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NBAプレイオフ開幕! (第1ラウンドプレビュー:ウエスト)

どうも。NBAレイオフがとうとう開幕した。既に各チーム1試合戦った中、少し後だし感はあるが、今回はウエストのプレイオフの第1ラウンドの展望を予測したい。イーストについては、前回の記事をご覧頂きたい。既に予想が外れているものもあるが、、、

atsukobe.hatenablog.com

 

<ウエスト>

1. LA・レイカーズ (第1シード) vs. ポートランド・トレイルブレイザーズ (第8シード)

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ブレイザーズはバブルに入ってから、毎試合ギリギリの接戦をものにして、第8シードに滑り込んだ。レギュラーシーズンでは怪我人が続出し低迷していたが、元の戦力でいったら普通の第8シードよりは確実に強い。昨年の大怪我からバブルで復帰したセンターのユスフ・ナーキッチは100%といえないまでも、安定した活躍を見せている。そして何より、デイミアン・リラードが怪人的なプレーを続けて、完全なゾーンに入っている。なんといったて、ハーフコートから何事もないかのように3ポイント打って決めちゃうぐらいである。

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こんな遠くから普通にシュートしてくるなんて常識的にありえない

リラードに加えて、CJ・マコラムという強力なバックコートがいるのがブレイザーズの強みであり (マコラムは腰を怪我している中プレーしている状況ではある)、ガードのディフェンスがレイカーズの最大の弱みであることから、ブレイザーズにチャンスがあると思われている。レイカーズで一番のガードディフェンダーである、エイブリー・ブラッドリーがオーランドに来ないことを決めたことで、レイカーズのガードは非常に手薄で、リラードとマコラムとマッチアップできる選手がいない。他方、ブレイザーズはディフェンスがとっても貧弱である。リラードが超人化した背景もブレイザーズが全然相手チームのオフェンスを止められなかったことによる。特にバブル後半ではベンチプレイヤーだらけのチームにも大量得点を許してしまっており、リバウンドが全く確保できていなかった。加えて、レイカーズレブロンとアンソニーデイビスを制御できるデイフェンダーが1人もいないのが痛い。レブロンのマッチアップとなるのは、親友のカーメロ・アンソニーやバブルで台頭してきたゲリー・トレントJrとなるが、全く相手にならないだろう。デイビスに関しては止められる要素がない。デイビス中心のオフェンスとなった場合は、ミッドからローポストで無理なく得点をということで、オフェンスが物を言わせるシリーズとなりそうだが、最終的にはリーグ1位の実力とそもそもレブロンが第1ラウンドで負けるとは考えづらい。

予想:レイカーズが4-2で勝利

 

2. LA・クリッパーズ (第2シード) vs. ダラス・マーベリックス (第7シード)

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今年の優勝最有力候補と見られているクリッパーズについても怪我人が多く、1年を通してフルロスターとはいえない状況が続き、バブルに入ってからも全員揃っていなかったが、プレイオフ開始に合わせてようやく万全のロスターに戻りつつある。とはいえ懸念が無いわけではない。どうも毎試合本気を出さない傾向があり、やる気のアップダウンが激しい。昨年ファイナルMVPのクワイ・レナードが気を抜くとは思えないが、他の選手がついてくるかがカギとなりそうである。クリッパーズの2大スーパースターのもう1人のポール・ジョージは素晴らしい選手だが、試合によっては存在感が非常に薄くなることもあるのが懸念ではある。とはいえ、リーグで最も厚い選手層を保持していることには変わりなく、ベンチからルー・ウィリアムズやモントレズ・ハレルといった強力スコアラーに加えて、トップディフェンダーのレナードとジョージや、PGのパトリック・ビバリーによるシャットダウンディフェンスも本気を出せば、対抗できるチームはいないと考えられる。一方、久しぶりのプレイオフ進出となったマブスは2年目にしてMVP候補となったルーカ・ドンチッチ率いる、NBA歴代ベストのオフェンス (Offensive Efficiencyというスタッツによる) でチャレンジする。ルーカは天性のパス力とスコアリング力を持っているだけではなく、どんな場面でも物怖じしない強心臓を持ち合わせている。但し、残念なことに彼はレナードとジョージに常にガードされることになり、最大の力を発揮することが難しいと思われる。(逆にこのシリーズで大活躍したらルーカは真のスーパスターになるはず) マブスのオフェンスの全てがルーカを中心に回る為、彼が押さえ込まれた場合のリカバリーが難しい。もう1人のスターである2メートル21センチのクリスタプス・ポルジンギスは素晴らしいロングシューターだが、とっても身長が高いにもかかわらず、ガード相手にもポストアップがろくにできないという弱点がある。クリッパーズはサイズが欠点であるだけにそこを突けないのは痛い。ルーカが爆発する試合は何試合かあると思うが、最終的にはクリッパーズが問題なく勝ち抜くだろう。

予想:クリッパーズが4-2で勝利

 

3. デンバー・ナゲッツ (第3シード) vs. ユタ・ジャズ (第6シード)

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怪我人トークが続くが、ジャズも例外ではない。スターのドノバン・ミッチェルに続くスコアラーである、ボヤン・ボグダノビッチが手術の為外れており、元々薄かったベンチが更に貧弱になっている。更に以前ジャズの注目プレイヤーに挙げたマイク・コンリー (https://atsukobe.hatenablog.com/entry/2020/08/05/094138) については、子供が丁度生まれる為、一旦バブルを離れたばかりである。その為とにかくどこからオフェンスを作り出せるかによって、ジャズのチャンスが決まってきそうである。そこでまだ3年目のミッチェルがオフェンスの重責を担うことになる。強力ディフェンダーがいないように見せかけてチームディフェンスに優れたナゲッツの壁をミッチェルが打ち破るかことができるか見物である。相手のナゲッツは史上最高のパス能力を持つセンターのニコラ・ヨキッチがオフェンスの中心となる。パス、シュート、フットワーク、体格の良さを持つヨキッチ対、ジャズディフェンスの砦であるルディ・ゴルベア (2年連続Defensive Player of the Year) のマッチアップは非常に面白くなりそうである。ヨキッチのポストアップも多々見られるだろうが、それ以上にヨキッチとガードのジャマール・マレーのツーマンゲームのケミストリーは素晴らしく、2人でピックアンドロールを繰り返しミスマッチを作り出して、ゴルベアを困惑させるオフェンスを披露するのではないか。以前から言われるマレーの試合毎の安定感には引き続き懸念が残る為、何試合かはジャズが奮闘できるはずではあるが、その他にも、ジェレミー・グラント、モンテ・モリスといった安定感あるプレイヤーが支えるナゲッツの総合力が選手不足のジャズを上回ると思われる。

予想:ナゲッツが4-2で勝利

 

4. ヒューストン・ロケッツ (第4シード) vs. オクラホマシティ・サンダー (第5シード)

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今回の第1ラウンドで最も面白くなる可能性があるのが、このロケッツ対サンダーのマッチアップである。昨年までチームメイトだったジェームズ・ハーデンとクリス・ポールは最後の方は険悪な仲になったと伝えられており、その2人が争うだけでも面白みがあり、ラッセル・ウエストブルックが10年過ごしたサンダー相手に初のプレイオフというストリーもあり、ドラマ性が高い。それだけでなくチームのプレースタイルが両極なのも注目ポイントである。ロケッツは有名なマネーボールを駆使して、ひらすらハーデンがアイソレーションを繰り返し、3ポイントかレイアップとフリースローという極端なスタイルである。更にチーム内にビッグマンが1人もいないため、全員2メートル5センチ以下のスモールラインアップで48分戦い抜く。対して、サンダーはポールがゲームをコントロールしながら、得意のミッドレンジショットを勝負どころで幾度と無く繰り出す。更に大型センターのスティーブン・アダムスもプレーし、2年目のシェイ・ギルジアス=アレクサンダーやダニロ・ガリナリといったらスコアリング能力の高い選手が脇を固め、どちらかというとトラディショナルなプレースタイルである。シリーズの展望はロケッツとサンダーがそれぞれどっちのスタイル中心の試合に持っていくことができるかのがポイントになってくると思われる。ロケッツ中心の展開になった場合、アダムスの出番はかなり制限されるだろうし、サンダーのスローテンポに持ち込めればロケッツのスモールボールを押さえ込むことができるだろう。普段であればロケッツの爆発力が優勢と見られるが、ウエストブルックが怪我の為、最初の数試合は出場できない予定である。チームのNo.2がいない中、ハーデンにかかる負担は大きい。またロケッツの3ポイント打ちまくるプレーは浮き沈みも激しく、サンダーが突けいる隙はあり接線が予想されるが、7試合中の半分はロケッツの3ポイントが的中してロケッツが次のラウンドに進むと思われる。

予想:ロケッツが4-3で勝利