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カンファレンスファイナルプレビューとセミファイナル総括

どうも。NBAレイオフはとうとうカンファレンスファイナルまで到達した。セミファイナルでは、全てが第6戦までいくなど結構見ごたえのあるラウンドであり、2週間わくわくさせてもらえた。個人的にはウォーリアーズとヒートの4勝2敗の予想はぴったりと当てられたが、賭けに出たバックスの4勝3敗は外れ、サンズの4勝2敗は大きく外れてしまった。そこで、改めて各マッチアップの振り返りとどのチームがファイナルに進出するか予想してみたい。

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<バックス対セルティックス>

カンファレンスセミで一番面白かったのはこのシリーズで間違いなく、ここ数十年の歴史の中でも屈指のシリーズだったのではないか。チームNo.2かつ第4QのGo to スコアラーとして重要なミドルトンを失ったバックスが、リーグNo.1ディフェンスのセルティックス相手にここまで戦えたのは純粋に賞賛されるべきであろう。ヤニスはそのNo.1ディフェンス相手に、効率性は低かったものの、34得点、15リバウンド、7アシストを記録し、7試合中2試合で40点オーバーも出すなどリーグNo.1プレイヤーとしての地位を絶対的なものとした感がある。バックスのディフェンスもセルティックスを抑え込み、超ハイレベルディフェンスの戦いとなったが、バックスはヤニス以外にコンスタントにオフェンスで貢献する選手がおらず、最後は力尽きた感があった。第5戦のバックスの逆転劇とホリデーのディフェンス、第6戦のヤニス vs. テイタムの攻防はここ最近屈指のショーであった。テイタムのオフェンス、ディフェンスの両方での躍進は目に見張るものがあり、今後リーグトップ5の地位に近づいていくだろう。

 

もちろんミドルトンの不在は大きかったが、ヤニスの全盛期を無駄にしない為に、バックスは来年はウィングで自らオフェンスをクリエイトできつつ、ディフェンスも平均以上の選手がもう一人欲しいところではあるだろう。

 

<サンズ対マーベリックス>

バックス対セルティックスが最上級のマッチアップであったのに対して、サンズ対マーベリックスはリーグ史上最もショッキングな結末の1つであった。今年のレギュラーシーズンでは他チームを大きく引き離して第1シードを獲得し、問題なく2年連続にファイナルに行くというのが大方の予想であった。少なくともこのシリーズの第2戦終了後までは誰もがそう思っただろう。然し、第3戦からクリス・ポールに明らかな異変が起こり、更に、エイトンもスモールラインアップのマブス相手にスコアができず、デビン・ブッカーも封じ込まれ、何かが完全に来るってしまった。第7戦はホームということもあり、さすがに勝つだろうと思われた中、やる気すら感じられず、ファーストハーフの時点で負けが決定するような流れで完全に崩壊した感があった。

 

ドンチッチの支配力とマブスロスターが力を発揮したのはもちろんだが、それ以上にサンズの異変の方が際立った結果となった。シリーズの途中から何があったのか分からないが、2007年ファーストラウンドのマブス、2011年ファイナルのヒート、2020年カンファレンスセミクリッパーズを彷彿とさせる超驚きの内容であり、これから更に年を取るポール、エイトンの契約問題など課題は見えており、個人的にはサンズはこれがラストチャンスで、来年以降ファイナルを目指すには壁が高すぎる気がする。

 

<ヒート対シクサーズ>

シクサーズはMVP投票2位のエンビードが脳震盪起こしたり、顔面骨折したり、親指を骨折したりと散々な状態でシリーズが開始した為、ヒート有利だとは思われたが、想像以上にシクサーズのひどさが散見された。まず、ハーデンは選手としての峠を完全に過ぎてしまった。エリートだった選手がここまで一気にスピードを失い、得点王から15点取るのも精一杯という状況は珍しい。加えて、ハーデンは毎年のプレイオフでも見せるように、勝利への拘りが感じられない。エンビードがケガで苦しんでいる中自分がステップアップしなきゃという気合もなければ、負けたらシーズン終了の第6戦で、後半僅か2FGしか打たないなど危機感もゼロで、彼のプレイオフ負け犬レコードに新たなチャプターが追加されることになった。

 

シクサーズのオフシーズンは、ハーデンの契約更新をどうするか、ウィングディフェンダーや頼れるシューターをもう一人獲得できるか、エンビードがベンチにいるときのバックアップビックの補強も急務など、エンビードを支えるロスターを構築するには課題が山積みである。ヒートのディフェンスは素晴らしかったし、ジミー・バトラーはプレイオフでTop5プレイヤーとして大活躍しているが、このマッチアップはシクサーズの脆さとハーデンの衰えがとにかく目立った。

 

<ウォーリアーズ対グリズリーズ>

どちらもあまり強い感じが伝わらなかったが、勝つべきチームが勝った感じであろうか。グリズリーズは今年ウエスト2位と大躍進をしたが、リーグで最も若いチームの1つである。モラントは3年目、デズモンド・ベインは2年目、ジャレン・ジャクソンJrも4年目であり、コアの選手が全員25歳以下と、これからに期待のチームであることに間違いないし、今年はプレイオフ慣れすることが目標であっただろう。ファーストラウンドでもセミファイナルでも若さが非常に目立ち、軽率なミスやショットセレクションの問題などが目についた。また、第2戦で大活躍したモラントが第4戦以降欠場したのも非常に痛かった。グリズリーズは今年モラント抜きでも20勝2敗と素晴らしい成績を残していたが、プレイオフではディフェンスがタイトになったときにそれを突破できる選手が必要で、エースが抜けた穴は大きすぎた。とはいっても第5戦で50点差をつけて勝利したりしているのだが、これはウォーリアーズの気持ちの抜けと実はそれほど強豪ではないことを表した事例であろう。

 

後一人強力なウィングプレイヤーと安定したビッグマンがいれば更にグリズリーズはステップできるだろう。唯一の懸念は怪我が多めのモラントだが、来年以降も彼が更に実力をつけて、グリズリーズがリーグトップ5チームに長年君臨する可能性は高い。

 

 

それでは、ここからは本題のカンファレンスファイナルレビューに入りたい!

 

ホークス、シクサーズと少し問題ありのチーム相手に問題なく勝ち上がったマイアミ・ヒートと、バックスとの激戦を制したセルティックスは、両チームともディフェンスが秀でており、激しいマッチアップとなることは確実である。どちらもウィングとビッグで優れたディフェンダーが5人以上おり、相手へのプレッシャーディフェンスはピカイチである。1-5までスイッチが可能で、センターが動ける為、誰が相手でも戦える。

 

ヒートから考えると、バトラーは2年前のバブルの時のようにMVP級の活躍をしており、セルティックス相手にも一定の成績を残すだろうが、ボストンのディフェンス相手に、過去2シリーズと同じような活躍が続けられるかは疑わしい。デゥラント、ヤニスという2大巨頭を苦しめたディフェンスは本物であり、彼らよりは実力が劣るバトラーがシリーズを通してコンスタントに得点取れる気はしない。アデバイオのオフェンスも基本的に自分で作り出せる力は弱い為、いかにタイラー・ヒロやオラディポがクリエイトできるかがキーとなるだろう。またスリーポイントが生命線なチームでもある為、バックスのようにスリーが全く入らない状況になったら苦しい。ヒートとしてはバトラーの安定感とスリーがシリーズの行方を決めるだろう。

 

同様にセルティックスのエースであるテイタムもマイアミのディフェンス攻略に時間がかかるだろうが、リーグ屈指のクリエイターへと進化しており、既にバックス相手にタフショットを決められることを証明した。特に第6戦の46点の活躍は彼がトッププレイヤーの一人として降臨したことを象徴するタフショットの連発であり、セルティックスのシーズンをセーブしたと言える。また、ヒートと同じくスリーの精度も重要だが、バックスのようにスリーを無視するディフェンスでもないヒートなので、前回のようにスリーの連発は難しく、ロールプレイヤーがどこまで貢献できるかが大きくカギを握るだろう。そしてジェイレン・ブラウンがテイタムの後をついていけるか、マーカス・スマートがセルフコントロールを持ってプレイできるかも勝敗の行方を左右する。

 

お互いディフェンスを強みとして、真のスコアラーは一人しかいないチームだが、オフェンスの爆発力と層の厚さ、バックスを倒してノリに乗っているセルティックスが有利と予想する。

 

予想:セルティックスの4勝2敗

 

ファイナル確実だと思われていたサンズを粉砕したマブスと、ケガで戦力不足のナゲッツ、モラント抜きのグリズリーズが相手で比較的簡単にカンファレンスファイナルに進めたウォーリアーズのマッチアップということで、流れがマブスにあるのは間違いない。サンズディフェンスをきりきり舞いにさせたドンチッチのオフェンス力がある限り、必ずマブスにチャンスはあるだろう。マブスにとって重要なのはブロンソン、ディンウィディと2人のクリエイターがステップアップし、シューターがある程度の確率でスリーを決めるところにつきるだろう。また、常にマッチアップハンティングを狙っているルーカは、カリーやプールなど小さめの選手やビッグマンをピックアンドロールで追い掛け回すので、ウォーリアーズのディフェンスがどんな対策をしてくるかが楽しみなところ。

 

一方今年ディフェンス力が一気に上がったマブスだが、優れたディフェンダーがたくさん一杯いるわけではなく、どちらかというとエフォートによるところが大きい。サンズとのシリーズの後半ではルーカでさえもディフェンス頑張っていたのが印象的だった。然し、ウォーリアーズのオフェンスはパスとムーブメント中心とする為、より一層の努力が必要とされる。それにより、マブスのディフェンスが崩れる可能性も十分にあると考えている。

ウォーリアーズとしては、カリーが安定した活躍する必要はもちろんだが、今年大躍進したプールと、2年ぶりに復帰後プレーが荒く全盛期を過ぎた感があるトンプソンがショットを決められるかが非常に重要となるだろう。また、ドレイモンドは最近全くシュートを打たなくなってしまったが、マブスディフェンスは彼を完全にオープンにするはずなので、そこで思い切って自分からシュートを打って決められるかもウォーリアーズのオフェンスにかなり影響が出てきそうである。後はターンオーバーをしまくるケアレスミスが多いウォーリアーズだけに、まずはボールをしっかりとプロテクトする、ターンオーバーした際にはそこからのファストブレイクを抑え込めるかも大事である。

 

未だにカリーはトップ10プレイヤーでもあるし、チームの経験値、総合力はウォーリアーズが上であろうが、新世代のスーパースターであるドンチッチの破壊力は計り知れないものがあり、彼一人の存在で第7戦まで持ち込み、マブスがアウェイで勝利するでのはないかと予想する。

予想:マーベリックスの4勝3敗