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シーズン開幕!今年のNBA注目ゴシップポイント5つ

どうも。あっという間にNBAのオフシーズンが終了し、シーズン開幕から1週間経った。序盤から予想以上に接戦が多く私の時間がなくなる限りだが、楽しみが多いシーズンとなりそうである。ルーキー達はいきなり活躍している選手が何にかいるし、スター選手のステップアップや、既に先行きが危ぶまれるチームなどシーズン展望の中で面白い要素がたくさんある。特にNBAは1年間噂話が絶えないリーグであり、ツイッターでほんとかウソかの話題が飛び交ったり、スポーツニュースで議論が飛び交う。そこで今回は個人的に気になる今シーズンのゴシップ5選を考えてみたい。

 

1. ドレイモンド・グリーンの今後

シーズン開幕直前に最も大きなニュースとなったのが、ウォーリアーズの練習中で起きたグリーンのジョーダン・プールに対するパンチ事件であろう。

 

チームメイト同士が喧嘩することはよくあることだが、一方の選手、しかもチームのリーダーと言える立場が、若手選手にパンチをくらわすというのはかなりショッキングな話である。グリーンは元から感情のコントロールが苦手な選手ではあったが、それはいつも試合中で主にレフリーに対するものであったり、コーチ陣がなんとか制御してきたところがあるが、最近は歯止めが利かなくなってきている感がある。

 

昨年のプレイオフ中にファイナルの時期も含めて自分のポッドキャストのプロモートに必死であったり、自己展示欲が年々強まっているかつ、年齢も33歳でオフェンスに関しては完全に衰えが見れる (シュート力は皆無) 彼をウォーリアーズがどこまで忍耐強くキープしようとするだろうが。今年が契約最終年となる中、ドレイモンドは高額の延長契約を望んでいると言われるが、既にラグジュアリータックス超えまくり、パンチされた側のプールが直後に延長契約したことなどを考えると、彼が来年以降ウォーリアーズにいるとは考えづらい。とはいえ今年のチームは、ベンチ層が厚く連覇を狙えるシーズンなだけに、彼のディフェンスと頭脳(これだけバスケ頭脳とそれ以外の頭脳の乖離がある選手はなかなか見たことない)  はウォーリアーズのシステムに欠かせないこともあり、今年は残留し、カリー、トンプソンとのBig3

ラストランになるのではないかと予想する。

 

2. ドック・リバースの今後

シーズン開幕直後から不穏な空気が流れているチームは既にいくつかあるが、今年の優勝候補の1つとなっているシクサーズの様子がおかしい。もちろんまだ数試合しかプレーしておらず、これから状況が好転することは全然あるが、 (昨年のセルティックスが最たる例でオールスター直前まで5割のチームだった) とにかくチームの雰囲気が悪い。初戦と2戦目はそれぞれセルティックスとバックスというイーストの強豪に接戦で敗れているのだが、エンビードが明らかにやる気のないプレイを見せていたり、ハーデンもオフェンスは調子がよさそうだがお粗末なディフェンスは変わらず、マクシーもオフェンスの進化は確実に見られるが、ディフェンスは引き続き弱いことは否めない。

 

3戦目は今年最下位争いをすると予想されるスパーズに対して完全にeffortで負けたりと、覇気もなければ、チームとしての一体感がない。特にフランチャイズプレイヤーのエンビードが何か不満を持っている感がプンプンでボディーランゲージが最悪である。この状況がもう少し続けば、誰かが責任を負う必要に迫られるだろうが、その真っ先の候補がヘッドコーチのドック・リバースである。ドックはボストンで2008年に優勝してから、クリッパーズシクサーズと何度も強豪チームをコーチする機会がありながら、結局10年以上カンファレンスファイナルすら進出できていない。人間としては非常に優れており、黒人コーチの重鎮として大事なポジションを担ってはいるが、ここ数年彼の戦術には批判が寄せられている。

そして現在のシクサーズGMはアナリティックス大好きなダリル・モーレーであり、古いスタイルを貫くリバースとはフィロソフィーが合わないはずである。ということは、序盤の不調の責任をHCにつける可能性は高く、彼をクビにして、代わりにハーデンがロケッツに所属していた際の栄光時代のHCであるマイク・ダントーニを連れてきても全く驚かない。

 

3. ネッツは崩壊するのか、勝ち抜くのか

チームとして時限爆弾みたいな存在なのがブルックリン・ネッツである。いい方向に向けばファイナル進出したっておかしくないタレントはある一方、悪い方向に向かえば一気にチーム解体することもありえる究極の博打チームである。選手層だけでいえばいまだにトップ5の実力を持つデゥラントに、カイリー、過去にオールNBAに一応入っているシモンズのトリオ、セス・カリー、ジョー・ハリスのシューターもおり、ベンチ陣もそこそこの実力がある為、少なくともオフェンスだけでいえば相当な力を持っている。全てが上手くクリックすれば、爆発力のあるオフェンスと、僅差の試合でのKDとカイリーのショットメイキング能力によってプレイオフ向きのチームであるとも言える。

 

然し、、、既に世間に知られているようにデゥラントは4年契約を残しながらオフシーズンにネッツからトレードリクエストし、それが上手く行かなかったら今度は自分かHDのスティーブ・ナッシュを選ぶかフロント陣に迫るという強行手段に出た。結局何も起きずにデゥラントは残留することになったのだが、チーム内に未だに緊迫感があることは確実である。更にアービングは今年のオフでFAとなる中、延長契約をオファーさらず、昨年からのワクチン拒否などによってチームからの信頼度は非常に低い。

 

そんでもって、ベン・シモンズはチームから感情を傷つけられたとして、昨年シクサーズに合流することを拒否し、トレードされるまで一試合も出場せず、ネッツにトレードされたと思ったら腰痛で結局一度もユニフォームを着なかった。そんな彼が2年前のアトランタ・ホークスとのプレイオフで砕け散った自信を取り戻す事ができるのかがカギとなるが、シーズン序盤を見ると過去の状態に戻ることは難しそうである。

ヘッドコーチのスティーブ・ナッシュも戦術家として疑問が残る部分も多く、特にペイント内でのディフェンス力が全然ないこのチームは、全てが上手くいくより、自滅する可能性に賭ける方が確実そうである。

 

4. レイカーズはプレイオフに行けないのか

Disfunctionalという意味ではレイカーズも一歩も譲らない。まだプレイオフに進出して勝ち抜く可能性が多少なりともあるネッツと比べて、レイカーズはそんな希望すらないのだから厄介である。38歳で20年目のレブロンとまだ20代だがもう全盛期過ぎた感が満載のデイビスというトップ2は3年前の優勝時と比較して迫力が欠けるし、加えてチームNo.3以降の戦力が一気に下がるところが痛い。

 

エストブルックは完全に峠を通り越しているかつ、レブロン、ADとのフィットが悪く、完全に部外者扱いを受けている。そもそもジャンプショットが全く入らない為、レブロンに必要なスペースを提供できないという事も問題だが、(実はデイビスの方がこの2年のジャンパーの確率が低いという驚愕のデータもある) とにかく頑固な彼はプレイスタイルを変えることはできずに不満を漏らしているのもいただけない。そのほかのロスターも他チームと比べて戦力が一段階落ちるし、レブロンのチームにはシューターが何人かいれば成功するという過去事例を全く無視したチーム構成を昨年から全く解決しきれていない。実際序盤3試合でチームの3ポイント確率が22%と壊滅的なシュート力のなさを露呈しており、接戦には持ち込んでいるが、終盤のexecusionとチームケミストリーの微妙さが垣間見れ、長いシーズンになるということが容易に想像できる。

 

前評判からしてプレイオフ行けるのかと懐疑的な目が多かったことはありつつ、伝統のレイカーズかつ、レブロンがいるというだけで良くも悪くもニュースになりやすいだけに、ウエストブルックをどうするか、スーパースターになり切れないデイビスの扱いをどうするか、その他のサポーティングキャストをどうするかなど問題は山積みで、史上最高の選手の1人であるレブロンの晩年シーズンが台無しになりそうである。もし大型なトレードがない限り、このチームはどんなに頑張ってもプレイイン出場が限界で、おそらくウエストの8チームには残らずシーズン終了するだろう

 

5. ジェイソン・テイタムのMVPの可能性

ドラマと言えばボストンセルティックスのオフシーズンは大変だった。昨年ファイナル進出の立役者かつチームカルチャーを変えたヘッドコーチであったイーメイ・ユドーカがチームスタッフとの不倫・セクハラ問題で1年間のサスペンドを受けるという緊急事態が起きたのでる。結局何が起きたのかは今でも分かっていないが、このゴシップに関する報道は過熱し、メディアの伝え方の問題を浮き彫りにしたことは前回のブログにまとめたとおりである。

atsukobe.hatenablog.com

 

そんなゴタゴタの中でユドーカの代わりは、これまでNBAのヘッドコーチの経験がないジョー・マズ―ラが指揮を執ることになり、時には厳しい対応で選手に接するユドーカの求心力の不在はセルティックスのシーズンに大きく影響すると見られた。

 

然し蓋を開けてみると、昨年リーグトップだった強固なディフェンスは健在かつ、選手層も厚くなったことでチーム全体が安定したプレイを見せている。そして何よりチームの若手スターであるジェイソン・テイタムが更に進化して、アンストッパブルな存在となってきているのが目に見えてわかる。最初の数試合でこれまで課題とされていたペイント内のでフローター含めたフィニッシュ力が向上し、更にミッドレンジ、ロングレンジのシュート力に磨きがかかり、リーグ最高のオフェンシブウェポンの一人となっている。加えて定評あるディフェンスも引き続き高いレベルを維持しており、これはスーパースターの仲間入りも、もうすぐと思われる。

 

このまま行けば彼自身が平均30得点近く記録し、チームもイーストのNo.1かNo.2でフィニッシュする可能性が高いとみられる。そうなるとMVPは個人スタッツやチーム成績に加えてストーリー性とナラティブも重要視される為、HCが不在という逆境を乗り越えて、チームをまとめてあげたうえ、個人成績も申し分ないとなれば彼のMVPケースを大きく後押しになることになるだろう。

 

他にもエンビード、イヤニス、ルーカ、ヨキッチ、カリー、モラントといった選手がMVP候補に挙がってくるだろうが、シーズン後に初のMVPを受賞していても全然おかしくないレベルまでテイタムは到達している。