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NBAのコロナアウトブレイクと今後への影響

どうも。NBAもシーズンの3分の1ぐらいが終了してきたが、コロナのアウトブレイクが止まらない。最初はシカゴ・ブルズで始まりはじめ、イヤニスやハーデン、KDなどのスーパースター含めて各チームで多くの選手が隔離を余儀なくされている。これにより、ロスターの半分ぐらいしか出場できないチームが出てきているだけでなく、一部のマッチアップは延期され始めている。既にオミクロンの感染者がNBA関係者に発見されているという事で、感染拡大は必至となっていたが、ここまで感染が進んでいるとなるとシーズンの中断も検討をし始めないけどいけないレベルになってきている。

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今年躍進のブルズはデローザン、ラビーンのスターがコロナで試合も延期になった

<各試合への影響>

NFLなどでもアウトブレイクが起こっているが、バスケは15人しかロスターがいないという所が問題で、スターにとって代われる選手そうそう出てこれないのである。そうすると、NBAの「品質」が問題になってくる。最近の試合を見ていると、割と選手名たくさん知っている方の私ですら聞いたことない名前が両チームで出揃うことが増えている。それにより必然的にプレーのレベルは落ちてしまうし、何よりNBAファンの興味も落ちてしまう。特に現代NBAはスターが物を言うリーグである。知らない選手ばかり出てきて楽しめるのは本当のNBAジャンキーだけであろう。

 

例えば、先日ネッツはラプターズと対してOTでなんとか勝利したが、全く名前を聞いたことがなかった、ケスラー・エドワード、デイビッド・デゥークJr (なんとも言い難い名前だが、、、) がそれぞれ40分前後もプレーするというある意味全体未聞の試合であった。コロナのProtocoolに入る前のKDはこの試合で48分もプレイしており、選手層が薄くなくなることで、スター選手へのレギュラーシーズン中の負担がかなり大きくなっている。ここ最近のトレンドであったLoad Managementとは完全に相反する事態となっているわけである。スター選手への負担が強くなればなるほどケガのリスクも増えるわけで、レギュラーシーズンの終盤の怪我やプレイオフ中の負担が選手達の限界を超えるレベルになることも考えられる。

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隔離を余儀なくされる前に凄まじい活躍をしていたデゥラント

 

<それでも強行されるシーズン>

上記のように、このままの状態でシーズンを続けることはリーグにとってもネガティブな話ばかりに見えるのだが、オーナー陣はシーズンをストップするつもりが全くない。なぜならどんなにプレーの質や有名な選手が出場できなくても、シーズンを続行し続けることでテレビのお金は一定入るし、何より収入の3分の1を占めるチケット代を手放したくないという気持ちが強いのだろう。コロナ直後の2020年のバブルプレイオフは結局リーグにとってかなり財政的にマイナスになったという話ではあるので、その二の舞を避けたい気持ちも分かる。ただ個人的には入れる観客の数を減らす、アリーナ内は必ずマスク着用を義務付けるなどしないと、観客だけでなくスタッフや選手がコロナにかかる可能性を高めってしまい、かなり悪影響であると考えている。観客席見渡してもマスクをしている人はほとんどいないし、それなのに満員で入っているのはどう考えてもリスクでしかない。(ポートランドだと結構みんなマスクしていて好印象だが)ちゃんとマスクをしている日本人と比べるとアメリカ人はやっぱり色々緩い。

 

頑なオーナーとリーグはどうにしかしてシーズンを続けようと、コロナで出場不可となったプレイヤーの数だけ各チームが新しい選手をサインできるようにルールを変更した。これによりGリーグの選手達が10日契約などを結んでいる。彼らにとってはまたとないチャンスではあるかもしれないが、コロナになった選手が完治したらまたGリーグに戻るだけで、チームスタッフは使い捨てとして見ていないだろう。

 

<議論を呼ぶカイリーの復帰>

先述のコロナ続出のネッツに話を戻すと、こんな状況の中、選手が足りないという理由でワクチン未接種のカイリー・アービングロスターに戻すと宣言した。カイリー対ワクチンについてはシーズン開幕前に言及したが、彼は一貫してワクチン接種を拒否し、現在も未接種である。

atsukobe.hatenablog.com

 

ニューヨーク市の法律でワクチン未接種の選手はホーム試合に出場できないという決まりがあり、ワクチン規制が緩いアウェイゲームだけ参加するか、完全にカイリーをシャットダウンするかの2択を迫られたネッツは当初は後者を選択した。(チームケミストリーや戦術の一貫性のためであると思うが)それがここにきてオミクロンだけでなくデルタ株も引き続き感染が続く状況で、選手不足の為にコロナを更に広める可能性がある彼を復活させるという決断には非常に疑問符が残るし、ネッツの倫理観を疑う。コロナが猛威を振るう中でコロナの脅威をリーグに戻すのは、ほんとちぐはぐであり、もっと非難されるべきであろう

 

そんなカイリーはチームに戻るという発表がされて僅か2日でSafety Protocoolで隔離される事態となったのはなんとも皮肉な話である。

 

<読めないシーズン>

コロナの終焉が見えない中、今年のレギュラーシーズンの勝率はコロナとケガの影響を最小限に受けたチームがトップになっていくだろう。今のところサンズやウォーリアーズはコロナの被害は少なめだが、いつ爆発してもおかしくない。イヤニスがコロナになる前好調気味になっていたバックスは、ミドルトンの怪我も重なりまた負けが込んでいるし、ブルズは2試合の延期を余儀なくされた。単純な選手層とチームの総合力以上に、今年は運が物をいうシーズンとなることは必至であり、予想のつかない恐怖が付きまとう何とも落ち着かない展開となるだろう。