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ファーストラウンド総括とカンファレンスセミファイナルプレビュー

どうも。今年のNBAレイオフもファーストラウンドが終了し、とうとうカンファレンスセミファイナルに突入する。ファーストラウンドは最終的に両カンファレンスともアップセットはなく、シードが高いチームがそのまま勝ち進んだが、中身自体はかなり面白い内容だったのではないか。そこでまずはファーストラウンドで負けたチームをそれぞれ簡単にまとめたうえで、セカンドラウンドのマッチアップを予想してみたい。

ちなみに個人的なファーストラウンド予想では、勝者は8チーム全部正解、勝敗の数は4つ正解であった。(セルティックス対ネッツ、サンズ対ペリカンズはそれぞれ大きく予想外したが、、、)

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<ネッツ>

今回のプレイオフで最も失望度が高かったのがネッツではないだろうか。セルティックスとかなり面白いマッチアップになると予想されたが、蓋を開けてみたら4試合とも接戦ではあったが、ファーストラウンド唯一のスイープとなり、ネッツの今後が心配される結果となった。カイリーはFAになるがワクチンの件もあり全く信用できないし、シモンズは結局今年1試合もプレーしてないうえに常にドタバタ劇を繰り広げ、KDも34歳になるということで、色々と悩みの種が多いオフシーズンとなるだろう。(プレイオフ中のシモンズのファッションはネタになっていた)

 

加えてロールプレイヤーも力不足、ディフェンスも壊滅的ということで、かなりのテコ入れが必要になるだろう。来シーズンにカイリーとシモンズがそれぞれ別のチームに移籍したとしても驚きはしない。

 

<ラプターズ>

シクサーズに3連敗した後は、どうなるかと思ったがそこから不屈の精神で2連勝し、あわよくばNBA初の3連敗からの4連勝かと期待されたが、第6戦ではシューターと頼りになるスコアラーが少ないことも影響し、ショットが全然入らずに完敗を喫した。コーチングのレベルの高さとディフェンス力でイーストの中間地位にいるが、今後の飛躍のためには、シアカム、バンブリート以上のスコアラーを獲得するか、同等レベルのBig3を形成する必要があると思う。(スコッティ―・バーンズもとても楽しみなルーキーだが、彼はオールラウンドに活躍できる存在で、スコアラーではなさそう)

 

<ブルズ>

バックスのミドルトンが第3戦目から欠場したにもかかわらず、全くそれを活かせず3戦連続大敗を喫したブルズは試練のオフシーズンとなるだろう。今年大活躍したデローザンは今がピークでこれ以上のレベルは望めないだろうし、毎度のごとくプレイオフで彼のスタイルが封じられやすいことが改めて証明された。No.2のザック・ラビーンはFAとなるがブルズにコミットをしておらず、もし彼がチームを離れる決断したらまたイーストのプレイオフ下位争いに逆戻りする可能性もあり、補強が必須となりそうである。

 

<ホークス>

昨年カンファレンスファイナルに進出した実績を持って臨んた今シーズンはかなりのステップバックだった。なんとかプレイオフには出てたものの、ヒートのデイフェンスにヤングは完全に封じられ、ディアンドレ・ハンター以外台頭する選手も出てこずに、悔しいシーズンとなった。第5戦は、同点するチャンスがあったにも関わらず、超最悪なプレイでラストショットすらできなかったのは、ホークスの今年を象徴するような光景だった。既にHCのネイト・マクミランとヤングの不仲説も出ていたりとチームの立て直しが必要になりそうである。

 

<ジャズ>

エストで今後の行方が最も注目されるチームの1つがジャズであろう。ここ5年ほど、ミッチエル、ゴルベアのペアで常に強豪の1つとなっていたが、毎年プレイオフで敗北を喫し、今年はドンチッチが最初の3試合不在だったのに、それをtake advanageできなかった。ミッチェルのディフェンスはお粗末だし、反対にゴルベアのオフェンスもお粗末であり、2人の不仲説がずっとささやかれており、どちらかがチームを離れることはオフシーズン確実であろう。HCのクイン・シュナイダーが離れるとも言われているし、ミッチェルのニューヨーク行きも噂されており、ジャズは変革期を迎えるだろう。

 

<ナゲッツ>

おそらく2年連続MVPになるであろう、ヨキッチが孤軍奮闘したが、マレーとポーターJrの不在はあまりに痛すぎた。戦力の面ではプレイオフ進出チームの中で最低であったナゲッツはとにかくヨキッチを支えるロスターの形成が急務である。マレーは来年戻ってくるとしても、ポーターJrは高校時代からケガが常にレッドフラグとしてあり、長期に渡って活躍できるかは怪しい。となると、頼りにできるウィングの選手がもう一人必要となり、ヨキッチの全盛期を無駄にしない補強が求められる。

 

<ティンバーウルブズ>

エストのファーストラウンドで最も面白い戦いを見せてくれたウルブズであったが、6戦中3戦は自滅感が半端なく、最後の3敗は第3Qまでリードしながら逆転されるなど若さが目立ったシリーズとなった。2年目のアンソニー・エドワーズは凡ミスもたくさんあったが、初のプレイオフで全く物怖じせず得点を重ね、今後への期待がかなり高まった。一方タウンズのスキルは目を見張るものがあるが、ファールトラブルやバスケIQの低さは今後改善されるともあまり思えず、彼をどうしていくかはチームとして判断が迫られるだろう。いずれにしても万年弱小から中堅以上になれる希望が見えたの今年は収穫あるシーズンであったと言えるだろう。

 

<ペリカンズ>

ウルブズ以上に今後への期待が垣間見えたのがペリカンズである。シーズン開始前からずっとザイオンの健康状態と移籍報道が報じられ、落ち着かないシーズンではあったが、プレイオフではサンズ相手に善戦しまくり、毎試合見ごたえのある試合を見せてくれた。イングラムはプレイオフでも活躍できることを証明し、ルーキーのハーブ・ジョーンズは今後10年リーグ屈指のディフェンダーとなることを世の中に見せつけ、アルバラード、マーフィーなどその他のルーキー達も大貢献し、ベテランのマコラムがチームをまとめるというよい構図ができている。もしこれにザイオンが復帰するとなれば、かなりダイナミックなチームになり、上手く行けば来年更に高いシードでプレイオフを寝られるのではないか。ちなみにコーチのウィリー・グリーンが敗退後にコート上で涙流したのを見て、私も泣かずにはいれなかった。

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各チームのブレイクダウンが長くなってしまったが、簡単にここからセカンドラウンドを見て行こう。

 

<イースタンカンファレンス>

ホークス相手に徹底したディフェンス力で難なくセミファイナルに進出したヒートだが、ケガが心配な要素にはなる。特にエースのバトラーの膝の状態は何とも言えない状況だし、ラウリーもケガでホークス戦最後の2試合欠場しているので100%の状態で戻ってはこれないだろう。となるとアデバイオとタイラー・ヒロ、脇を固めるシューター達がどこまでオフェンスの起爆剤となれるかが重要であろう。また、元スターのオラディポも復活の片鱗を見せてくれたりしており、Xファクター的な存在となるかもしれない。ディフェンスについては個人ディフェンス、チームディフェンスともに強靭で心配は少ない。

 

一方、シクサーズラプターズとの第6戦は素晴らしい試合を展開し、このまま勢いに乗るかと思われたところで悲報が流れた。大エースのエンビードが顔の怪我と脳震盪で少なくとも数試合の欠場が確定したのである。復帰できたとしてもフェイスマスクをつけてのプレーとなり、本調子には戻れないだろう。オフェンス、ディフェンスともに絶対的な要となる存在なだけに彼の離脱は本当に痛い。

そうするとハーデンがオフェンスのキーとなる。最近の彼は4試合に1試合ぐらい爆発できるが、毎試合コンスタントの活躍が厳しくなってきており、持ち前のクイックネスが衰えているのは明らかである。エンビードに変わるセンターはポール・リードとなり、かなりレベルは下がってしまうし、2年目のマクシーも好不調の波が激しい為、7戦中4戦もぎ取るのは厳しいだろう。(エンビードがいればシクサーズが勝ち抜くことも予想できたが、、、)

予想:ヒートの4勝2敗

 

カンファレンスファイナルで最も注目されているのがセルティックス対バックスであろう。セルティックス対ネッツもファーストラウンド一番の注目カードだったはずだが、セルティックスのリーグ最高級のディフェンスでネッツを圧倒した。更にテイタムはス―パスターへと成長しており、デゥラントを超えるプレーをオフェンス、ディフェンスの面でも披露した。その他スマート、ブラウン、ホーフォード、ウィリアムズとディフェンスの穴は全くない。スタッツが過去最高レベルとなっていることもあり、下馬評ではセルティックス優位とみる識者が多い。

 

バックスはNo.2のミドルトンがブルズとの第2戦でケガをし、先行きが心配されたが、イヤニスをスモールフォワードに起用して、ロペス、ポータスと強固なフロント構成にし、ホリデー、マシューズのディフェンスでブルズを3戦連続封じ込めることに成功した。また、ベンチからグレイソン・アレンやパット・コナトンもステップアップして、ミドルトンの穴を上手く埋めている。バックスの第4Qのクローザーであり、タフショットも決められる彼がいないのは痛いが、少し不安定なシーズンを過ごしていた彼が抜けたことで、逆にディフェンス力と統率力が高まった印象もある。

 

セルティックスのディフェンスは本物であり、デゥラントをあそこまで苦しめられるチームはそうそうない。但しイヤニスは今が全盛期の選手であり、フィジカルの面ではセルティックスのディフェンスを持ってしても叶わない。現実的に考えれば総合力の高いセルティックスが有利なはずだが、現在世界最高の選手のイヤニスなら何とかしてくれる気がする気持ちも強く、バックスが接戦を勝ち抜くと予想。

予想:バックスの4勝3敗

 

<ウエスタンカンファレンス>

ブッカーの怪我もあり、第8シードのペリカンズに冷や汗をかいたサンズだが、レギュラーシーズンで他を圧倒した力は本物で、37歳になるクリス・ポールは衰え知らずのフロアジェネラルとして君臨しており、とにかくチームの安定感がある。ブッカーのハムストリングも少しずつよくなっていくだろうし、その他エイトン、ブリジッズはプレイオフでの成長を見られ、チームの総合力では一歩上を行く。

 

ダラスも、ドンチッチの怪我で危ぶまれたが、ジェイロン・ブロンソン、スペンサー・ディンウィディーの爆発、今シーズンから導入された強固なディフェンスによってジャズを粉砕した。ルーカがいない時の方が逆にオフェンスが上手く回っていた気もするが、プレイオフのディフェンスに打ち勝つにはスーパースターが不可欠であり、彼が本調子なら昨年、一昨年のクリッパーズ相手のようにディフェンスをきりきり舞いさせることもできるだろう。

 

とはいえ、サンズのブリジッズ、クラウダ―のディフェンス力はドンチッチを苦しめるだろうし、一人にオフェンスが集中しすぎるチームはプレイオフで失敗しがちでもあるので (ハーデン時代のロケッツのように)、サンズが最終的に勝ち進むと思われる。

予想:サンズの4勝2敗

 

エストの注目カードはこちらの対戦であろう。ウルブズ相手にまだまだ経験不足感が否めかったが、勢いに乗ったら止めれられないのがグリズリーズである。エースのモラントは若干不調だったが、2年目のデズモンド・ベインのシュート力、3年目のブランドン・クラークのリバウンド力も重なり、なんとか勝ち抜いた。

 

ウォーリアーズは反対にナゲッツを圧倒し、カリーだけでなくジョーダン・プールが開花したり、トンプソンもそこそこの活躍したり、ドレイモンドはリーグトップクラスのディフェンスとゲームメイクを繰り広げ、調子の良さが伺える。相手が戦力不足のナゲッツだったことはあるが、オフェンスの爆発力とディフェンスのコミュニケーションの高さは全盛期のウォーリアーズを彷彿とさせる。チームのカギを握るのは急成長中のプールであり、彼が平均以上の活躍をしたらこのチームは止められない。

 

グリズリーズは昨年のプレイイン時のように、ウォーリアーズと相性がよく、モラントは比較的自由にプレイできるだろうし、カリーをマークできるディフェンダーもおり、お家芸のスモールボールに対抗できる布陣も揃っている。但し、ファーストラウンドで見せた若さゆえのミスの多さはベテラン揃いのウォーリアズ相手には致命的となるだろうと考え、毎試合面白い試合になりつつ、ウォーリアーズが次に駒を進めるだろう。

予想:ウォーリアーズの4勝2敗