NBAオールスター選出の問題とリザーブ候補を考える
どうも。いきなりだが、NBAオールスターが迫ってきたので、今回はここ最近ずっと問題になっているオールスター選出方法と今年オールスターに選ばれるべきプレイヤーを考えてみたいと思う。現地時間の1/28にオールスターのスターターが発表され、10人中9人は納得のいくものだったが、NBAコミュニティを大いに騒がせたのはアンドリュー・ウィギンズの選出である。
<なんでウィギンズ???>
NBAメディアやある程度ちゃんと試合を見ているファンならウィギンズがスターターであることはおかしいと普通に思うだろう。現在リーグ2位のウォーリアーズでそれなりに安定した活躍をしており、平均18得点を記録し、相手のベストプレイヤーにマッチアップできるディフェンス力も持っている為、オールスター候補の1人として考えることはできるかもしれないが、スターターにふさわしいかと言われた絶対違う。同じウォーリアーズならドレイモンド・グリーンの方がチームへのインパクトは大きく、他チームのフロントコートで言えば、ジャズのルディ―・ゴルベア、ティンバー・ウルブズのカール=アンソニー・タウンズの方がふさわしいと誰もが考えるだろう。
これだからファン投票を廃止すべきと言われてしまうわけで、熱心にバスケを見ている人達をおちょくっているみたいである。特にファン投票がツイッターで可能になってからは、ひたすらリツイートして投票数を稼ぐ事が出来てしまう為、日本のAKBファンが自分の推しメンバーの投票数を増やすのにCDを大量買い占めするのと同じ現象が起きてしまっている。
実際にウィギンズが選出された大きな理由の1つは、ウォーリアーズがK-PopスターのBamBamをグロバールアンバサダーとして、彼が960万いる自分のフォロワーにウィギンズに投票にするように呼び掛けたからだと言われている!これが事実なら、現在人類で最も団結力と忠誠心が強いであろうK-Popファンがバックアップをしてしまったことで、ウィギンズがスターターになったといっても過言ではない。。。
It’s the best time to begin 2022! He is one of the best two-way players!
— BamBam🦢 (@BamBam1A) January 8, 2022
Wiggs deserves to be an All-Star, vote Andrew Wiggins into the 2022 NBA All-Star Game..and I can’t wait to meet you all very soon#AndrewWiggins #NBAAllStar pic.twitter.com/bpOXKAJ920
<ファン投票と選手投票の適当さ>
ファン投票が信頼ならないのは今に始まったことではない。もちろんNBAはファンがあってのエンターテイメントであり、各選手は人々を楽しませるのが仕事である。ただ、以前もロールプレイヤーのザザ・パチュリアがファン投票で上位になったりと面白半分の投票もよく見られ、本当に実力のあるプレイヤーが選ばれづらいという問題が起きていた。そういったこともあって、2017年以降はより客観的な意見を重視して、ファンの意向を50%、メディア投票を25%、選手投票を25%で合算するようになる。
ここで更に問題になるのが、プレイヤーによる投票である。実際にコート上で対戦している選手達はよりリアルな視点で優れた選手を判断できるという希望もあって選手投票も加わったわけだが、蓋を開けてみたら選手はファン以上にテキトーなのである。今年1試合も出場していないベン・シモンズが2投票獲得したり、昨年や一昨年はタコ・フォールが投票ゲットしており、完全に遊んでいるとしか思えない人達がいる。それ以上に、選手達は基本的に自分のチームを贔屓しがちな為、同じチームの人だけ投票するとかいった事もある。なので、結局選手に任せると全然公平なプロセスにならない。
<ポジション制度の限界>
もう一つ現行のオールスターで課題となるのはポジション別の選出の限界である。これはオールNBAチームにも当てはまることだが、ゲームが進化しどんどんと固定されたポジションに当てはまらない選手が出てきた中で、フォワードとセンター、ガードの境界線はかなり曖昧である。例えば、レブロンはリーグに入った当初からスモールフォーワードであるが、実質ボールを常に保持するポイントガードであったし、今となってはレイカーズでスモールボール5としてセンターの役割も担う。また、今回ガードとしてオールスターに選出されたデローザンだが、ブルズはロンゾ・ボールとアレックス・クルーソがいるので、彼は今シーズンほぼフォワードとしてしかプレイしてないにも関わらず、オールスターではガードとして登録されている。つまりポジションなんて意味ないのである。
以前はセンター1人、フォーワード2人、ガード2人となっていたのがセンターの弱体化で2013年からフロンコート3人となったことで少しは改善されたが、更にゲームが進化した今、そろそろポジションの枠を超えて各カンファレンスのベスト5を選ぶべきなのではないかと思う。現代NBAはガードの層がものすごいので、ポジションレスの選出ならウィギンズがスターターになることはなかっただろう。
実際ウエストのガードを見てみても、カリーとモラントに加えて、サンズのポールとブッカー、ジャズのミッチェルなどよりふさわしい候補がいるし、リーグトップの勝率を誇るサンズを支えるポールが選ばれるべきだったというのがが個人的な意見である。
個人の実績を他の選手と照らし合わせる上でオールスター選出回数は必ず検討される点であり、リーグは制度を整え、ファンも選手も真剣に候補者を検討してもらいたいのである。
<今年のオールスター選出候補>
既に前のセクションでティザーしてしまったが、最後に今回オールスターに選ばれるべきだと思う選手を改めて考えてみたい。まずはイーストから。
・イースタンカンファレンス・
スターターは下記の通り。トレイ・ヤングは、昨年カンファレンス・ファイナルまで進出し期待されたホークスが苦しんでいる為本当にふさわしいかとも考えたが、彼の個人成績は通常スタッツ、アドバンス・スタッツともにリーグトップクラスであり、大きな異論はない。
<スターター>
・ケビン・デゥラント (ネッツ:ケガで欠場予定)
・イヤニス・アテテクンポ(バックス)
・デマー・デローザン(ブルズ)
・トレイ・ヤング(ホークス)
リザーブについては下記の選手でどうだろうか。デゥラント欠場予定も考えて合計8人選んでみた。
<リザーブ>
・ザック・ラビーン(ブルズ)
・ジェームズ・ハーデン(ネッツ)
・フレッド・バンブリート(ラプターズ)
・ダリアス・ガーランド(キャバリアーズ)
・ジミー・バトラー(ヒート)
・ジャレッド・アレン(キャバリアーズ)
・ジェイソン・テイタム(セルティックス)
・ドリュー・ホリデー(バックス)
ラビーン、ハーデンに異論は少ないだろう。それぞれリーグトップクラスのチームを支えるNo.2であり、スタッツも文句はない。衰えが見られるハーデンだが、オフェンスの面ではまだまだやれる。バトラーもリーグトップクラスのヒートのNo.1プレイヤーとして申し分ない成績である。欠場も多いがそれを上回る貢献度である。プレイオフ圏内で頑張っているラプターズのエースとなったバンブリートもオフェンス、ディフェンスの両面で手薄なチームを支えている。彼がドラフト圏外だったことを考えるととんでもない躍進である。
今年の一番のサプライズチームのキャブスからそれぞれ初選出になるガーランドとアレンを選んでみた。ルーキーのエバン・モーブリーのチームへのインパクトもすごいのだが、スタッツも考慮して最近アシスト繰り出しまくりのガーランドとディフェンスと圧倒的なFG%を誇るアレンを重視した。
最後の2スポットはホリデー、テイタム、チームメイトのジェイレン・ブラウンで検討したが、イースト10位ギリギリのセルティックスから2人選出はおかしいという基準から、チームのエースとしての重責があるテイタムに絞った。(ブラウンも個人成績はテイタムと相違がないのだが、、、) バックスからは、今年ちょっと微妙なクリス・ミドルトンよりオフェンス好調なホリデーの方が貢献度高いと判断。
・ウエスタンカンファレンス・
ウエストのスターターについては下記の通り。今年スーパースターに名乗りを上げたモラントについては先日ブログでまとめたのでご覧頂きたい。
<スターター>
・レブロン・ジェームズ (レイカーズ)
・二コラ・ヨキッチ(ナゲッツ)
・アンドリュー・ウィギンズ(ウォーリアーズ)
・ステファン・カリー(ウォーリアーズ)
・ジャ・モラント(グリズリーズ)
リザーブでドレイモンド・グリーンを選んでいるが、彼もケガで欠場になりそうなので、ウエストも8人選んでみる。
<リザーブ>
・クリス・ポール(サンズ)
・デビン・ブッカー(サンズ)
・ドノバン・ミッチェル(ジャズ)
・ルーカ・ドンチッチ(マーベリックス)
・ルディ・ゴルベア(ジャズ)
・カール=アンソニー・タウンズ(ティンバーウルブズ)
・ドレイモンド・グリーン(ウォーリアーズ)
・デジャンテ・マレー(スパーズ)
ポールとブッカーは文句なしの選出であろうし、前述の通りミッチェル、ゴルベアも安定したジャズのそれぞれオフェンスとディフェンスのエースとして選ばれて然るべきである。シーズン前半コンディションの悪さと成績の不調で批判を浴びたドンチッチも一気に調子を上げてきて、チームも最近好調なので順当であろう。ビッグマンとしてのオフェンスレパートリーは歴代屈指のタウンズも手薄なウエストのフロントコート陣では妥当であろう。
グリーンはオフェンスの成績は全く目を見張るものはないが、チームの実質ポイントガードとしての役割を担っており、モーションとカットからなるウォーリアーズのオフェンスの組み立ては彼の頭脳が無ければ成立しないし、チームディフェンスへのインパクトは言うまでもない。彼が欠場した場合のスポットを誰にするかは、マレーかアンソニー・デイビス、サンダーのSGAかで悩んだが、今年の出場試合数、チーム成績を総合的に考慮してマレーを選んだ。スパーズのエースとして若手だらけのスパーズの大黒柱となった彼はオフェンスのレパートリーが増え、今後更なる活躍が期待される。正直実力と個人成績でいったらデイビスの方がふさわしいのかもしれないのだが、やる気があまり感じられないプレイとケガでの欠場数が大きな減点となって選出しなかった。
今はNFLのプレイオフが大盛り上がりしていたり、トム・ブレイディの引退報道などバスケに目がいきづらいアメリカスポーツ界だが、スーパーボールの翌週にオールスターということで本格的なバスケシーズンになっていくのが待ちきれない。