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2021NBAオールスター 初出場選手に注目!!

どうも。早いものでNBAのシーズンも半分近くが終了し、来週末にはオールスターとなる。今年はコロナの関係でオールスターは実施しないというのがシーズン開始時の予想で、12月~5月という通常より短いレギュラーシーズンのスケジュールの中 (普段は10月~4月)、オールスターブレイクは1週間の単純な休みとなる予定だった。選手達もそのつもりでいたようで、特に昨シーズン10月までNBAファイナルにいたレイカーズやヒート、その他プレイオフまで残っていたチームには、オフシーズンが短かった分シーズン中の休みが必要と思われた。

 

然し、やっぱりお金が必要になったのだろう。NBAはオールスターを数週間前に開催すると発表した。しかもコロナの制限が全米一緩いと言われているアトランタということで波紋を呼んだ。(アトランタNBA選手が大好きな都市の1つで、黒人に人気のクラブや、バー、ストリップクラブが盛んである) このオールスター開催はプレイヤーの中でも反対の声が多くあがり、キングスのディアロン・フォックスは今年オールスターをやることはあほらしいと ("I think it is stupid")と答え、NBA界のドンであるレブロンも否定的な意見を示した。

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圧倒的な発言権を持つレブロンが反対の意思を見せたことで、やっぱり今年はなしかなという流れもあったのだが、コロナで多くの損失があるNBAにとっては、放送権やグッズ料金が大きいオールスターを何が何でも開催する必要があり、その後はこれといった動きはなく、一大事が起こらない限りこのまま3/8に実施となりそうである。NBAも結局は企業であり、何事の決断もお金が一番大事なのである。

 

オールスターのスターターとヘッドコーチ投票によるベンチも決まったので、改めてリストを確認しよう。

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<イースト>

ケビン・デゥラント (怪我で不出場)、イヤニス・アンテトクンポ、ジョエル・エンビード、カイリー・アービング、ブラッドリー・ビール

 

ジェームス・ハーデン、ベン・シモンズ、ニコラ・ブーチェビッチ、ジェイソン・テイタム、ジェイレン・ブラウン、ザック・ラビーン、ジュリアス・ランドル、ドマンタス・サボニス (KDの代わりに選出)

 

<ウエスト>

レブロン・ジェームズ、ニコラ・ヨキッチ、クワイ・レナード、ステファン・カリー、ルーカ・ドンチッチ

 

デイミアン・リラード、ポール・ジョージ、アンソニーデイビス (怪我で不出場)、クリス・ポール、デビン・ブッカー (ADの代わりに出場)、ドノバン・ミッチェル、ルディ・ゴベア、ザイオン・ウィリアムソン

 

エストのスターターがリラードじゃなくて、ルーカだったことで議論が起こったり、ブッカーがもともと選ばれなかったこともレブロンを中心に批判が見られたが 、

 まあ妥当な選手が選ばたかなという感じである。レブロンを筆頭に何回も選ばれている選手も多いが、今回は今年初出場となった4人のプレイヤー(上記太字)にフォーカスして、何故彼らが今年選ばれたのかまとめていきたい。

 

1. ザイオン・ウィリアムソン

ザイオンは今年でまだ2年目だが、現在リーグで最も名前の知られている選手の一人だろう。高校時代のMix TapeがSNSですごい話題を呼び、1年だけいたデゥーク大学でも大活躍をし、バスケ好きなら誰でも知っているプレイヤーとなった。ドラフト1位でペリカンズに入団したが、Hypeが強すぎて、それまでアンソニーデイビスがいても全然注目されなかったペリカンズの全米中継がむちゃくちゃ多くなったぐらいである。(しかもザイオンはケガでシーズン前半欠場した為、ザイオン抜きの退屈なペリカンズの試合が一杯放送されたのだが、、、)

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なんでザイオンがこんなに話題を集めているかというと、ハイライトを見れば一瞬で分かるが、201センチ、130KGという太っちょのような体格をして、リングを飛び越えるようなジャンプ力がある人は世の中に存在しないからである。唯一の比較対象としては、チャールズ・バークレーかもしれないが、バークレー以上にパワフルで運動神経が高い。(ザイオンを細くして身長を高くするとイヤニスになるかも) 彼は目の前にディフェンダーがいようとお構いなく尋常じゃないパワーで突進するか、ジャンプで相手をかわすことができる。今のところジャンプショットは脅威ではないし、ショットはほぼ全て利き手の左手ですることが分かっているのに、ディフェンダーは彼を止めることができない。攻撃のレパートリーが少ない中、平均25点、FG60%以上を記録しているのは、シャックを彷彿とさせる。

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それでいてザイオンはドリブルもガード並みに上手く、パスも非常にセンスがある。彼はデゥークの時からアンセルフィッシュな選手で、ディフェンスの動きを読むのがうまい。今シーズン当初はまだポストアップや3ポイントラインからの動きが多かったが、彼のプレイメイクの才能を使わない訳にはいかなくなったのか、最近ポイントガードのように起用されることが増え、これがザイオンのスタッツを更に伸ばし、オールスター選手に押し上げた。ザイオンがボールハンドラーでピックをもらった時点で、ヘッドスタートでペイントに向かったらディフェンダーにとってはゲームオーバーであり、仮にダブルチームしたとしてもパスをしっかりと決めることができるのだから相手はお手上げとなってしまう。

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ザイオン自身のディフェンスもまだまだであり、チームディフェンスもひどいペリカンズはよい成績を残せていないが、オールスターではその鬱憤を晴らすような豪快なダンクを繰り広げてほしい。欲を言えばダンクコンテストにも出場して更に盛り上げてほしいものだ。

 

2. ザック・ラビーン

ダンクコンテスト2回チャンピョンになったザック・ラビーンも今年初めてオールスターに選出された。(彼のダンクコンテストのクオリティの高さは歴代最高級である)

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ティンバーウルブズにドラフトで選ばれ、今年で7年目のラビーンは、ルーキーからオフェンスのポテンシャルは見せていた。彼のショットメイキング能力は目を見張るものがあり、難しい状態からのフェイダウェイを決めたり、ドライブでバスケットまでいくスピードはリーグでもトップクラスであった。然し、デシジョンメイキングやプレイメイク、そしてディフェンスには大きな疑問があり、NBAアナリストの中での評価は非常に低かった。

 

シカゴ・ブルズに移籍してからは、更にオフェンス能力を高め平均25点前後の得点を記録するようになったが、引き続き所属チームの成績は悪く、プレイメイク、ディフェンスも平均以下であった。ところが今年は、ブルズはそこそこ健闘しており、彼の課題であったチームメイトのセットアップ、ディフェンスも向上してきており、更にオフェンス力が尋常じゃなくなってきている。現在平均29点、FG:52%、3PT: 44%というガードとしては高すぎる確率でシュートを決めまくっている。他に安定したスコアラーがいないブルズで単純なオープンショットを打っているわけではない中で、この数字を叩き出すのは普通に尊敬である。彼のステップバック3ポイントと変わらないドライブへの爆発力はオールスターでも見ものである。

 

他のトップスコアラーとマッチアップしても、勝負がかかった場面で全く引けを取らず、チームのNo.1オプションとして引っ張れることを証明しているラビーンが今後何回オールスターに選べられるプレイヤーとなるか楽しみである。

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3. ジュリアス・ランドル

ビーンと同じく今年7年目のランドルも初出場の栄誉を得た。面白いことにランドルはザイオンのように必ず利き手の左手でフィニッシュし、ラビーンのようにディフェンスと判断力が批判されてきた。入団したレイカーズの1年目はケガで棒に振ったランドルは、2年目から台頭を表し、5年目に移籍したペリカンズでは平均20点以上の数字を残し、昨年もニックスで同等の成績を収めた。

 

ただ彼もいつも弱小チームに在籍しており、決してチーム成績を向上させるプレーをしていたわけではない。彼のプレイスタイルはブラックホールとも呼ばれ、一度ボールを持ったらパスを返さない、トップオブザキーの位置でボールをもらったらそのままディフェンスに突っ込んでいくことが多々見られた。ザイオンのような目を見張る身体能力やビジョンがなく、意外と短いウィングスパンもあってか、これはシュートミスか、ターンオーバーにつながっていた。

 

そんなランドルが今年オールスターになれた理由はいくつかあり、まずチームがそこそこ強くなったことが挙げられる。とにかくここ10年ほぼ弱小だったアメリカ一有名なチームのニューヨーク・ニックスが、現在5割の成績を残しているのはメディアの注目を集める。この躍進は今年ヘッドコーチとなたトム・ティボドーの影響があるだろう。セルティックスとブルズでディフェンスマスターとして名を馳せたティボドーはニックスをリーグトップクラスのディフェンシブチームとさせたことがでかい。ディフェンスに課題があったランドルも今年はしっかりと貢献している。また、オフェンスの面では、リーグ一ペースが遅いニックスはランドルの得点力に頼りつつ、彼もアシストが今年一気に増えて、チームをセットアップする能力が高まっている。去年までの平均3アシストから今年5.5アシストとなったことは、オフェンスが如何に彼中心となっているかが表れている。また、3ポイントも今年は決まるようになり、40%以上の確率だから驚きである。今年はあくまでチームオフェンスの流れの中で得点を重ねており、選手として大きく成長したことが伺える。

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2000年に入ってからというものこの20年暗いニュースばかりだったニックスに希望の光を見出しているランドルの活躍に後半戦も注目である。

 

4. ジェイレン・ブラウン

 シーズンが開幕した当初、今年は違うなというが印象が一番大きかったのが、5年目のジェイレン・ブラウンである。ドラフト3位でセルティックスに入団した際は、粗すぎる選手だとセルティックスの指名に多くのアナリストが疑問を投げかけたが、彼はハードワークによって毎年成長し (3年目はドラマクイーンのカイリーによってチームケミストリーと彼の成績が若干低下したが、、、)、今年はとうとう平均25点を超えるスコアラーとなった。

 

もともと高い身体能力を活かしたプレーが得意ではあったが、ハンドリング力とパスが課題であった。それが今ではクロスオーバーからのプルアップジャンプショットがGo toムーブとなっているぐらい成長している。また、ナチュラルなプレイメイク力は正直なく、非常に機械的な動きが多かったが、今年は昨年2.1だった平均アシストが4.0まで伸びているのは着目すべき点だと思う。(ケンバ・ウォーカーやマーカス・スマートが不在で彼がオフェンスを作り出す必要があるのも大きいが) 元から評判の高かった1 on 1のディフェンス (オフボールディフェンスにはまだ向上の余地あり)も健在で、チームメイトのジェイソン・テイタムとともに強力なウィングディフェンスラインを作れている。

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テイタムのような華麗なプレーや目を見張るオフェンス力を持ってないことから、彼の陰に隠れがちではあるが、毎年成長を続けるハードワーカーのジェイレンがこれからもオールスターに選ばれることに疑問の余地はない。そして、入団当初から頭の良さとアクティビズムが際立っていたジェイレンが今後リーグを引っ張る存在となり、リーグ全体を変えていくことを期待したい。(頭の良さと思慮深さはリーグ1ではないか)

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