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NBAプレイオフ カンファレンスセミファイナル マッチアッププレビュー!!

どうも、NBAレイオフのファーストラウンドが終わりを迎え、とうとうカンファレンスセミファイナルとなる。ファーストラウンドで第7戦まで行ったのは、クリッパーズマーベリックスだけだったが、様々なストリーラインがあり、全体的にエンターテイニングだったのではないか。

 

また、個人的な話だが、先日ファーストラウンドのレビューをさせて頂き、各マッチアップの勝利数などに違いはあったが、8マッチアップ中7つ当てることができた。レイカーズ対サンズでレイカーズ勝利を予想してしまったが、元々はサンズでも十分勝てると思っていたにも関わらず、レブロンを疑うことは好ましくないと最後にチキってレイカーズを選んでしまった。

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デイビスが4試合目に負傷してからはレイカーズロスターが弱すぎて、さすがにスーパーヒューマンのレブロンでもダメだった。ただ、レブロン自身も怪我もあったとはいえ、第6戦でクラウダ―に何度もブロックされたり、第4Qの途中で自分からベンチで休憩したいと申し出るなど、衰え知らずだったレブロンの体力と身体能力にとうとう陰りが見えてきた感じがする。常にケガを抱えるデイビスと、更に年齢を重ねるレブロンの負担を軽減する為に、頼りになるNo.3を獲得できるかが今年のレイカーズのオフシーズンの最重要課題となるだろう。

 

その他、ファーストラウンド敗者のハイライトとしては、イーストからはジェイソン・テイタムのスコアラーとしての躍進、ジュリアス・ランドルの苦戦とファーストオプションとしての限界などが見えた。

 

エストからは、ジャ・モラントのスーパースターの片鱗とグリズリーズの将来への期待、デイミアン・リラードの孤軍奮闘とブレイザーズコアの解体への道と言ったところだろうか。特にリラードの第5戦での55得点と12本のスリーポインターは、プレイオフ史上最高のパフォーマンスの1つであり、第4Qとオーバータイムに一人でスリーを決めまくってDame Timeと呼ばれる所以を存分に見せつけてくれた。彼のサポーティングキャストが全く貢献せずに、ブレイザーズが負けたのが大いに悔やまれる。ヘッドコーチのストッツが解任され、ブレイザーズの大改革がオフシーズン行われそうである。

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また、第7戦まで行ったクリッパーズマブスホームチームが全く勝てないという面白いシリーズで、ルーカが更にレベルアップをした感じである。特にマブスが勝利した第1-2戦と5戦は、クリッパーズディフェンダーと遊んでるじゃないかというぐらいのハイレベルなオフェンスを披露してくれた。シリーズの途中からの首のケガもあり、クリッパーズをクローズすることができなかったが、リーグTop5に入るスーパースターの地位を確立したのではないかと思う。そして、マーベリックスに追い詰められ、絶対絶命のピンチになったクリッパーズが復活したのは驚きだった。

 

その他、レイカーズとヒートという昨年のNBAファイナルに進出した2チームがファーストラウンドで敗退するという中々起きない事態が発生したのも注目すべきで、どちらのチームもケガに泣かされたシーズンは、バブルプレイオフで遅れたシーズンの終わりと短いオフシーズンが少なからず影響したと思う。

 

また、ファンがプレイヤーに唾を吐いたり、ポップコーンを投げたり、差別発言をしたりとファンの横暴も注目を集めた。と、振り返るだけで記事をかけてしまうのがだ、今回はセカンドラウンドのマッチアップにフォーカスして、前回と同じく勝者の予想をしたい!

 

<イースト>

(1) 第1シード:フィラデルフィア・セブンティシクサーズ vs. 第5シード:アトランタ・ホークス

第1シードで問題なくネクストラウンドに進出したシクサーズだが、暗黙が立ち込めている。絶対的エースのエンビードが半月板断裂で負傷してしまったのである。このケガはオフシーズンの間に手術が必要になってくるものだが、彼が100%の状態でない中シクサーズがプレイオフを駆け抜けるのはかなり厳しい。ベン・シモンズは一生スコアラーにはなれないだろうし、(それ以外は色々素晴らしいのだが)、ハリスも安定感に欠け、じゃあ得点取ってくれとなった時に信頼は置けない。その他セス・カリーもいるが、彼も一試合30点取れるような選手ではない。エンビード以外に頼りになるスコアラーがいないシクサーズのオフェンスが、対ホークス相手にはどこまで機能するかがポイントになる。

 

一方ニックスディフェンスを切り崩し、予想以上に簡単にカンファレンスセミファイナルに進出したホークスのオフェンス力は光るものがある。3年目のエース、トレイ・ヤングはサイズの無さやセルフィッシュなプレーで批判を受けることも多かったが、シーズン終盤から自分がボールを保持し続ける割合が減り、チームプレーを重視するようになってきた。選手としてレベルアップして臨んだファーストラウンドでは見事な活躍を見せ、スコアリング、アシストともにスターらしい数字を残し、彼を疑う目を退けた。久しぶりのプレイオフに熱狂するニックスファンを挑発するような態度を取り続け、NBAのVillanとしての地位も確率しつつあるのもヤングの新しい姿である。

 

ヤングの脇にはボグダン・ボグダノヴィッチ、ケヴィン・ハーダー、ジョン・コリンズといったオフェンス力に長けた選手から、ディアンドレ・ハンター、クリント・カペラといった強力なディフェンダーまで、バランスの取れたホークスは善戦すると思うし、もしエンビードがプレイできなかった場合、ホークスが勝ち抜いても驚かない。但し、ベン・シモンズ、マティス・サイボルというリーグトップのウィングディフェンダー2人がいることで、ヤングがニックス戦のように好きにプレイはできないだろうし、総合力で上回るシクサーズがカンファレンスファイナルに進出すると思う。

予想:シクサーズが4勝2敗で勝利

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(2) 第2シード:ブルックリン・ネッツ vs. 第3シード:ミルウォーキー・バックス

カンファレンスセミファイナルで誰もが興奮しているシリーズがこのネッツ対バックスである。丁度先日の記事で、バックスの今年の可能性についてまとめたが、このシリーズのプレビューも入れているので、是非読んで頂きたい。

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<アップデート>

現時点で第1戦が終わったが、ジェームズ・ハーデンがハムストリングの怪我を再発してしまった。ハムストリングはすぐに治るものではなく、おそらくこのシリーズでプレーすることはないだろう。だが、第1戦はバックスのひどいオフェンスとコーチングによってネッツが問題なく勝利している。バックスはスリーが入らないにも関わらずオフェンスのフローに関係なくアウトサイドショットを打ちまくり、コーチBudのローテーションも意味が分からないものであった。ペイントディフェンスが弱いネッツに対して、もっとイヤニスとブルック・ロペスを活用しなければならないのに、アウトサイドから勝負し続けるオフェンスは滑稽にも見えた。(スリーポイントが30分の6というひどさである) 毎年のようにプレイオフでのアジャストメントができないことを批判されているバックスだが、次の試合でゲームプランを変えない限り、ネッツが勝利してしまう可能性が高い。

 

然し、今年のバックスは何かを持っているのではないかと感じてしまう自分もいる。ハーデン不在は彼らにとって追い風であり、3ポイントがもう少し高い確率で入るようになると考えると、バックスが残りで巻き返すのではないかと予想する。ネッツの爆発力を考えたら、第6戦までに仕留める必要はあるだろうが、今年はバックスのシーズンという期待も込めてバックス勝利で予想したい。

予想:バックスが4勝2敗で勝利

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<ウエスト>

(1) 第1シード:ユタ・ジャズ vs. 第4シード:ロサンゼルス・クリッパーズ

ファーストラウンドの第1戦で、第8シードのグリズリーズにホームコートを取られ、その後も数試合は接戦となりひやひやさせたジャズだが、第5戦でぼろ勝ちし第1シードらしいチーム力を発揮した。エースのドノバン・ミッチエルはプレイオフ経験も積み、頼れる勝負強さも発揮しており、脇を固める選手のレベルも高い。然し、NBAのプレイオフはよっぽどの強豪でない限り、スーパースターが支配する場である。2004年のピストンズや2013-14年のスパーズも絶対的エースが存在しないチームだったが、ジャズはそれより少しレベルが落ちる気がする。ディフェンスアンカーのゴルベアはいつもプレイオフでガードのマッチアップハンティングに合うし、マイク・コンリーやボグダノヴィッチも素晴らしい選手だが、往年のトニー・パーカーやマヌ・ジノビリのような経験値が足りない。なのでジャスはこのラウンドでアップセットされるのではないかと感じている。

 

マブス相手に最後勝負強さを見せたクリッパーズクワイ・レナードが圧倒的な安定感を見せ (32得点、FG60%以上という驚愕の数字!)、2年前のラプターズで優勝した時を彷彿させるレベルまでになってきた。オフェンスは勿論のこと、マブス戦の運命の第6、7戦ではルーカのガードもし、最近陰りが見えていた希代のディフェンス力も復活してきた感じである。ジャズ同様に脇を固める選手の信頼感が正直低いのが懸念だし、マブス相手に追い込まれているようじゃ、ジャズのボールムーブメントを活かしたオフェンスを本当に止められるのではないかとも思ってしまう。ただ、逆境に弱かったこのチームが、最悪の事態を免れて這い上がったことは追い風になる。

 

クワイとポール・ジョージががゴルベアをアウトサイドに連れ出し、ピックアンドロールでミッドレンジからシュートを決め続けることができ、スイッチができるディフェンスマッチアップを擁するクリッパーズがこのままカンファレンスファイナルに進出するのではないかと予想する。

予想:クリッパーズが4勝2敗で勝利

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(2) 第2シード:フェニックス・サンズ vs. 第3シード:デンバー・ナゲッツ

昨年王者のレイカーズを破り、波に乗っているサンズと、今年のMVP二コラ・ヨキッチを擁するナゲッツのマッチアップは面白いものになると思う。サンズはクリス・ポールの肩の怪我が心配ではあるが、少しずつよくなってきているようで、ドリブルすらまともにできなかった状態から3ポイントを打てるまで回復してきた。エースのデビン・ブッカーも第5、6戦で大活躍し、特に第6戦の47得点は圧巻で、第1Qから爆発し、巻き返しを狙うレイカーズの息の根を止めるパフォーマンスであった。また、3年目のセンター、ディアンドレ・エイトンもアンソニーデイビス相手に予想外の大活躍し、ハッスルプレーとディフェンスでドラフト1位の実力を見せつけてくれた。

 

そして、エイトンの活躍がこのナゲッツとのシリーズでもカギを握る。ヨキッチはファーストラウンドでブレイザーズをきりきり舞いにし、ポストアップとシュート力でブレイザーズのセンター、ヌルキッチをファールトラブルに追いこんだり、ダブルチームしたら絶妙なパスでシューターにキックアウトと彼のオフェンスを止めようがない。サンズはヨキッチのサイズに対抗できるビッグマンがエイトンしかおらず、彼がファールトラブルに巻き込まれたらサンズは大問題である。一方エイトンがファールを逃れ、ヨキッチを少しでもスローダウンさせることができたら、ブリジッズ、クラウダ―、ポールなど優れたウィングディフェンダーが揃うサンズの勝機がある。ジャマール・マレーがいないナゲッツで爆発力があるのはマイケル・ポーターJrだけであり、その他の選手を抑え込めればサンズが有利である。

 

対して、ガードが手薄状態で、リラードの大活躍を許したナゲッツは、ブッカー、ポールのガードコンボには手を焼くだろう。一人でチームレベルを底上げできる希有な存在のヨキッチがいるので、最後までもつれるシリーズになる気がしているが、選手層の厚いサンズが接戦を勝利するのではないか。

予想:サンズが4勝3敗で勝利

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