし、ドレイモンドのディフェンスとパスは全盛期並みで、ルーニー、ウィギンズは期待以上の活躍、今年覚醒したオフェンスの起爆剤であるプール、ルーキーのカミンガやムーディーまでもが貢献するなど、今年のウォーリアーズは想像以上に層が厚い。ここ8年で6回目のファイナルということで歴史に残るチームとしての地位を確立したのではないかと思う。(既に確立していた気もするが、2年のブランクを経て、大きな補強なしに今年再度ファイナルに戻ってきたことは非常に価値がある)

 

そこで改めて、ウォーリアーズの偉大なるレガシーとステファン・カリーの歴史的ステータスを振り返りながら、過去のダイナシティと比較してみたい。

 

先程記載した通り、ウォーリアーズは直近8回中6回ファイナル進出に進出しており、カリーの覚醒とチームがプレイオフに2013年に出始めたころを考えると10年続く強豪チームということで、NBAの歴史の中でも最も繁栄期が長いチームである。デゥラントが在籍した2017-2019シーズンの3年間はファイナルに行っても当たり前な感があったが、初めてファイナルに進出した2015年、リーグ歴代ベストの73勝挙げた2016年、そしてプレイオフから2年離れた後カムバックした今年2022年は、いずれもカリーのみが唯一のスーパースターであり、いかにカリーが偉大かを表している。もちろん、グリーン、トンプソンというコアもいるが、彼らはあくまでスターであるし、オールラウンダーというよりはスペシャリストである。そして、1オン1オフェンスや、ペイントでの得点が重要視されてきたNBAの歴史で、ベストスコアラーの2人がジャンプシューターかつ、NBAに革命を起こした誰もが常に動き回るムーブメントを中心としたオフェンスが今でも通用するというのが凄いのである。

 

<カリーのレガシー>

カリーにフォーカスしてみると、デゥラントがいた時は実力は若干KDが上だったかもしれないが、チームのエンジン、スタイルは常にカリーをベースとしていたた。ウォーリアーズのオフェンスは全てカリーの動きとシュートを起点としており、オフェンスにおける彼の重力と貢献度は歴代ベストであるといっても過言ではない。彼が動くだけでディフェンダーは反応し、それによってオープンスペースが作り出され、ロールプレイヤーが簡単なレイアップを決めることは多々あり、つまりスタッツとしてはアシストではなくても、その得点はカリーの存在によって作り出されているのである。ここがハーデンやドンチッチなど、ボール支配力が高くかつ、自分がボール持たない時に動かない選手と一線を画すところである。

(カリーのシュート力の凄さは皆さんご存じだと思うが、以前スリーポイントの歴史と一緒にまとめたのでこちらご参照頂きたい)

atsukobe.hatenablog.com

 

カリーは、身長、ジャンプ力、スピードなどフィジカルな面でいったら、超人揃いのNBAでは目立たない為、不当な評価を受けがちだが、歴代のトッププレイヤーと比べても引けを取らないレジメを築き上げてきているのは皆さんお気付ぎだろうか。

1 ) 2年連続シーズンMVP

2) 2年目はNBA史上初の満場一致MVP

3) 3つのチャンピオンシップ (1つ目はベストプレイヤーとして)

4) 6回目のファイナル (バード、ウェイドの5回を超え、ダンカン、シャック、ジョーダンに回数が並ぶのはかなりレジェンダリー)

5) NBA史上最強のスリーポイントシューターなだけでなく、 NBAのオフェンスの根底を変えた

 

これはもしではあるが、セルティックスに勝ち4度目の優勝、初のファイナルMVPを獲得したとしたら (2015年はイグダラでなく、絶対カリーが取るべきだったが)、カリーは歴代ベストプレイヤーランキングで、限りなくTop10に近づくだろう。既に現状でTop20の域にはいると思われるが、彼のリーグへのインパクト、オフェンスのプレイの仕方を変えたという意味では、マジック、バード、レブロンなどに匹敵するものがあり、そこに更に4つ目の優勝が加われば、デゥラントやコービー、オラジュワンあたりと肩を並べるレジメがあると言っても全然おかしくない。(つまり9位~13位ぐらいのレンジ)

もちろんまだ引退していない選手を評価するのは難しいが、34歳という少し年齢高めの彼がベストプレイヤーとして再度優勝することは、NBAのレガシーの中でも非常に重要な意味を持つ。4つのチャンピオンシップとなれば、レブロンと同じ数であり、2010年以降を代表する選手として、レブロン、デゥラントを抑えてカリーが最も影響力があるという議論があってもいいと思う。

 

<ウォーリアーズのレガシー>

ウォーリアーズのレガシーはカリーのレガシーともいえるが、このチームを歴史的コンテクストで見た場合、少なくとも2010年以降で最強のチームであることは誰もが納得するだろう。過去を振りかえってみると、60年代のセルティックス (60年代10回中9回優勝!!)、80年代のレイカーズセルティックス(セルティックスは3回優勝しただけではあるが)、90年代のブルズ(6回)、2000年代のレイカーズ(5回)、スパーズ(3回+前後2回=5回)がいわゆるダイナシティと考えられる。優勝の数、強豪である期間の長さを考慮すると、ウォーリアーズは、80年代のセルティックス、2000年代のレイカーズ、スパーズと同等レベルで比べてもおかしくない位置にいると思う。

 

繰り返しになるが、ウォーリアーズはス―パスターが一人しかいない。その中でこれだけファイナルに行けていることは、チームの総合力、コーチング力、結束力の高さを示すものである。そういった意味でウォーリアーズはスパーズに近いと言えるだろう。実際、2000年代のスパーズはダンカンだけが唯一のスーパースターであり、チームの為に自分のスタッツやサラリー犠牲にする、コーチの言う事を良く聞くという意味でも、カリーは現代のティム・ダンカンであると考えられる。

 

既に歴史上アイコニックなチームであることは間違いないのだが、優勝→ファイナル敗退→2連覇→ファイナル敗退からの、プレイオフ2年連続逃すという屈辱を味わってから、復活して再度同じコアで優勝することは、このチーム、カリーの歴史上のステータスを一気に押し上げるものとなり、我々は歴史的偉業を目撃することができるかもしれないのである。そしてカリーにとっては、彼の競争相手である、レブロンやデゥラントが達成することができなかった、歴史に残るダイナシティーの中心として君臨することができる。

 

これでセルティックスが勝ったら、この記事は全く使い物にならないが、NBAの歴史上、新米チームよりも、過去の覇者が再度制する確率が高い。その為、単なるチームの実力だけでは語ることができない不可抗力のような運命なものが働きウォーリアーズが4勝2敗でセルティックスに勝つと予想する。