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ステファン・カリーの快進撃とウォーリアーズのタイムリミット

どうも。いきなりだが、ここ最近のステンファン・カリーの勢いがすごい。4月18日時点では、平均31得点に、FG:49%、3P:43%とチーム力不足のウォーリアーズで孤軍奮闘している。特に、3/29から10試合連続30得点以上、そのうち40点以上3回、50点以上1回記録と絶好調なのである。そしてその10試合中で、10本以上3ポイントを決めたのが3回と驚異的な数字を残している。(ステンファン・カリーとクレイ・トンプソンが登場する前の3ポイントレコードが1試合12本だったことを考えるとこの記録の凄さが分かる)

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カリーの凄さを今更語る必要はないと思うが、今年33歳になった彼が満場一致MVPに輝いた2015-2016シーズンに近い数字を叩き出しているのは半端ないことである。何よりNBAファンとしては、昨年ケガでほとんどプレーしなかったカリーの活躍を見れるだけで嬉しい。彼のプレーは人を引き付けるものがあり、カリーがヒートアップするとチーム全体、会場全体、ブロードキャスト全体から楽しさが溢れて出てくる唯一無二の選手である。ドリブル力、シュート力、パス能力だけだけでなく、アンセルフィッシュで常に動き回るプレースタイルはエンターテイメント性では歴代最高クラスである。

 

然し、上述の通りカリーは33歳である。今のような活躍ができるのも後数年であろう。スーパースターポイントガードが30代後半まで全盛期を維持するのは過去に前例がなく、現在35歳のクリス・ポールが一番キャリアを伸ばせている例だと思う。カリーのシュート力は30代後半になっても健在だろうが、元々ケガが多かったカリーに過度の負担をかけるのも危険である。と考えると彼の全盛期を見ることができるのも僅かであり、この重要な時期をウォーリアーズが逃すわけにはいかない。そこで今回はカリーとウォーリアーズのタイムリミットについて着目してみたい。

 

1. コアプレイヤーの衰えの可能性

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ウォーリアーズが2012年頃から台頭し、2015-2019年まで5年連続NBAファイナルに進出した原動力はウォーリアーズによってドラフトされた、ステファン・カリー、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーンの3人である。個人的にウォーリアーズを応援せずにいられなかったのは、主力の中心がトレードやFA移籍で集まったスーパーチームではなく、チームのドラフトの上手さと選手の育成によって強豪となったことである。もちろん途中ケヴィン・デゥラントが加入したことで、ウォーリアーズはスーパーチームとなったわけだが、元々の基盤はこの3人であることに変わらない。キャッチアンドシュートが超得意で、カリーの次に現役ベストシューターであるかつ、ディフェンスも上手いトンプソンと、オフェンス力はあまりないが、歴代最高レベルのディンフェンスIQとフォワードとして珍しいパス能力を持つというユニークな選手であるグリーンによって絶妙なハーモニーが生まれていた。然し、カリーの以上に心配なのがこの2人の衰えの可能性である。

 

1-2. トンプソンのケガ

まず、2019年のNBAファイナルで靭帯断裂をしたトンプソンは、今シーズン復帰間近となったところで今度は練習中にアキレス腱を断裂してしまった。この2つのケガどちらか1つでもキャリアに大きな影響を与えるのに、2年連続で2つ違う部分で大ケガをしてしまったのは悲劇としか言えない。彼のカムバックは期待されるところではあるが、これまでの常識を考えたらクレイが以前と比べて100%の状態で復帰することは考えづらい。彼がキャッチアンドシュート中心のプレイスタイルでオフェンスをクリエイトするタイプではない事は幸いではあるが、それでも動き1つ1つのキレは落ちるだろうし、何よりリーグトップクラスだったディフェンス力は確実に平均レベルまで落ちてしまうだろう。もちろん医学は常に進化しており、過去の常識を打ち破る可能性もあり得る。いずれにせよ彼がどのレベルで復帰できるかはウォーリアーズ復活にとって最も重要なピースである。

 

ちなみにだが、トンプソンはそのChillかつスターぶらない性格で知られており、ドライなユーモアでNBAメディアからも人気である。

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1-3. グリーンの衰え

トンプソンはケガの衰えが懸念されるが、どれくらいのレベルで復帰するかはまだ未知数である。一方ドレイモンド・グリーンは既に明らかに衰えている。元々シュート力やドライブ力がある選手ではないが、最近はそもそも自分から得点を取りに行くことをほとんどしなくなっている。2015-2016年シーズンは平均14得点だった得点力が年々下がってきており、今年は僅か平均6.6得点である。そもそもシュートを狙っていないのでディフェンスは彼をマークしないし、ワイドオープンの3ポイントでも、次のオフェンスのムーブメントを待ってパスしたりする。カリーを活かすためにプレイメイクに力を入れることで今年は8.6アシストとガード並みの数字ではあるが、FG41%、3PT27%はさすがに厳しい。いくらオフェンスのセットアップをしているとはいえ、そこに安定したシュート力がないと結局ディフェンスがカリーに集中してしまう。

また、Defensive Player of the Yearに輝き、2メートル弱の身長でガードからセンターまで守れるディフェンスIQは健在ではあるが、こちらも全盛期と比べると若干落ちている。今でも十分優れたディフェンダーではあるのだが、ウォーリアーズの栄光を築いたスモールボールにはグリーンがセンターとして機能する必要があり、少しの衰えでも大きなダメージになる為、グリーンの衰えは非常に大きな懸念材料ではある。

 

全盛期のグリーンのディフェンスIQとコミュニケーション力はハキーム・オラジュワン、ケビン・ガーネット、ティムダンカンに匹敵するぐらいだと思っている。

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2. コアプレイヤー以外の可能性

ケビン・デゥラントが移籍した今、ウォーリアーズにはコアプレイヤーを支えるロスターが早急に必要である。然し、今のところそれを埋めれる選手はいない。ウォーリアーズのChampionship Runを支えた選手達は多くが引退 OR 移籍しているし、デゥラントの獲得やベテランの補強をしていた為、現状イキのいい若手がいない。一番実力がある選手はおそらく元ドラフト1位のアンドリュー・ウィギンズで、ウォーリアーズ移籍後はディフェンスも頑張ってはいるが、重要な場面で頼りになるかといったら全然ならない。昔から言われている事だが、素晴らし身体能力があるのに、時に空気のように存在感がないからである。後は、ケリー・ウブレーJRもいるが彼はバスケIQがあまり高くなく、存在感はあるが信頼は置けない。その他は元々Dリーグ出身の選手が中心であり、ハッスルプレーをする選手は多いが、クオリティ高いロスターとは到底言えない。

 

そこで期待されるのが、今年のドラフト2位のジェームズ・ワイズマンとなる。シーズン開幕直後は才能の片鱗が見られたが、途中から徐々に自信を無くしていく様子が感じられ、成績も下降線を辿った。最終的には膝のケガによって今シーズンは絶望となってしまった。カレッジでのプレー経験もほとんどなかったことを考えると仕方ないのだが、まだまだ粗削りで成長には時間がかかりそうである。2メートル16センチかつ高い身体能力とシュートタッチを持っているので、将来的にスターになる可能性はあるのだが、問題はウォーリアーズには時間がない。今年の経過を見る限り、彼が優勝を狙えるチームのスターターとして貢献するには3年はかかるであろう。そうすると、残されたカリーの全盛期とタイムラインが合わないのである。このジレンマをどうするか、フロントは難しい決断に迫られる。

 

3. キャップスペースをどうするか

ウォーリアーズにっとて、強力な補強をするのが難しい状況にある理由の1つが、サラリーキャプのフレキシビリティがないことである。カリー、トンプソン、グリーン、更にウィギンズまでMax契約な為、この4人でチームサラリーの75%を占める上に、既にNBAサラリーキャップを大幅に超えているのである。(リーグ1位のサラリーを払っているのに、プレイオフいけるかギリギリなのは悲しい、、、) こういう場合は、若手でルーキーコントラクトな選手を揃えるか、運よく年俸が低い選手を発掘しない限り中々厳しいのだが、上述の通り強力なサポーティングキャストがいないので劇的な対策をする必要がある。

 

単純にサラリーキャップに余裕を持たせるには、まずウィギンズをトレードするべきだが、彼のサラリーの高さとプロダクションはマッチしておらず、買い手が出てくるかは分からない。買い手を見つけるとなるとウィギンズ+チームが欲しがる選手やドラフトピックをくっつける必要性があり、その場合今すぐチームを助けられないワイズマンがトレード候補になる可能性だってある。それが上手くいかない場合、更なる手段としてコアグループを解体する必要も考えられる。既に全盛期ではないグリーンだけでなく、ケガから復帰した様子次第ではトンプソンだって安心できない。もちろんカリー、トンプソン、グリーンの3人が残った上で、再度優勝を狙えるのであればそれに越したことはないのだが、現実問題可能性が低いと言わざる得ない。

 

いずれにせよ、歴代最高のシューターであるカリーという存在を活かすためのチーム強化は急務であり、ウォーリアーズのタイムリミットは刻々と迫っている。今シーズンオフからGMのボブ・マイヤーがどういう動きをするか見逃せない。

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