NBAシーズンプレビューとカイリー vs. ワクチン
どうも。NBAシーズンがまもなく開始する!ここ2シーズンはコロナの影響でスケジュールが後ろ倒しになっていたこともあり、ファイナルが終わってからほんとにあっという間だなという気がして心の準備ができていないが、今シーズンは確実に面白くなる気配がある。そこですごいざっくりとだが、ウエストとイーストそれぞれのトップ4レベルに加わりそうなチームの可能性をプレビューしつつ、トレーニングキャンプ開始後問題となっているスター選手とワクチンの問題についても言及したい。
<ウエスト>
1. レイカーズ
ウエストはレイカーズが大量補強をしてロスターの半分が元オールスターみたいになっている。一番の注目は今年37歳になるレブロンがどのくらいのレベルでプレイができるか、ボール保持率がむっちゃ高いウエストブルックがレブロンと共存できるかとなる。私的に彼らがファイナルで勝てる戦力とは思わないが、今年のウエストの状況を見るとファイナルに一番近いのがレイカーズであることに異論はない。
2. ケガ組
ここ20年近くウエストがイーストより総合的に強いのはよく知られていたが、今年はウエストのトップレベルチームがどこになるのかが定かでない。クリッパーズはレナードがケガでシーズンの大変は欠場する為プレイオフに参戦できるかぎりぎりだろうし、ナゲッツもジャマール・マレーがACLの怪我で苦しむだろう。ナゲッツは昨年MVPのヨキッチがいる限りプレイオフは確実だろうが、マイケル・ポーターJrがどこまで飛躍するか+自分がスターかのように振る舞わないかに今シーズンはかかっている。
3. 安定組
サンズとジャズは昨年とコアが変わらない為安定した成績を残すことができるだろうが、パンチ力は欠ける。サンズに関しては昨年ファイナル進出した割に (相手チームの怪我に助けられたのもあるが) 下馬評が低いが、ブッカーやエイトンなどの若手コアの成長の可能性を考えると、今年もウエストのトップが狙える位置につけるのではないか。
4. 読めない組
ウエストで一番面白くなるのはおそらくウォーリアーズだろう。彼らが第7シードぐらいになっても、第3シードぐらいになっても驚かない。それを大きく左右するのがクレイ・トンプソンの怪我の状況である。レポートによると1月ぐらいから復帰すると言われているが、2年連続でACLとアキレス腱の怪我をしている彼がどこまでのレベルで戻って来れるかは未知数である。正直2年連続大きなケガをした選手が100%になって復活する前例はないので、個人的には彼らが優勝候補となるかは懐疑的である。
その他、マーベリックスも面白いだろう。レブロンを筆頭にスーパースター1人の力で一気に強豪となれるバスケにおいて、ルーカの存在は見逃せない。今年で4年目の彼は更に成長するだろうし、プレイオフでも恐れ知らずのことが証明されており、番狂わせでカンファレンスファイナルとかにいっちゃうこともあり得るのではと思う。コーチがジェイソン・キッドであることや、その他の戦力への疑問符がつくのだが、楽しみなチームではある。
後はブレイザーズもいつも通り中堅レベルの成果を残すかもだが、リラードやマコラムのトレードの可能性が捨てきれないので、それ次第でタンクモードに入るか強豪の一角に名乗り出るのかが決まりそうである。
<イースト>
イーストはウエストと比べると強豪と中堅、それ以外のレベルがはっきり分かれる印象であり、下位チームはとことん弱くなると予想する。
1.補強組
オフにカイル・ラウリーとPJタッカーが加入したヒートは、バトラー、バム・アバデヨとの強力なディフェンシブコアができたひのは確かだが、ベテラン揃いかつオフェンスの爆発力に欠け、ネッツ、バックスの2強を苦しめるレベルまでいくかは疑問である。
デローザン、ロンゾ・ボールと大きな補強をしたブルズもイーストの注目チームの1つだが、デローザン、ラビーン、ブサビッチの3人は素晴らしいオフェンシブタレントだが、どちらもボールが必要なデローザンとラビーンのフィットは疑問符がつく。そしてスターターのディフェンス力の低さがネックとなって、そこまで上位に食い込めないと予想している。
2.中堅組
昨年大躍進したホークスはとにかく選手の層が厚いので今年も勢いを維持してホームコートアドバンテージを狙えるとこまでいくのではないかと思う。トレイの更なる成長とウィングプレーヤーが健康で過ごせるかがキーとなりそうである。一方ホークスにプレイオフで敗れたニックスはケンバとフォニエの補強はしたが、ケンバの衰えは隠せない。プレイオフで見えたジュリアス・ランドル頼みのオフェンスの限界が解決されるのかがカギとなるが、昨年のようにトップ4シードを狙えるとは思えない。
その他昨年低迷したセルティックスはテイタムとブラウンのコア2人の更なる成長が見込め、デニス・シュルーダーの加入はガードのパンチ力がなかったボストンに吉と出るだろう。ただ彼らもファイナルを狙える位置ではない。
3.全く読めないシクサーズ
そしてベン・シモンズ問題が解決しないシクサーズについてはどうなるかが全く読めない。仮にシモンズがトレードさらずにしばらく彼抜きか、100%本気出さないシモンズがプレイしながらレギュラーシーズンが進んでも、エンビードが健康でいる限り5割の勝率は残せるだろうが、このドラマの行方によってはプレイオフ1回戦敗退になっても、トレードが成立して優勝候補に躍り出ることもあり得るかもしれない。
4.全体トップ2
残るは昨年覇者のバックスと今年の優勝候補筆頭のネッツである。この2チームがリーグ全体でもTop2であり、シーズンが順当に進んだ際に、エリート集団のネッツ vs. NBAで這い上がってきた雑草組のバックスの戦いという超面白いカンファレンスファイナルになるかもしれない。メンタルと勝負弱さが見られたバックスは昨年優勝したことで、今年はより自信を持ってプレイできるだろうし、イヤニスは昨年のプレイオフでネッツとのシリーズ以降今までになかった支配力を開花させ、更に強力な選手となって戻ってくると思う。PJ・タッカー以外主力が抜けていないかつ、ケガ人だらけの昨年での優勝へのいちゃもんが多いとことで、今年も手を抜かずに全力で優勝を狙うと予想される。
対するネッツは現在リーグ最強プレイヤーのデゥラント、最強オフェンシブプレーヤーのハーデン、最強ボールハンドラー&フィニッシャーのカイリーに加えて、ベンチ陣も強化し抜け目が少ない。普通に考えたら優勝候補の筆頭で、バックスと比べてもギャップがある気がする。ただここで一筋縄でいかないのがネッツである。厳密にはカイリーの存在である。
<カイリーとワクチン拒否>
あくまでスポーツと文化のブログなのであまりコロナとワクチンの効果について言及したくもないのだが、昨今それを逃れることができないのが常である。NBAも例外ではなく、ワクチンの接種がリーグ全体で義務化はされていないが大きく推奨されている。NFLにおいてはもう半強制のようなもので、ワクチン未接種の選手がコロナになった場合、その所属チームは問答無用に試合放棄をしなければいけない。1年17試合しかないNFLで1試合を失うことは一大事なのである。
それに比べたらNBAのルールはもう少し緩いが、リーグのワクチン接種率は90%を超えている。然し、一部の選手の中には未だにワクチンに懐疑的な意見を述べる人もいる。マジックのジョナサン・アイザック、ウィザーズのブラッドリー・ビールなどもそのグループに入るのだが、ここで特に問題になるのがアメリカは国単位でなく州ごと、更には都市単位での統治力が強い事である。
コロナの規制が強いニューヨークとサンフランシスコはホームプレイヤーがワクチンを接種しない場合、試合に出場できないルールを作った。これによりニックス、ネッツ、ウォーリアーズの選手がレギュラーシーズンの半数あるホームゲームでワクチンを接種することが義務付けられた。これに伴い大きな話題となったのが、ウォーリアーズのアンドリュー・ウィギンズとネッツのカイリーがワクチン接種を拒否したことである。ウィギンズについてはしばらくReligious Freedom (宗教上の理由) ということで接種に抵抗をしていたが、四方八方からプレッシャーがかかったのか、いやいやながら最終的に打った。
Andrew Wiggins had a lot to say postgame last night, saying he was forced to get vaccinated and he wasn't happy about it: https://t.co/jmTNhRyJ07
— Complex Sports (@ComplexSports) October 5, 2021
カイリーについてはワクチン接種はプライベートな問題として公表こそしていないが、彼が接種していないことは明らかで、シーズンの半分に出場できないとしてもこれからも接種する気がないようである。これは優勝候補筆頭のネッツを悩ます大問題だが、これがカイリーだから厄介かつ、おそらく自分の意思を通すだろうと思われるわけである。カイリーは以前から予想外の行動を起こすことはしょっちゅうあり、突然トレード要求をしたり、地球は平だと言ったり、昨年もチームに説明なくいきなり離脱したりと、いわゆるドラマクイーンである。更に彼は非常に頑固で信じたことは譲らない性格であり、チームとしては非常に扱いづらい。
プロスポーツにおいてワクチン接種が何故大事かと言えば、自分が感染して、他の選手にもうつしてしまうと戦力が揃わなくなり、試合に出れなくなってしまうからである。特にプレイオフで集団感染が起きたら終わりである。どの職場でもコロナアのアウトブレイクを避けようとするだろうが、スポーツでお金を稼ぐ以上リモートワークはできないし、コンタクトスポーツであるバスケではそれが通常より難しい。だからこそチームに迷惑をかけない為のワクチンとなるのだが、カイリーにはそれが通じない。(カイリーは自分が社会全体よりスマートだと考えちゃう傾向が強い、、、)
正直カイリーがシーズン全休となってしまっても、ハーデンとデゥラントというリーグTop10、オフェンスに限ればTop5に入る選手を抱え、ベンチ層も厚いネッツは引き続き優勝候補である。スターの2人が健康であれば普通にバックス相手に台頭に挑める戦力が揃っているのは確かであるし、実際昨年はほぼKDの独壇場でバックスをぎりぎりまで追い詰めた。(ハーデンとカイリーのどちらかが最終戦まともにプレイできたらネッツが勝っていただろう)
ただ昨年と同じく今年もケガ人がでる可能性は否定できない。デゥラントは一昨年アキレス腱を断裂して昨年かなりの負担をかけているし、ハーデンもまたハムストリングを痛めてしまうことは全然あり得る。そういった事があっても大丈夫なように、スーパースターが3人集まったわけだが、カイリーも出場せず、残り2人のどっちかでもケガで離脱したらネッツの優勝の可能性は一気に低くなる。
Steve Nash says the Nets are preparing for the possibility that Kyrie Irving will miss all home games this upcoming season due to NYC's vaccine mandate pic.twitter.com/rzNvsjhcWn
— Bleacher Report (@BleacherReport) October 10, 2021
カイリーの意思が変わってシーズン開始したらネッツが圧倒的な強さを見せてシーズン前の心配が消え去る可能性もある。もしくはプレイオフになっても彼がワクチン接種を拒否し、シーズンを通してこのストーリーが付きまとう事もあり得る。バスケジャンキーのデゥラントや、優勝経験のないハーデンにとって、優勝の可能性をチーム内の事情で阻まれるのは許せないだろうし、チームケミストリーもどうなるかが気になるところである。
ベン・シモンズのトレードドラマとカイリーの行方はシーズン開幕に向けたスパイスとして見逃せないニュースであり、どうなるか行方が楽しみである。