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NBAカムバック計画 (7/31日再開!!!)

どうも。今回は久しぶりに最近のNBAの動向について触れたいと思う。シーズン再開のシナリオとそれにおける弊害をまとめてみる。

 

まず、NBAの試合は今年の7月31日に戻ってくる予定!!(TBDではあるが) NBAファイナルは9月の終わりから10月初めの予定となり、再開から全部で2か月程度で完了するとのこと。

 

場所:フロリダのオーランドにあるディズニーワールド

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これは先月にこのブログで記載した通りだった。ディズニーワールドはNBAの放映権がある世界最大スポーツネットワークESPNのエンターテイメントコンプレックスがある場所だ。ディズニーはアメリカ放送局のABCの親会社であり、更にABCがESPNを所有しているので、ビジネス的にもwin-winなのである。ここに参加全チームが集まってホテルに泊まり、プレイオフ参加中はこの敷地からは出れない予定となっている。そもそもほんとにそんな規律を守れるのかも気になるが、制約・懸念事項は他にもある。

 

1) 試合は全部無観客

コロナの感染を防ぐためなので当たり前ではあるが、やっぱり観客がいないのは若干盛り上がりに欠ける。観客からの歓声やため息によって試合のモメンタムは大きく変わる。(アナリティックスは無視しがちだが試合の流れはスポーツで非常に重要) それがなくなることで選手達の心理状態にどんな影響がでるのかは気になるところである。

 

もう1つ観客の声がなくなることで意外と大事な要素は、選手達の生の声が聞こえてしまうということである。これは日本語だとあまりピンと来ないかもしれないが、英語では汚い言葉とされる"F-Word"や"S-Word"といったCurse Word (ブログ上記載しづらいので詳細は検索して頂きたいが、個人的には好きな言葉ではあったりする 笑) が発される時は"ピー"と対象ワードが消されるようになっている。これが録画だったらいいのだが、生放送では対応するのが難しい。なのでスポーツの生中継等では実際より5~10秒遅れて放映して、その短時間で汚い言葉を掻き消すようにしたりする。ただNBA選手は普段からプレーする時は超大量にCurse Wordを使っている。観客の声や音楽があれば大体が消されるが、それでもたまに聞こえてきて、ちょっと面白いことになったりする。音が何もない中、果たしてどこまで選手達から数秒毎に発せられるCurse Wordを放送バージョンから消去することができるかは、TV放映をする側としてはまさに試練なのである。しょっちゅうCurse Wordを使っていたケビン・ガーネットがまだプレーしていたら、ただ普通にプレーしているだけで出場停止にさせられたかもしれない。。。笑

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とりあえずいつも叫びまくっているだろう

2) ホームコートアドバンテージがなくなる

全部同じ会場で試合を行うことで、トップチームにとって大きな損失はホームコートの観客の声援が得られないことや快適な家から試合に挑むことができなくなることであろう。レギュラーシーズンを頑張って戦う理由として、プレイオフ期間中のホームコートアドバンテージを獲得することであり、それがなくなることで、順位の下のチームのチャンスが広がる可能性はある。(NBAでは特に第一ラウンドで順位が下のチームが上のチームをアップセットする可能性は決めわて低いが) もちろん優勝を目指すようなレベルが高いチームであればコートに関係なく結果を出すと予想されるが、例えばミルウォーキー・バックス v.s. ロサンゼルス・レイカーズのファイナルとなった際、ほぼ2チームは互角である中、レギュラーシーズンで勝率が若干高いバックスにホームコートあるかないかで、どっちが優勝するかに影響することは多少なりとはありえると思われる。<余談だが、80年代のボストン・セルティックスのホームコートでは相手側のロッカールームのシャワーがちゃんと出ないように細工していたとかという話である>

ここ数年ずっと強豪なのに観客の盛り上がりがイマイチなヒューストン・ロケッツはホームコート自体あんまり関係ないかもしれないが。。。いつも空席が目立つのは、毎試合開始1時間ぐらいしないと観客が来ないマイアミ・ヒート並である。

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この試合はプレイオフなのに席が空きまくりである

3) 家族に会えない

これも意外と大きな問題ではある。2か月間同じ場所にずっと他チームの選手やスタッフと一緒に閉じ込められ (もちろんとってもいいホテルのベットで寝れて、美味しいご飯は食べれるわけではあるが)、心の支えとなる家族に会えないことで精神的にダメージが来る選手もいるかもしれない。予定によると、プレイオフのカンファレンスセミファイナルの段階で残り8チームとなった時に、家族も来ることができるようだが、それまでの1か月弱は敷地に入ることができないという話である。子供の時間を過ごしたい、家族のことが心配だから参加はしたくないという選手が出てくる可能性は十分にあり得る。こういう時にシングルの選手が多いチームが優勝したりするのかとか、結婚歴長いLeBronと最近子供出来たGiannisにとっては不利になってしまうかもとか勝手に想像。

 

フォーマット:22チーム参加し、レギュラーシーズン8試合とプレイオフ全部行う

これは発表された時は結構個人的には驚いた。以前予測したときは、プレイオフのみ実施し、しかも短縮型で行うのが一番濃厚と思っていたので、レギュラーシーズンも実施して、レイオフ参加可能の16チーム+現在プレイオフ圏外の6チームも来るのはなかなかの大所帯となる。以前の予測ではこのシナリオが10%の確率と思っていたので大外れである。。。

atsukobe.hatenablog.com

1) レギュラーシーズンを入れる意味

現在レギュラーシーズンは各チーム82試合中65試合前後消化しており、8試合追加することで合計70試合以上となる。以前も記載したが、シーズンを70試合以上することでNBA的にはローカルTV局との契約を100%満たすことができるらしい。損失を最小限に抑えることが今回の決断に大きな影響があったのは確かだろう。損失が大きければその分各チームが、選手に払うサラリーの合計の上限であるサラリーキャップを下げることになり、フリーエージェントになる選手が大きな契約を結ぶことが難しくなり、最悪サラリーカットもあり得る為、必要なお金を確保することはプレイヤーにとっても非常に重要なのである。

 

また、選手のコンディショニングの意味でもレギュラーシーズンをすることが大事と判断されたと推測される。プレイオフの1試合1試合は非常に激しく、かなりの体力を奪う。3月から4か月間もNBAの試合を一回も経験していない選手たちがいきなりプレイオフに突入することでケガのリスクも高まり、最高のパフォーマンスを見せられず、ファンの期待に応えられないということも考えられる。(そうすると視聴率が下がりNBAの懐に影響する) 更に選手がコンディショニングが整いきらずケガをしてしまったら、今後の契約にもマイナスに作用することもありえる。(と、結局お金の話になってしまうが) 各選手をプレイオフモードにするという意味でもこのレギュラーシーズンで慣らしがされていくのだろう。

 

2) 参加チーム

このオーランドのバブル (隔離)に参加するチームは下記の通りである。プレイオフ圏外の6チームはイーストとウエストから3チームずつかと思いきや、勝率ベースで決まった為、弱っちいイーストからは1チームのみ参加となっている!! (過去20年間の東西のレベルの差は本当に激しい。レブロンが8年連続イースト代表でNBAファイナルに出れたのも強いライバルがいなかったからとずっと思っている) 参加チームは以下の通り。

       EAST

         WEST

ミルウォーキー・バックス

LA レイカーズ

トロント・ラプターズ

LA クリッパーズ

ボストン・セルティックス

デンバー・ナゲッツ

マイアミ・ヒート

ユタ・ジャズ

インディアナ・ペイサーズ

オクラホマシティ・サンダー

フィラデルフィア・76サーズ

ヒューストン・ロケッツ

ブルックリン・ネッツ

ダラス・マーベリックス

オーランド・マジック

メンフィス・グリズリーズ

ワシントン・ウィザーズ

ポートランド・トレイルブレイザーズ

 

ニューオリンズペリカン

 

サクラメント・キングス

 

サンアントニオ・スパーズ

 

フェニックス・サンズ

イーストから唯一出場のウィザーズはフェニックス・サンズよりも勝率が悪いという状況だが、八村塁も参加できるので、日本人のにわかファンも少しは興味を持ってくれるかもしれない。順位が拮抗しているウエストのプレイオフ8チームと、イーストの2位~6位は残り8試合で色々動きがあると思われるが、ウィザーズはイースト8位のマジックに5.5ゲーム差をつけられており、抜かせるとは考えづらく、ウエスト9位のブレイザーズが8位のグリズリーズとの3.5ゲーム差を消せるかも微妙かと思う。

 

ちなみに、プレイオフを10月初めまでに終わらせるのもちゃんとした戦略に基づいている。日本にいるとあまり分からないが、アメリカにおけるアメフトのNFLの人気は圧倒的である。NFLのシーズンは予定通り9月過ぎに開始すると言われており、NFLシーズンがヒートアップしてくる11月以降にNBAファイナルが被ると完全にNFLに食われてしまうのである。NFLの普通のレギュラーシーズンの視聴率はNBAファイナルの視聴率より高いという事実がアメリカにおけるアメフトの絶対的な人気を表している。更にちなみにだが、選手団体とオーナー達が相当仲悪い大リーグのMLBでは、話し合いが分裂して全然再開の目途が立っておらず、このままでは2020年シーズンが無くなることもあるとのこと。MLBはレギュラーシーズンだけで162試合ある為、シーズン自体が出来ないのは相当な損失となり、既に若者の間で下がっている野球人気の低下に拍車をかけることにもなるだろう。

 

問題:選手全員がこの内容に同意はしていない

ここまでNBAが100%カムバックを果たすかのように書いていたが、この1週間でまた状況は変わってきている。先週末に80人ぐらいの選手達のカンファレンスコールがあり、カイリー・アービングが中心となって、今は試合をするよりも黒人の権利の為の運動に労力を費やすべきと主張した様子。この意見にレイカーズドワイト・ハワードやエイブリー・ブラッドリーも同調しているとのこと。アービングはケガで元々プレイしない予定だが、ハワードやブラッドリーはNo.1シードのベンチプレイヤーとなるだけに、ここでどういった決断をするかは多少なりともレイカーズの優勝する可能性に影響があるだろう。これからどれだけの選手がアービングに同調していくかは気になるところであり、再開に対する反対意見が強めることも考えれらる。

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とりあえずケガばっかしすぎなアービング

個人的には多くの視聴者がいる中で、何かしらの抗議運動を見せる方が効果的なのではないかと思う。もちろんストリートのデモを日々行っていくやり方や政策を考えるという方法もあるが、色んな人の注目を一気に集める為には、スポーツの試合の中でセレブリティである選手達が協力しあって、意味のあるアクションしていくことでも大義を果たすことができるではないかと思う。

 

また、上記の家族との時間を過ごしたいという選手もいるし、そもそもコロナがアメリカ全土で全然おさまりきっておらず、感染が拡大しないかという意見も出てきている。(東京も本当に大丈夫かと思うが) NBAとしては何かしらの理由で参加しないと決めた選手を罰することもないとのことなので、今回はパスをする選手もいるかもしれない。今のところアービング以外で参加に消極的なスター選手は出てきてはいない。(元?スター選手のカーメロ・アンソニーはコロナが心配と言ってはいるが)

 

ただ、結局のところはリーグのトップの中のトップの選手がフロリダに来るのであればNBAは再開すると考えられる。クリッパーズのパトリック・ビバリーがツイートしたように、最終的にはレブロンがやるぞと言ったら、他選手達もプレーすることになるだろう。

 

 さすがNBAの絶対権力者のキングである。

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