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NBA ベストボールハンドラー 歴代Top10!

どうも。今回はまたNBAトピックに戻って、突然だがランキング形式で私的な歴代ボールハンドラーTop10をまとめてみようと思う。以前にはトップダンカーに絞って、インゲームダンカーとダンクコンテストダンカーでそれぞれランキングを作ったのでそちらも是非チェックして頂きたい。

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このランキングはあくまで私的な見解なのでそんなはずはないとか選出がおかしいといった意見はあると思うが、数あるランキングの1つとしてご了承頂きたい。

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No.10 ピート・マラビッチ

長いNBAの歴史の中でドリブルの技術はどんどん進化してきた。最も古くは60年代のセルティックスレジェンドであるボブ・クージーがエンタメ要素を加えたドリブルをはじめたと言われるが、あくまで利き手の右手でのドリブルばかりだった。そこから更にショーマンシップと技術を持ち込んだのがピート・マラビッチである。60年代後半から大学での圧倒的な得点力と派手なドリブルやパスで大きな注目を集めたマラビッチは、70年にNBAに入ってからも同じようなプレイスタイルで人気を集めた。彼のプレイが直接チームの成功に結び付くことはなかったが、相手までも魅了するドリブル、パスの出し方、長距離のシュート力はその後のスティーブ・ナッシュやステファン・カリーに受け継がれており、NBAに革命を起こした一人として歴史上重要な存在である。

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No.9 ジェームズ・ハーデン

現代NBAのトップクラスのボールハンドラーと聞いてジェームズ・ハーデンを外すことができない。手にボールが吸い付いたかのようにドリブルを繰り返し、そこからステップバックスリーか、ドライブするという2択しかないのに誰もハーデンを止めれないのは、ディフェンダーを常に推測させる彼の読みの能力とリズム感からできる技であろう。また、彼の特徴はドリブルの回数の多さと姿勢の低さ、切り返しの上手さであると思う。ロケッツ時代は彼がオフェンスにいくら時間をかけてよかったこともあり、ドリブルを何回もしながらディフェンダーがリーチした瞬間を狙って低い姿勢から一気に切り返してペイントまで向かっていくことができた。逆にそこでディフェンダーがドライブを警戒してきたらステップバッグでシュート打つ。シンプルなようで止められない彼のスタイルに賛否両論あるが、その技術に疑問の余地はない。

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No.8 ジェイソン・ウィリアムズ

NBAとストリートボールはプレイのレベルやスタイルに大きな違いがあるが、ストリートボールをNBAに持ち込んだ先駆者の一人がジェイソン・ウィリアムズである。身長が高いか、シューターと言ったイメージが強かった白人選手の中で、派手なドリブルとパスで黒人選手みたいということでホワイト・チョコレートという特殊なニックネームがついたウィリアムズのプレーはとにかくエキサイティングであった。オープンコートに入ったら観客をあっと言わせるパスを出すことを楽しんだ彼のドリブル技術は卓越されたもので、クロスオーバー、ビハインド・ザ・バック、少し高めの位置でのドリブルなど多彩なスキルを誇った。プレーの安定感に欠け、チームを率いるリーダーではなかったが、特にリーグに入った最初の数年に残したハイライトの数々によって鮮烈なインパクトを残した。

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No.7 ジャマール・クロフォード

ウィリアムズと同じくストリートボールの要素が強いボールハンドラーがシアトルのレジェンド、Jクロスオーバーことジャマール・クロフォードである。彼はまさにHooperといった感じで、筋トレなどは一切せずにひたすらバスケをオフシーズンでもしまくっているタイプである。そんなバスケジャンキーのクロフォードは一旦シュートが決まりだすと止まらないヒートチェックタイプであり、スターターとしては安定感と協調性に欠けたが、キャリアの中盤以降はシックスマンとして開花した。彼のすごい所は30代半ばになっても自分が得意なクロスオーバーを中心として若手っぽいプレーができていたことであり、それは彼のドリブル技術の高さによって可能となった。

 

クロフォードのシグニチャーム―ブといえばビハインドバックなのだが、特にフェイクを入れてからビハインドバックをしながらギャザーステップをしてレイアップまで持っていくムーブをおそらくNBAで初めてした選手であり、彼以外にこの動きをマスターした人は知らない。

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スーパースターではなかったが、後世のアンクルブレイカーに残した功績は大きい。

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No.6 クリス・ポール

ウィリアムズやクロフォードがショーマンシップに長けたリスキーなアンクルブレイカーの代表だとしたら、クリス・ポールは堅実なボールハンドラーの代表である。Point Godのあだ名がつくほど、アシストの割合に比べてターンオーバーが少ないのが特徴であるのだが、その根底には彼のターンオーバーを誘発しないタイトなハンドリングがある。彼の代名詞であるミッドレンジエリアのフェイダウェイジャンプショットも綺麗なドリブルからなされる業である。ただ彼が派手なドリブルをしないわけではなく、相手の股下を通したり、パスと見せかけたヨーヨードリブルは別れの代表的ムーブである。

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今年で37歳と大ベテランの領域に入ったポールだがそのドリブルの技術は健在で、引退するその日まで堅実かつ効果的なクロスオーバーを見せてくれるだろう。

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No.5 ステファン・カリー

NBA史上最高のシューターであるステファン・カリーがベストシューターに慣れた理由こそが彼のハンドリングスキルである。これまでも単純なシュート力でカリーと同等の選手はいたが、大体がスクリーンを使ってのショットがメインで、クロスオーバーで自らスペースを作ってシュートする選手はほとんどいなかった。(唯一レイ・アレンが全盛期に時々したぐらいであろう)  カリーがすごいのはドリブルからディフェンダーをかわしてオフバランスの状態から超高速リリースでシュートを打てることである。そして彼の3ポイントがあるからこそ、ドリブルからのペネトレーションも活きてくる。カリーもビハインドバックが結構得意でドリブルムーブの中でかなりの確率で入ってくる。対クリッパーズ相手に繰り出したレッグスルー→ビハインドバックでディフェンダーをかわして、3ポイントラインに戻り僅かなスペースで決めたショットは過去最高に難しいショットの1つであると思う。

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昨年孤軍奮闘で過去最高の得点を記録したカリーが今年こそはプレイオフに導けるか注目である。

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No.4 アレン・アイバーソン

ストリートボールの最高峰かつ、NBAのアイコンとして、2000年代以降のNBAファンにとっては、クロスオーバーと言えばアレン・アイバーソンを思い浮かべるのではないか。平均的な日本人と大して変わらない体格で得点王、MVPまでに上り詰めた彼を支えたのは誰も恐れないメンタルとハンドリング技術である。特にヘジテーションドリブルから右→左、左→右のクロスオーバーで相手を一気に抜き去りドライブする、そこからレッグスルーでステップバックしてのジャンプショットが彼のシグニチャームーブであった。彼のこのクロスオーバーはNBAに大きな影響を与え、その後多くの選手が取り入れるようになった。昔のNBA選手からはクロスオーバーの前でボールを1秒近く保持するのでキャリーじゃないか批判もされたが、ディフェンスをフリーズさせるという意味でこのちょっとのキャリーは非常に効果的だった。彼を一躍スターにしたのが、ルーキー時代にジョーダン相手に1 on 1を仕掛け、クロスオーバーからジャンパーを入れた瞬間だが、この時も高いボールの位置からのクロスオーバーを有効活用している。

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そのスタイリッシュさと観客を引き付けるプレーで時代を席巻したアイバーソンは今後も永遠に語り継がれる唯一無二の選手である。

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No.3 ティム・ハーダウェイ

アイバーソンのクロスオーバーをキャリーだと批判した張本人こそがティム・ハーダウェイである。90年代に活躍したハーダウェイは、キラー・クロスオーバーと呼ばれたムーブを開発し一時代を築いた。このキラー・クロスオーバーの特徴は低い状態からレッグスルーと左右の切り返しを1、2で連続で行うことであり、一瞬レッグスルーでディフェンダーの体重が後ろに乗った状態から一気に切り返す為、ディフェンダーのリアクションが追い付かない。しかもアイバーソンと違いキャリーせずに少ない動作で一連の動きが完結するのでで個人的によりプラスポイントである。クロスオーバーをマスターしたハーダウェイはハーフコートの1 on 1だけでなく、速攻の時でもミスなくこの動きを繰り出せたのが、他選手と違うことである。

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クロスオーバーを人気にしたのはアイバーソンだが、ボールハンドリングの技術に革命をもたらしたのはハーダウェイなのである。

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No.2 アイザイア・トーマス

この選出を見て、えっと思う人も多いかと思うが、クロスオーバーやシグニチャームーブ関係なしに、単純なボールハンドリングスキルで、80年代のスーパースター、アイザイア・トーマスに勝つ人はそうそういない。彼のスタイルはその後のハーダウェイやアイバーソン、ポールの原型となるようなもので、ボールハンドラーの先祖がピート・マラビッチだとしたらアイザイアがゴッドファーザーといった感じだろうか。彼の凄い所はとにかくハンドリングがタイトであることであり、低い姿勢からボールが手にくっついたかのようにドリブルを続けてられる。彼のハイライトには何個も転びそうになりながらボールをキープしているシーンが見られる。このドリブルの技術と勝負強さ、チームをセットアップできる実力によって80年代でマジック・ジョンソンに次ぐポイントガードとして君臨したレジェンドに敬意を払い2位とさせて頂いた。

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No.1 カイリー・アービング

ポールやアイザイアの確実なハンドル、アイバーソンやハーダウェイのクロスオーバー、クロフォードやウィリアムズの派手さが全て組み合わさったのがカイリー・アービングであり、彼のレベルは歴代での中でも頭1つ抜けていると思っている。(リーグ入団当初はよくカリーと一緒にベストハンドラーの一人と言われていたが、カリーとカイリーでは雲泥の差がある) 彼のハンドリングと、空中でのものすごい角度からのレイアップの正確さは群を抜いており、バスケをやる為に生まれてきたボディーコーディネーションだなとつくづく感じる。これまで挙げてきたような左右のクロスオーバー、ビハインドバック、レッグスルーだけでなく、スピン、インアウトドリブルなど技術の多彩さがとにかく光る。

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それだけでなく、ボールが手にくっついているかのごとくどんな方向にも切り返しができ、どのボールの高さでも自由自在にドリブルをし、どんなに体勢が崩れてもボールを失わないコントロール力には脱帽である。長いNBAの中でもここまで見ていて美しく感動するボールハンドラーは他にはおらず、ハイライトを見たらただただ見とれてしまうので最後の動画を是非見て頂きたい。

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