ディープなNBA・バスケトーク+アメリカ文化

NBAとアメリカンカルチャー中心のブログ

NBA再開: 有力チーム注目キープレイヤー (イースト)

どうも。3月11日にユタ・ジャズのルディ・ゴルベアがコロナを発症して、NBAがシャットダウンしてから4か月以上が経ったが、今週日本時間7月31日にやっとシーズンが再開する。今月途中からフロリダのオーランドで、選手や関係者を1つの場所に集めるシステムを作り、先週からは練習試合も始まっている。このオーランドのバブルに来た場合は、最低4日誰とも会えずに隔離され、関係者全員毎日検査を必ずし、敷地内を勝手に出た場合は罰則を設けるといった徹底的な対策を行っていることで、今のところバブルからのコロナ感染者はゼロという素晴らしい実績を残している。(アメリカ全体のひどいコロナ対策を見たらすごい事である)

ちなみにLA クリッパーズのルー・ウィリアムズは友人家族の葬式の為に、先週バブルから一時的に出た後、ついでにストリップクラブにいったことが今週発覚し、通常より長く10日間隔離という制裁を受け、2試合出ることができなくなってしまった。ウィリアムズの地元アトランタで有名なMagic Cityというストリップクラブに行った理由は、なんとチキンウィングを食べたからったというからレベルが高すぎである。(ただウィリアムズが夜の街のレジェンドがであることは知られた話で、驚くほどでもないかもしれないが) 

f:id:atsukobe:20200729002335j:plain

NBA選手達の間でも人気の高いウィリアムズ

 

話がそれてしまったが、順調にシーズン開幕に向けて動きが活発になっている中で、やはり気になるのはどのチームがファイナルに進出するかであろう。そこで今回と次回の記事ではレイオフで少しでも勝ち抜くチャンスのあるチーム (イースト6チーム、ウエスト7チーム) のキープレイヤーを一人ずつ独断と偏見で紹介していきたい。(マジック、ネッツ、ウィザーズ、グリズリーズペリカンズ、サンズ、スパーズ、キングスは対象外) まずはイーストから6チームのキープレイヤーの発表する。

またちなみにだが、オーランドのバブルの構成と、フォーマット、参加チームは以前の記事をご参照。

atsukobe.hatenablog.com

 

イースト】

1. ミルウォーキー・バックス

- クリス・ミドルトン -

リーグ最高勝率を残したバックスの最も重要な選手は言うまでもなく、イヤニスであり、2年連続MVPと今年はDefensive Player of the Yearの最有力候補でもある。ただそんな彼を支えるNo.2のミドルトンのプレイオフでの活躍はバックスが優勝するには欠かせない。イヤニスの最大の弱みはジャンプショット力であり、ディフェンスがタイトになり、彼のペネトレーションに対してディフェンダーが何人か集まってきた時に、神がかり的な身体能力でもその壁を突破できなくなる。昨年のプレイオフイースタンカンファレンスファイナルで、ラプターズ相手の最後の2試合は、ジャンプショットが決められず、得点機会を作り出せない為に、自分がボールを持つことを怖がっているように見えた。もちろんイヤニスも向上はしているが、未だに1 on 1からドリブルしてアウトサイドショットを決めることはできない。そんな中で、優勝チームの2番手としては弱すぎるのではないかと指摘はされるが、ミドルトンのロングレンジからの3pt、ドリブルによってディフェンダーをかわしてのミッドレンジで得点を作り出せる能力は、イヤニスが封じられた時の対抗としてバックスが最も頼りにする武器となる。レギュラーシーズンで20点前後だった平均得点をプレイオフで25点~30点まで上げることができるか否かで、バックスの今年がファイナルに進出できるか、そしてその結果次第では、来年フリーエージェントになるイヤニスの今後の動きにも大きく影響していくだろう。

www.youtube.com

 

2. トロント・ラプターズ

- パスカル・シアカム -

 昨年の優勝チームのトロント・ラプターズは今年も強かった。Coach of the Yearの最有力候補のニック・ナースの奇抜なディフェンス戦法や試合毎に変える采配方針による所も大きいが、Finals MVPのレナードが抜けた中でイースト2位の勝率を残したのは各選手がステップアップしたことだけでなく、Championとしての意地も十分にあっただろう。そんな中で、一番の成長をしたのはパスカル・シアカムである。昨年MIP (Most Improved Year) 受賞した彼だが、今年も更に飛躍をし、昨年の平均17得点から今年は24点近くまで伸ばし、ラプターズのエースとなった。ジャンプショットについてははまだ彼のベストウェポンとは言えないが、ポストアップやドライブからのフェイクを入れたり、スピンムーブからのゴール近場でのフィニッシュに長けており、確実に得点を取ることができる。昨年プレイオフでは、試合の終盤は常にレナードがボールを持っており、シアカムは上記のイヤニスと同じく、クラッチタイムでシュートすることを怖がっているようであった。ボールが回ってきた時はすぐに手放していたのは印象的であった。今年はクローザーの役目をシアカムが行う必要があり、どこまで度胸を持ってチームを引っ張れるか見ものである。

www.youtube.com

 

3. ボストン・セルティックス

- ジェイソン・テイタム -

昨年はカイリー・アービングとのケミストリー問題が深刻化し、プレイオフではバックスにこてんぱんにされたセルティックスだが、今年はカイリーが去り、代わりにNBA屈指のナイスガイであるケンバ・ウォーカーが加入したことで、チーム仲も向上してリーグ3位の成績を残している。一見順調に見えるが、ケガによる懸念はあり、シーズン途中で膝を痛めたケンバはコロナ期間でしばらく休みがあったにも関わらず、今でも膝が本調子でないと言っている。またゴードン・ヘイワードは、2年前のケガから今年の序盤はやっと元の姿に戻ってきたように思えたが、シーズン中盤に腕を骨折後はまた感覚を忘れてしまったかのようなプレーも見せていた。そんな苦境がある中で今年目覚ましく飛躍したのは3年目のジェイソン・テイタムである。ルーキーシーズンにプレイオフで活躍をし、ス―パスターの片鱗は見せていたが、去年は苦戦し、バスケットにドライブせず、ミッドレンジショットばかり打ってチーム内外から批判を受けた。今年もシーズン序盤は波が激しかったが、オールスター前後から覚醒したかよのうに連続して30得点前後をたたきだすようになり、ケガで不在であったケンバの代わりにエースの座についた。リム下のフィニッシュ力も向上し、3ptもより正確になり、クロスオーバーから横にステップバックしての長距離シュートは彼の代名詞となってきている。加えてディフェンス力も高まり、同じウィングのジェイレン・ブラウン、マーカス・スマートらと強固なディフェンスを築いている。プレイオフでも物怖じしないのは1年目に証明しているが、今年は真のエースとしてスーパースターに駆け上がるか楽しみである。

www.youtube.com

 

4. マイアミ・ヒー

- バム・アデバヨ -

レブロン移籍後、ヘッドコーチのエリック・スポールストラの指揮を筆頭にチームの底力でプレイオフ進出をここ数年続けていたヒートだが、今年はFAでスターのジミー・バトラーを獲得し、ケンドリック・ナンやダンカン・ロビンソンといった昨年まで完全無名だった選手の躍進もあり、侮ることができないチームの1つとなっている。もちろんバトラーの存在も大きいが、マイアミで最も重要な選手は実はバム・アデバヨではないかと思う。バムもテイタムと同じ3年目の選手となるが、昨年から主要カテゴリーで大きく数字を伸ばし、オールスターにも選ばれて、MIP候補にもなっている。彼はリーグでもトップクラスのディフェンス力を持っており、バックスのイヤニスが最も手を焼く相手かもしれない。イヤニスほどではないものの、身長の割に非常に機敏でありながらパワーも兼ね添えている為、彼はイヤニスの得意な部分を一定封じ込めることができる。実際に3月に対戦した時はバムが中心となってヒートディフェンスが奮闘し、イヤニスが珍しく精彩を欠いていた。そんなバムのディフェンス以上に注目すべきは、彼のポイントセンターとしての役割である。今年は時にボール運びから、チームメイトのセットアップまで任されるようになり、ウォーリアーズのドレイモンド・グリーンに近い役割を果たしている。グリーンの方がまだパスのレベルは高いが、バムを中心としたオフェンスの動きがプレイオフでどこまで通用するのかが気になるところである。

www.youtube.com

 

5. フィラデルフィア・セブンティシクサーズ

- ジョエル・エンビード -

正直チームのベストプレイヤーであるエンビードシクサーズのキープレイヤーとするのは当たり前すぎて躊躇したが、シクサーズの命運はまさに彼が握っているので選ばせてもらった。エンビードは言うまでもなくインサイドの支配力でいえば現在のNBAで一番であり、フットワークと柔らかいタッチのジャンプショットも使いながら、彼がノっている試合ではまさにアンストッパブルな状態となる。ディフェンスにおいても本気になればペイントを圧倒することができ、対ビッグマンとの1 on 1だけでなく、ヘルプディフェンスでも優秀である。然し、レギュラーシーズンでも過去2年間のプレイオフでも彼の課題となっているのはコンディショニングである。その為、プレー時間が必然的に長くなるプレイオフの試合では最後に息切れしたり、試合毎の波も激しい。今年は更に昨年と比べて軒並み個人成績が落ちており、Defensive Player of the Yearの候補に挙がったディフェンス力も少し影をひそめている。ジャンプショットを全く打たないベン・シモンズを筆頭に、自分でオフェンスを作り出すことができる選手が少ないシクサーズは非常にいびつなチームであり、そこでエンビードがどれだけコンスタントに毎試合活躍することができるかがシクサーズが3年連続カンファレンスセミファイナル止まりとなるか、それ以上の成績を残せるかのカギとなると考えられる。本気を出した時にはリーグのTop5レベルのポテンシャルを持っているだけに、今年のプレイオフではその力を存分に発揮してもらいたい。(そして得意でもない3ptの無駄うちも抑えてほしい)

www.youtube.com

 

6. インディアナ・ペイサーズ

- ビクター・オラディポ -

結局最後もチームのベストプレイヤーとなってしまったが、ペイサーズがプレイオフシリーズに勝利する可能性はオラディポが2年前の輝きを取り戻せるかによって決まるといっても過言ではない。昨シーズンの途中で大ケガを負い、1年以上のリハビリによって今シーズンの中盤に戻ってきたが、正直なところ動きが鈍く、過去の瞬発力を活かしたプレーからは程遠かった。彼がいない間もPFのドマンタス・サボニスの台頭 (フットワークがすごい) や、バックスから加入したマルコム・ブログドンの安定したプレー、サンズから加入したT.J・ウォーレンのスコアリングによってイーストの3位争いにしばらく加わっていたが、オラディポが戻ってきた際にアジャストする必要があったことで、勝てる試合も何試合か落としていた。だからといって彼がいることでチームのレベルが下がるという事ではなく、本来の姿に少しでも近づいたら、得点が必要な場面でシュートを決められるクラッチ力、ガードの中でもトップクラスのディフェンス力によって、チームの総合力は確実に上がるはずである。逆に彼の不調が続けば、チームの爆発力が薄まってしまうのは目に見えている。実は元々はケガから復帰したばかりということもあり、今回のバブルには参加しないと表明していたが、コロナや今ケガしている場合でない限り、サラリーから給料が引かれるということをNBAから告げられ、辞退を撤回したという経緯もある。この決断によってチームのケミストリーにどの程度影響したかは分からないが、本意でない中参加したことによって、果たして彼が100%のプレーをするか、そもそも100%に近いパフォーマンスができる体なのかは、チームの今後のオフシーズンの動きも含めて要注目である。個人的には彼がスクリーンをうまく使ってドライブする、もしくはミッドレンジでジャンプショットを放つ姿を是非見てみたい。

f:id:atsukobe:20200730002833j:plain