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サンズ対バックス:NBAファイナルプレビュー!

どうも。2020-2021年シーズンがとうとう残り僅かとなり、NBAファイナルの進出チームも決まった!プレイオフでは過去に例がないほどケガ人が続出し、今年のプレイオフアスタリスク (注釈) がつくと主張するアナリストも見られる。確かに今年の怪我人の数は異常で、カンファレンスファイナルでもクリス・ポールのコロナ感染 (ワクチンを打っていたのに!) から、クワイの膝の怪我、イーストではイヤニスとヤングが同時に不在となるなど、カジュアルNBAファンとしては興味がわきづらいかもしれない。

 

然し、過去のプレイオフも振り返っても、キープレーヤーにケガがなかったことはほとんどない。例えば、昨年のファイナルでも、ヒートからバム・アデバヨや ゴーラン・ドラギッチがケガで欠場し、一昨年のファイナルにおいても、ケビン・デゥラントとクレイ・トンプソンが欠場しなかったらラプターズのchampionshipはなかったかもしれない。確かにその時には、スターの怪我について言及する人はいたが、数年もたてば誰も別に覚えていないのである。皆がPrisoner of the momentになっているだけだと考えると、後2年もすれば今年の優勝チームがラッキーだったという議論はなくなるだろう。

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今年のプレイオフに話を戻すと、サンズとバックスのマッチアップということで、予想外という識者もいるが、 お互いレギュラーシーズンから安定した実績を残していたので妥当な結果と個人的には思ってる。サンズはチャールズ・バークレーがMVPを獲得した93年以来のファイナル、バックスはカリーム・アブドゥルジャバーが大エースだった74年以来のファイナル進出ということで、どちらのチームにとっても超久しぶりの舞台であり、バックスは30年ぶりの優勝、サンズにいたっては過去に優勝経験がないということで両チームにとって非常に大きなチャンスなわけである。

 

サンズはファーストラウンドでアンソニーデイビスがシリーズ途中から怪我、セカンドラウンドではナゲッツのジャマール・マレーが不在、カンファレンスファイナルでは、クワイが不在ということで、3連続で相手チームの怪我の恩権を受けたことは確かだが、各シリーズでチームの総合力の高さとオフェンスとディフェンスのバランスを見せつけた。サンズの突出すべきところは、弱点がほぼないというとこであり、Point Godことクリス・ポール、エースのデビン・ブッカー、プレイオフで急成長したセンター権アンカーのディアンドレ・エイトン、ウィングのミケル・ブリジッズ、ジェイ・クラウダ―、安定したベンチとスキがないロスターが揃っている。

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一方のバックスは、ファーストラウンドのヒートは問題なくスイープしたが、セカンドラウンドのネッツ以降は、アップダウンがとっても激しかった。カイリーとハーデンがシリーズ途中でケガし、ほぼデゥラントのワンマンショーのネッツに大苦戦し、第7戦にぎりぎり勝利したと思ったら、ホークス相手にも試合毎に予想がつかないパフォーマンスで安定感が欠けていた。それでもトレイ・ヤングが第4戦以降欠場したことも追い風となり、バックスファンをひやひやさせながらもなんとか勝ち抜いた。特にカンファレンス・ファイナル第4戦でイヤニスが膝をケガした中、第5、6戦にイヤニス抜きでミドルトン、ホリデー、ポータス、ロペスなどチームメイトがステップアップしたことは賞賛に値すると思う。(特にホリデーとロペスのディフェンスは素晴らしかった)

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ということで、どちらが優勝してもエキサイティングな結果となる今回のNBAファイナルの展望を予想していみたい。

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1. イヤニスの怪我の状況

言うまでもなく、今回のファイナルで一番大きな争点が、バックスのスーパースターのイヤニスの怪我の状況である。現状ではday to day basisとのことではあるが、ホークスとの第6戦前のレポートでは、もし第7戦があった場合に出場できる可能性が高いということだったので、ファイナルの第1戦に間に合うかもしれない。

 

然し戻ってきたとしても、100%の状態になるのか、80%、70%の状態なのかによってもチームの攻め方が全然変わってくる。トレイ・ヤングも足首のケガをおして第6戦に出場したが、本来の姿からは程遠かった。もし同じぐらいのレベルでしかイヤニスが戻ってこれないなら、むしろ彼をベンチに置いたままの方が、バックスのオフェンスは機能しやすいだろう。特にイヤニスのプレイスタイルは、シュート力ではなく、身長に見合わない圧倒的なスピードとパワーをベースにしているため、全速力や体に体重を思いっきり乗せられる状態でない場合、彼の威力は半減してしまう。

 

対ホークスの第5、6戦で見たようにバックスのオフェンスはイヤニスがいるかいないかで大きく変わってくる。ビッグマンのブルック・ロペスが3ポイントシューターからよりペイントに近づいてプレーするようになり、ホリデーもよりバスケットにアタックしていた。(イヤニスがいる場合、彼がリムに突進できるようにスペースを空けなければいけない為) これがホークス相手にはうまく機能していたのは確かなのだが、ホークスよりもディフェンスが3段階上で、ビッグマン、ウィングともに優れたディフェンダーが揃ったサンズ相手に、常に30点15リバウント、ディフェンスの支配力を持つイヤニス抜きではどうしても限界がある。イヤニスが少なくとも第3戦から復活できるならバックスのチャンスはあるが、もし丸々出場できない、ファイナル後半からしか復帰できないとなると、バックスの勝機はかなり低いと考える。

 

2. レギュラーシーズンのマッチアップ

ここからはイヤニスが最初から出場できると仮定して、レギュラシーズンを見ていこう。実はこの2チームの対決は超接戦で、レギュラーシーズン2試合とも1点差でサンズが勝利しているのである。と考えるとこの2チームの実力はほぼ互角だったと言えるだろう。(2試合目の最後のレフリーの判定に疑問が残るが。。。)

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サンズ側から見ると、両試合ともクリス・ポールが大活躍しており、スコアリング、アシストの面からゲームをコントロールしていた。また突出すべきはディアンドレ・エイトンがまだまだ成長段階だったレギュラーシーズンで、17点、20点と着実な成績を残している。一方バックスからはイヤニスが大活躍しており、特に初戦で47得点とペイントを支配している。ミドルトンとホリデーはそこそこの数字を残したが、ロペスは抑え込まれていた。ここから言えることは、バックスにとっては、ホリデーとポールのマッチアップ、エイトンとロペスのマッチアップで互角に持ち込めるぐらいにする必要があり、サンズにとってはイヤニスを抑え込み、ミドルトンのhot streakを防ぐディフェンスが大事となってきそうである。

 

3. 両チームの実力

具体的なマッチアップを見ていくと、まず両チームともディフェンスが優れている。サンズはガードとウィングのバランス、ボールプレッシャーを得意としており、エイトンのペイントディフェンスも向上している。バックスはペイントの支配力が群を抜いており、ロペスとイヤニスのリムプロテクションは一流であるかつ、どのポジション相手にもロックダウンできるホリデーとタッカーの個人レベルの1 on 1ディフェンスも素晴らしい。その為、どちらのチームともオフェンスをしっかりと組み立てて相手を崩せるかが大きなカギとなると思われる。

 

その上でオフェンスを考えると、サンズはポールとブッカーがボールを支配し、ゲームのペースをコントロールすることが多いが、ボールムーブメントにも優れており、ロールプレイヤーは3ポイントだけでなく、バスケ下にカットするなどオフェンスの動きが多い。対して、バックスはイヤニスがオープンコートでプレッシャーをかけ、ハーフコートでは比較的1 on 1が多く、ロールプレイヤーが3ポイントを狙いにいく。その為スリーが入ってるときはアンストッパブルだが、スルーが外れると一気にオフェンスのリズムが崩れがちなので、安定感という意味ではサンズに軍配が上がる

 

ただバックスがサンズオフェンスを苦しめることは確実にでき、現在ガードディフェンダーNo.1のホリデーとデゥラント相手に善戦したPJタッカーがブッカーとマッチアップするなるとお互いスコアするのに苦労はするだろう。後はバックスのディフェンスがスイッチをするかしないかも大きなポイントとなる。ポールはピックアンド・ロールからセンターとのマッチアップを見つけて、ミッドレンジジャンパーを決めるマスターであり、バックスがスイッチをしたのを見て。ポールがブルック・ロペスを狙いまくるのか、それともバックスがスイッチをせずにエイトンを自由にさせるのかといった、ディフェンスストラテジーは見物である。(ちなみにバックスは元々はスイッチをしない一択のチームだったが、最近変わってきている)

 

サンズもブリジッズ、クラウダ―といった優れたウィングディフェンダーがミドルトンを苦しめることができるだろうが、エイトン含めたチームディフェンスでどこまでイヤニスの支配力を抑え込むかがが最も大事なポイントとなるだろう。

 

4. ファイナル勝者予想

色々と書いてきたが、私的な意見としては、ホームコートアドバンテージがあり、より試合毎の安定感があり、現状ケガの心配もなく、チームの総合力が高いサンズの優勝の可能性が高いと思っている。バックスが勝つには、まずイヤニスが100%の状態となること、そして安定感ゼロのミドルトンがファイナルの期間だけでも爆発すること、ロペスがオフェンス・ディフェンスの両方で存在感を見せること、ホリデーがポールを少しでもコントロールできることが多くの条件が必要となってくる。もちろんサンズも、ポールがケガをしない、ブッカーがコンスタントに得点すること、エイトンがロペス、イヤニス相手にペイントで圧倒されないことはマストとなる。

 

個人的にはずっとバックスを応援してきたので、彼らに勝ってほしい気もあるし、現状のチームの実力を考えるとサンズの優勢と言わざる負えない。

予想:サンズが4勝2敗で勝利

 

5. 2021年ファイナルの意義

前述の通り、このプレイオフはケガ人が続出したことでレイカーズやネッツといったビッグネームが出ないことに不満を言う人もいる。然し私は今回のファイナルはどちらが勝ってもNBAにとって非常に意義があるかつ、素直に称えたくなる。なぜなら両チームがビッグマーケットではないだけでなく、久しぶりに新しいチーム、新しい選手が優勝する機会を得られたのである。ここ10年は常にレブロンやデゥラント、カリーといった見慣れた顔ぶればかりだったのだが、今年はどちらのチームも優勝経験者が一人もいないのである。まさに新しい風と言っていいだろう。

 

更に、サンズが勝てば、希代のポイントガードであるクリス・ポールが移籍を繰り返しながら、16年目で初のチャンピオンになり、オールタイムベストプレイヤーのランキングで一気にTop30程度にのし上がるかもしれない。そして入団時から低迷し続けたサンズで孤軍奮闘したブッカーの苦労が初のプレイオフでいきなり報われることになるのである。

 

一方バックスが勝てば、イヤニスのアメリカンドリームが完結するのである。移民としてギリシャで貧しい暮らしをしていた痩せっぽちの彼が、NBAの舞台でスーパースターになり、今年のシーズン前にもっと強力なチームやビッグマーケットに移籍希望も出せた中、バックスと長期延長契約を結んで残留し、ここで優勝するということになれば、これ以上のストーリーはない。

 

最近はレブロンやデゥラントなどのベストプレーヤが移籍をしてスーパーチームを作って優勝をすることが多かったが、やはり生え抜きのスターがスモールマーケットで敗退を経験しながら数年かけて優勝する方が感慨深いものがある、ダラスで頑張り続けたダーク・ノウィツキ―が2011年に優勝した価値は他のスーパーチームの優勝よりも全然上だと思うし、各NBAチームに希望をもたらすことができる。ということで、どちらかが勝ったとしても素晴らしい結果になるこのマッチアップ、面白いシリーズとなることを祈りたい。