NBAトレードデットライン全チーム総評!<イースタンカンファレンス篇>
どうも。現地時間3月25日がNBA2021年シーズンのトレードデットラインだった。毎年デットラインの直前はものすごく多くのトランザクションが行われるが、今年も例外ではなく、事前から多くの噂が流れていた。今回は大きなビッグトレードの数は少ないかとは思われたが、蓋を開けてみたらデットラインの日だけで、合計46トレードと史上最高数となり大いに盛り上がった。(日本時間だと深夜4時が締め切りだったのでさすがに起きてられてなかったが、、、)
Final tally on NBA Trade Deadline Day, per league:
— Adrian Wojnarowski (@wojespn) March 26, 2021
-- 16 Trades
-- 23 teams
-- 46 roster players
Most ever in each category in past 35 years on deadline day.
そこで、今回はトレードを行ったチーム、していないチームを含めて全30チームのデッドライン前後の動きを評価をしてみたいと思う。グレードの付け方は、Aが最高で、A-B-C-D-Fの順番で採点する。まずこの記事ではイーストから紹介する!
1. ボストンセルティックス:評価C
主な獲得:エバン・フォニエ、モー・ワグナー
主な流出:ダニエル・タイス、ジェフ・ティーグ、ジャボンテ・グリーン
セルティクスはデッドライン前からハリソン・バーンズやマジックのアーロン・ゴードンなどフォワードの獲得に名乗りを上げていたが、蓋を開けてみるとチームメイトだったガードのエバン・フォニエをゲットした。ケンバ・ウォーカーがケガから復帰後かなりアップダウンが激しく、現在ジェイソン・テイタムとジェイレン・ブラウン以外オフェンスをクリエイトできる選手がいないことは理解できるが、それ以上に手薄なフロントコートの選手を見つけられず、キープレイヤーだったダニエル・タイスも手放しており、期待を裏切る結果となっているチームの起爆剤となるかは微妙である。
2. ニューヨーク・ニックス:評価C
主な獲得:テレンス・ファーガソン、2021セカンドラウンドピック
主な流出:オースティン・リバース
今年想像以上の躍進を見せているニックスは特に大きな動きはしなかった。若手主体のチームで既に出場機会がなくなっていたリバースの放出は問題ない。但し、現行のチームでは特にガード陣の能力は他チームと比べて見落とりする為、そこを狙ってもよかったのではないかとは思うが、ニックス復活1年目ということもあり、今後に期待である。
3. ブルックリン・ネッツ:評価B
主な獲得:ブレイク・グリフィン、ラマーカス・オルドリッジ (トレードではない)
主な流出:なし
ネッツは既にシーズン序盤にジェームズ・ハーデンをトレードで獲得して超強力なBig3ができている為、デッドラインでトレードは行っていない。一方、デッドライン前にブレイク・グリフィン、更にデッドライン後にラマーカス・オルドリッジをそれぞれバイアウトでゲットしている。既に全盛期を過ぎた元オールスターPF2人であり、ブレイクはプレイメイク、オルドリッジはミッドレンジジャンパーでまだ貢献はできるが、どちらもディフェンスはかなり落ち込んでおり、どこまでチームの優勝へのカギとなるかは未知数である。いずれにせよバイアウトからの獲得はネッツにとっては痛みを生まないトランザクションなので、高評価とした。
4. トロント・ラプターズ:評価C
主な獲得:ゲリー・トレントJr、ロドニー・フッド、
主な流出:ノーマン・パウエル、テレンス・デイビス、マット・トーマス
ラプターズ史上最高の選手カイル・ラウリーのトレードがデッドライン前は最も騒がれており、デッドライン前日の試合ではメディアもラウリーもお別れモードとなっていたなのだが、まさかのラウリーをキープとなった。現地ではラウリーの年間30憶のサラリーにマッチするかつラプターズにとって魅力的なオファーが結局見つからなかったと報じられているが、今年のオフにFAとなり、おそらく移籍も考えられる35歳のラウリーの代わりを見つけられなかったのは今後のチームビルディングにとっては痛い。然し、同じく今年FAとなるパウエルをトレードし、代わりに若手でグッドシューターかつディフェンダーのゲリー・トレントJrをルーキー・サラリーで獲得できたのはよかったと思う。
主な獲得:ジョージ・ヒル
主な流出:トニー・ブラッドリー、2021/2025/2026 セカンドラウンドピック
フィラデルフィア出身のラウリー獲得の最有力候補と言われていたシクサーズだったが、最終的には同じベテランポイントガードのジョージ・ヒルを獲得した。ハーフコートでのゲームコントロール力とシューティング力が必要だったシクサーズにとって、ヒルはラウリーよりレベルは下がるが、安定という言葉がふさわしくディフェンスも平均以上かつ昨年3ポイント%がリーグ1位だった選手をゲットできたのは大きい。ラウリーであれば数人の主力選手を放出しなければいけなかったが、ヒル獲得に動いたことで主力全員をキープできており、いい補強の仕方ができたのではないか。
6. ミルウォーキー・バックス:評価B-
主な獲得:PJ・タッカー、2022ファーストラウンドピック
主な流出:DJ・オーガスティン、トリー・クレイグ、ドラフトピック多数
デッドライン前にはなるが、バックスはディフェンスとタフネス、コーナー3ptが得意なタッカーを獲得した。放出した選手もローテーションには入っていたが誰も重要なファクターとはなっていなかったので、まずまずのトレードと言えるだろう。今年はロケッツでかなりプレーの質が落ちていたタッカーだが新天地に移って少しは昨年までの動きが取り戻せるか見ものである。但し、バックスは引き続きプレイオフでイヤニスが抑えられ時のカウンターが見つけられておらず、現在のこのロスターがネッツやシクサーズをプレイオフで敗れるかはちょっと微妙な気がする。
7. インディアナ・ペイサーズ:評価N/A
主な獲得:なし
主な流出:なし
ペイサーズはネッツと同じく、ハーデンのトレード時の動きが激しかったので、デッドラインでは特に何もなかったが、シーズン中盤から調子を落としているチームのテコ入れはしなかったのには少し驚いた。トレード時に癌が見つかり治療空けのカリス・レヴァートとその他のロスターのマッチ度が今後のカギとなる。
8. クリーブランド・キャバリアーズ:評価C
主な獲得:アイザイア・ハッチンソン、2023/2027セカンドラウンドピック
主な流出:ジャベル・マギー
チームの若返りを図る中、センターが混雑していたキャブスがベテランのマギーをトレードできたのは評価できる。が、同じくセンターのアンドレ・ドラモンドについては、数か月前からトレードを模索していたのにも関わらず、結局トレードパートナーが見つからず、バイアウトしなければいけなくなったのはいただけない。
9. デトロイト・ピストンズ:評価C+
主な獲得:コリー・ジョセフ、2021/2024セカンドラウンドピック
主な流出:ディロン・ライト
リーグ30チームの中でおそらく最も弱小なロスターを抱えるピストンズの手玉は少なかったと想像するが、若手PGライトの代わりに、ベテランPGのジョセフと獲得して、更にドラフトピックをゲットできたのは一定の評価に値する。チームのロスターが貧弱なことには変わりなく、ピストンズ再建まではまだ数年かかりそうではあるが。。。
10. シカゴ・ブルズ:評価A-
主な獲得:二コラ・ブサビッチ、ダニエル・タイス、トロイ・ブラウンJr、アル・ファールク・アミーヌ
主な流出:ウェンデル・カーター、オト・ポーター、2021/2023ファーストラウンドピック
デットラインで最もアクティブだったチームの1つがブルズである。ここ数年は弱小チームとなっていたが、スコアラーのザック・ラビーンがオールスターに成長し、今年はプレイオフが狙えるかもということで大きく動いた様子。マジックからオールスターセンターのブサビッチを獲得したことで、ラビーンとの強力なワン―ツーパンチができた。ブサビッチは3ポイントも打て、ポストアップやミッドレンジもできる万能センターなので、ラビーンにうまく合わせることができるだろう。まだバックアップセンターとしてタイスを獲得できたのも大きい。放出した選手が、ルーキーから成長しきれていなかったカーターや、サラリーだけ高くチームへの貢献度はイマイチだったポーターだったことを考えると、ドラフトピック以外のマイナスはなかったと思うし、いいトレードをしたと評価できる。
11. ワシントン・ウィザーズ:評価C
主な獲得:チャンドラー・ハッチンソン
主な流出:トロイ・ブラウンJr、モー・ワグナー
現在得点王のブラッドリー・ビールのトレード話がシーズン序盤盛り上がったウィザーズだが、ビール自身も今年はウィザーズにステイしたい意向とのことで、チームは弱いながらも大きなトレードは起きなかった。トレードで獲得したハッチンソンはローテーションとはなるが、チームの現状を変えるものではなくオフシーズンのビールの動向に注目にされる。
12. シャーロット・ホーネッツ:評価C+
主な獲得:ブラッド・ワナメーカー
主な流出:なし
イーストのプレイオフ争いで大健闘しているホーネッツは更にチームを強化する為に動きが活発になるかと思われたが、ルーキーセンセーションのラメロ・ボールがシーズン終了のケガをしてしまったことで、今年のチャンスは少ないと思ったからなのか、目立ったことはしなかった。プレイオフに出ることがまず目標となっているチームで、現実的に今動いても優勝を狙えるチームでないことを考えたら賢明な判断かもしれない。
13. アトランタ・ホークス:評価B+
主な獲得:ルー・ウィリアムズ、2023/2027セカンドラウンドピック
主な流出:ライジャン・ロンド
ヘッドコーチを解雇後躍進中のホークスは、ホーネッツと同じく久しぶりのプレイオフ進出を目指している。その上で今回のトレードがゲームチェンジャーとなったわけではないが、オフシーズンに高年俸で契約したが全然貢献していなかったロンドを放出し、ドラフトピックとルー・ウィリアムズを獲得できたのは評価できる。アトランタのレジェンドとして有名なウィリアムズが移籍後活躍しなかったとしても、ガードが揃っているホークスにとっては痛みの少ないトレードとなった。
14. オーランド・マジック:評価B+
主な獲得:ウェンデル・カーター、RJ・ハンプトン、オト・ポーター、ゲリー・ハリス、ジェフ・ティーグ、2021/2023/2025ファーストラウンドピック
主な流出:二コラ・ブサビッチ、アーロン・ゴードン、エヴァン・フォニエ、アル・ファールク・アミーヌ
このデッドラインでフルタンクモードに入ったのがマジックである。チームの中でTop3の選手だったブサビッチ、ゴードン、フォニエを全員放出し、ドラフトピック含めて若手の有望株のカーターやハンプトンを獲得したことで、未来に向けて動き始めた感じである。ドワイト・ハワードが移籍後、毎年プレイオフに出るか出ないかを行きし、ドラフトもうまくいっていなかったマジックがやっと重い腰を上げて、一気にタンクまっしぐらとなり、今年で上位のドラフトを狙うのはいいことだと思う。オールスターのブサビッチも今が全盛期で売値が最も高いわけで、このタイミングでトレードしたのは正解だったはずだ。
15. マイアミ・ヒート:評価A
主な獲得:ヴィクター・オラディポ、トレバ・アリーザ、ネマニャ・ビエリツァ
主な流出:ケリー・オリニック、エイブリー・ブラッドリー、モー・ハークレス、マイアズ・レナード
いつもチーム運営が上手いヒートがまたやってくれたという感じである。前からずっとヒートでのプレイを希望していたと言われる元オールスターのオラディポを痛みを伴わずに獲得し、ディフェンダーのアリーザやシュートが上手いビエリツァの獲得に成功し、確実にチームは強くなった。オリニックについては結構なプレイングタイムがあったがチームの行方を決める選手ではないし、その他放出したプレイヤーはほぼプレーしていなかったので、ヒートにとってはかなり実りのあるデッドラインとなった。オラディポはケガから復帰後かなりアップダウンが激しいが、契約は今シーズンまでであり、うまくいかなかったらそのまま再契約しなければいいのでリスクはかなり低いし、もしオラディポが安定した活躍を見せれば昨年ファイナルに進出したチームの起爆剤となるだろう。
ウエスタンカンファレンスは次回の記事をお楽しみに!